Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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 京都みなみ会館へ。今年も雷蔵祭です。
 伊藤大輔監督・脚本『ジャン有馬の襲撃』(大映、1959年)。
 イベリアの極東植民地で、反乱を理由に日本人街が砲撃され、有馬藩のご朱印船も撃沈された。強引なイベリアの使節団は、駿府の大御所・徳川家康(三島雅夫)に面会を求め、賠償と謝罪を求める。国内に豊臣勢力を抱える家康は、これに妥協しようとする。
 だが、熱心なキリシタン大名ジャン有馬こと有馬晴信(市川雷蔵)は、イベリアに捕らわれていた家来の小畑(山村聡)を救い出し、イベリアの暴虐の数々に立腹する。広東での騒動のため、イベリア船がいったん日本を離れることを長崎奉行(根上淳)から聞いたジャン有馬は、奴隷になっている人々を救うべく、イベリア船の襲撃を計画するのだった。
 家康の孫・鶴姫の役に叶順子。
 ポルトガルを架空の国に設定しているため、エスペラント語が話されたいます。これは日本映画で初めてとのこと。どうりで、皆たどたどしい科白回しでした。
 しかし、日本刀とサーベルの戦いは、なかなかの見物でした。
 17世紀初頭の日本が、国際政治と宗教の荒波にさらされていたことが、よくわかります。
 雷蔵の出演作品は158本に上ります。どなたかも数えておられましたが、私が観賞した作品はこれで100本目になりました。
 札幌の映画館で、キャスリン・ビグロー監督『ハート・ロッカー』(2009年、アメリカ)。今年のアカデミー作品賞受賞作です。
 2004年夏のイラク。ブラボー中隊という爆弾処理班の物語で、タイトルは「棺桶」を意味する軍隊の隠語だとか。
 冒頭で、ブラボー中隊のベテラン班長が爆死する。これが『メメント』の主役だったガイ・ピアースである。
 後任のジェームズ軍曹(ジェレミー・レナー)は凄腕だが、単独行動で黒人のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)とトラブルが絶えない。技術兵のエルドリッジ(ブライアン・ジェラティ)は精神を病みつつある。
 やがて、砂漠での銃撃戦を通じて、三人の間に連帯感が生まれる。この戦闘でアメリカ人傭兵隊が全滅するが、この隊長役が『イングリッシュ・ペーシェント』のレイフ・ファインズ。
 その後、目の前で親しかった軍医が爆死したことで、エルドリッジはさらなるショックを受ける。ジェームズもイラク人少年が人間爆弾にされているのを目撃して、それまでの冷静さを失い、無謀な戦闘行動に走る。
 ブラボー中隊の任期満了までは、あとわずかなのだが。
 2時間ほど観終わった、どっと疲労感を感じる、そんな作品です。
 軍隊としてはかなり無理なストーリー設定もあるから、ドキュメンタリー・タッチとはほど遠いが、迫力は満点です。
 「戦争は麻薬だ」と冒頭で提示される。
 帰国したジェームズは幼子を抱きながら、「パパたちの年になると、大事なものはほとんどなくなる。二つか三つだ。いや一つだ」と言う。そのジェームズが再び意気軒昂に戦場に戻る。彼にとって大切な唯一のものは、もはや戦争なのでしょうか。

12月31日

 大晦日ですね。私もこのブログに書き込んだら、神戸の実家に帰ります。
 今日は新京極シネラリーベで佐藤嗣麻子監督・脚本『K-20 怪人二十面相・伝』(東宝、2008年)。原作は北村想(作中に登場してるそうです)。
 太平洋戦争が回避され、華族制度が温存されたまま階級格差が拡大した1949年の日本(いわゆるヴァーチャル・ヒストリーですね)。
 帝都では、華族の美術工芸品を盗む怪人二十面相が世を騒がせている。男爵で名探偵の明智小五郎(仲村トオル)は、何度も二十面相と対決してきた。その明智が羽柴財閥の令嬢・葉子(松たかこ)と婚約することに。その式場に不敵にも二十面相が現れ捕らえられるが、実は、サーカスの曲芸師・遠藤平吉(金城武)で、謎の男(鹿賀丈史)に騙されて、二十面相に仕立て上げられてしまったのだ。
 無実を証明するため脱獄した遠藤は、サーカス仲間で泥棒の源治(国村隼)らの強力をえて、自らも泥棒の技術を会得していく。そんな彼が、本物の二十面相に誘拐されかかっていた葉子を救出、二人の間にはほのかな恋心が芽生える。どうやら、二十面相が狙っているのは、葉子の亡くなった祖父・羽柴公爵(大滝秀治)が密かに開発した無線送電システムだった。遠藤と葉子、それに明智も協力して、二十面相よりも先にこのシステムを発見しなければならない。二十面相はこのシステムを利用して、世界のエネルギー供給源を破壊し、世界の大改造を目論んでいるのだった。
 そして、二十面相の意外な素顔とは。
 1949年なのに、すでにテレビがあり東京タワーもそびえている。
 レトロとモダンが合流して、不思議な雰囲気を醸成している。サーカスというのもいい。
 強固な階級社会(封建制)を打破して、能力本位の社会の実現を、二十面相はめざしている。その意味で、二十面相の正体はナチズムと同じである。ダースベーダーのような、ナチの親衛隊のような、あるいは、バットマンのようなコスチュームも、それを示唆していよう。
 だが、遠藤平吉はそれを阻止し、貧者への富の分配を謳い、葉子もそれに共鳴する。つまり、彼らは社会民主主義者であり、ニューディーラーなのである。
 封建主義とナチズムと社会民主主義の三つ巴の戦い――ちょっとインテリ風の映画解説。「なるほど」と思うこともあるけど、ほんとかなというのも多いですね。
 いずれにせよ、安易なラストシーンが、この作品をB級のバットマンかインディージョーンズにしてしまっているのは残念。二十面相の正体も、割と早い段階で推察がついてしまう。

 因みに、羽柴嬢が泥棒の家を見て、「すてきなお部屋ですね。で、ご本宅はどちらですか?」と問うが、『ローマの休日』で王女様が新聞記者のアパートで目を覚まして、「ここはエレベーターの中?」と聞く科白を思い出しました。

 皆さん、今年も1年間お付き合いいただき、まことにありがとうございました。
 どうぞよい年を。
 また来年もご一緒しましょう。

12月30日

 いよいよ押し詰まってきましたね。昨日は卒業生諸君が十数名で、わが家の大掃除をしてくれました。
 さて、今日は久しぶりに京都シネマに足を運んで新人監督・中西健二による『青い鳥』(2008年)を観賞。原作は重松清。
 郊外のある中学校では、2年1組の野口という生徒が、級友たちのいじめにあって自殺未遂事件を起し、転校していった。両親の経営するコンビニから商品を持ち出すよう、再三迫られたのだった。事件のショックで担任も休職し、村内(阿部寛)という中年の国語教師が赴任してくる。彼は吃音である。
 村内先生は野口の机を再び教室に持ち込み、誰もいない机に「野口君おはよう」と毎朝声をかける。ようやく事件を忘れつつあった生徒たちは動揺し、父兄からも苦情が殺到、校長や教頭は対応に苦慮する。いじめの中心だった少年は反発し、野口と親しかった優等生の園部(本郷秦多)は懊悩する。
 「本気の言葉は本気で聞け」と村内先生は言う。野口のことを忘れてはいけない、それは罰ではなく責任だというのが、彼の生徒たちへのメッセージであった。どうやら、彼も以前に自分の生徒を死なせているようだ。
 やがて、担任の復職が決まり、村内は静かに中学校を去って行く。
 他に、若い女教師役に伊藤歩。
 「青い鳥」とは、事件後に学校側が校内に設置した意見箱の名前。
 吃音の教師を演じる阿部の科白回しはうまくはないが、元「メンズノンノ」のモデルが中年のダサい教師の雰囲気をうまく出している。阿部と筆者は同年。元モデルならぬわが身の中年化をひしひしと感じる。
 やや説教臭いところが気になるが、子役たちの力演はそれを補ってあまりある。
 

12月28日

 東京から京都に戻って、自宅で増村保造監督『大悪党』(大映、1968年)を観る。原作は圓山雅也弁護士。国会議員になった丸山弁護士ではありません。元祖タレント弁護士です。
 ヤクザの安井(佐藤慶)は組が解散に追い込まれて、食うに困っている。そんな安井が目をつけたのが、長野から上京してきた洋裁学校の女学生(緑魔子)である。安井は彼女を酔わして強姦した上、裸の写真で恐喝し、有名歌手(倉石功)の相手をさせる。だが、実はその様子も8ミリで盗撮しており、歌手と芸能プロダクションを強請るのである。
 困ったプロダクションの社長(内田朝雄)は、悪徳弁護士の徳田(田宮次郎)に相談した。徳田はなんと女学生に安井殺しを示唆し、彼女が殺人を実行すると弁護を引き受け、架空の「兄貴」が安井を殺したことにして無罪を勝ち取ってしまう。
 徳田はプロダクションから500万円を巻き上げ、女も自分のものにできると思うが、逆に女に金を奪い取られてしまう。「私は一事不再理なんでしょう。でも先生の罪は重いわ」。殺人を犯した女は、すっかり別人に変貌していたのである。
 他に、検事役で北村和夫ら。
 増村らしくテンポが早く、佐藤がダニのようなヤクザを好演している。緑も女の弱さや愚かさと恐ろしさを、好演というより怪演している。
 脅迫写真のように、作品全体の白黒が効果的。

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