Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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8月10日

 昨日今日と、卒業生諸君と一緒に、岡山県の奥津温泉を訪ねました。映画『秋津温泉』の舞台になったところです。

 さて、帰洛後(京都に戻った後という意味、念のため)、京都文化博物館で山本嘉次郎監督『馬』(東宝、1941年)を観賞。何と、黒澤明が製作主任(事実上の助監督)!
 東北・岩手の貧農で、娘のいね(高峰秀子)は、両親(藤原鶏太[鎌足]と竹久千恵子)の反対を押し切って、馬を飼う。馬が病気になると、雪の中を温泉近くまで薬草をとりにいくほどの熱心さである。やがて、その馬が出産、子馬が生まれる。家族揃って喜んだのも束の間、父が借金のために子馬を売ろうとし、逆にいねは馬のために紡績工場で働くことを決意する。
 成長した子馬は競売で高値で軍馬として売られ、いねの借金も清算されるが、いねは子馬と涙ながらの別れをすることになる。
 高峰がまだ初々しい10代、他に祖母役に二葉かほる、先生役に丸山定夫など。
 日中戦争たけなわ、太平洋戦争開戦の年で、冒頭に東条陸軍大臣の訓示が出てくるように、軍民協力を謳ったプロパガンダの側面もある。登場人物は皆善意の人びとである。
 とはいえ、東北の春夏秋冬をリアルに描き、家族の絆と人と馬の絆を感動的に綴っている。藤原も竹久も二葉も、いかにも東北の善良で貧しく少し狭量な百姓、という感じを出している。
 冒頭とラストの馬の競売シーンが印象的。いねの育てた子馬は550円で、陸軍に買い取られる。
 因みに、母親役の竹久は、この作品完成後に日系アメリカ人記者と結婚のため渡米したが、太平洋戦争開戦で強制送還、戦後、占領軍として進駐してきた夫と再会、再渡米するという、映画並みの波乱万丈の人生だった由。

8月9日

 日付が替わってからDVDを一本。もうホラーではありません。
 渋谷実監督『本日休診』(松竹、1952年)。原作は井伏鱒二。
 東京の下町にある三雲医院は、本日休診である。ゆっくり休もうという老先生(柳栄二郎)を尻目に、暴行された女性、指をつめるというヤクザ(鶴田浩二)、死産したその愛人(淡島千影)など次々に患者が現れ、また出産のために往診に出向く羽目になる。出色は、ばあやの息子(三國連太郎)で、戦争から戻って精神に異常をきたしている。彼は今でも陸軍中尉の中隊長のつもりなのだ。老先生は、博打検挙のための囮の宴会にまで駆り出される。そして、この検挙で、治療費を踏み倒した元患者が、たくさん逮捕されるのだった。
 他にも、佐田啓二、佐野周二、岸恵子、中村伸郎、望月優子、多々良純などなど。
 佐田が19歳の青年というのは無理があるが(実際には26歳)、それでも鶴田も佐田も三國も岸も、中村すらも皆若い。下町の風情もいい。
 暴行された女性に老女が言う。「災難なんて蟻の行列みたいなもんですよ。うかうかしてると、次から次にやって来ますからね」。
 開業医の多忙な生活と、その中での充実を描いている。今では、医者はますます多忙になりながら、三雲医院のような充実は望めまい。
 私の知る限り、柳の唯一の主演映画だ。

8月8日その2

 続いて観たのは当然、『らせん』。98年に『リング』と同時劇場公開されたそうですね。原作は同じく鈴木光司、監督は飯田譲治。
 前作『リング』で高山(真田広之)は死ぬが、その遺体解剖に当たったのが、高山の旧友・安藤(佐藤浩市)である。安藤は2年前に一人息子を死なせており、自殺を図ったこともある。
 安藤は高山の恋人・高野舞(中谷美紀)から貞子の念写ビデオの話を聞くが信じない。だが、自身がビデオを観て、信じるに至る。安藤はビデオを処分して自分だけ死のうと決意するが、実は浅川の残した手帳からも死が感染することが明らかになった。貞子の怨念は天然痘の変種として現れたのである。
 さらに、貞子はDNA再生によって、この世に生き返ろうとしていた。高山のしかけた謎解きも手伝って、安藤は貞子の再生に手をかしてしまうことになる。
 話が壮大になってきた分、怖さは薄らぐ。
 手帳からも感染するというのは、巧みな展開だが、伊豆や大島といった田舎は登場せず、舞台はすべて東京で、過去の回想もない。ホラーというよりSFに近い。
 しかし、原作者の想像力には、ただただ感服する。
 ただし、弱点と思われるのは、これだけ人が次々に死んでいるのに、警察の動きが鈍すぎること。前作でも淺川と高山は貞子の遺体を井戸から発見し、そこには警察も駆けつけているのだから、前作から本作へと警察の動きはもっと大きくなるだろうに。

8月8日

 昨夜、いつもの東京のホテルでホラー映画を2本観賞。
 まず、中田秀夫監督『リング』(東宝、1998年)。原作は鈴木光司。
 4人の高校生が、同時刻に別々のところで突然死する。
 この事件に不信を抱いたテレビ・ディレクターの淺川(松嶋奈々子)は、4人が伊豆のペンションで偶然観たビデオテープを発見した。これを観ると無言電話がかかってきて、その1週間後には死ぬことになる。淺川は、霊感をもつ別れた夫・高山竜司(真田広之)に相談、二人で真相解明に当たる。
 実は、このテープは40年前に殺された超能力者・山村貞子の怨念が念写されたものだった。この間、淺川と高山の間にできた子供までテープを観てしまい、二人は貞子の遺骨を発見して供養しようとするのだが。
 ご存知のとおり、怖い怖い話です。一滴も血が流れていないのに、こんなに怖い。
 「不幸の手紙」や都市伝説が下敷きになっています。
 1995年に単発のテレビドラマ化された時に、私は偶然観ています。こちらのほうが原作には忠実なようですね。
 昨夜この映画を観終わった時に、テレビ局のディレクターから携帯電話がかかってきたので、ホントに怖かったです!
 

8月6日

 KIYOさん、テンちゃんへのメッセージありがとうございました。

 今夜は久しぶりに自宅でDVD、中原俊監督『櫻の園』(アルゴ企画、1990年)。漫画が原作だそうで、脚本はじんのひろあき。
 名門女子高・櫻華学園の創立記念日では、毎年チェーホフの『櫻の園』が演劇部によって上演される。その当日朝の開幕前2時間の女子高生たちの心の揺れ動きを、繊細に描いた作品である。部員の一人(つみきみほ)の喫煙が前日に発覚したことから、上演中止の可能性もあるという、緊張の中での2時間である。そこに、女子高生の性と愛への好奇心、仄かな同性愛の香りと先輩・後輩関係、里見先生(岡本舞)と部員たちの信頼関係、教師の間の緊張などが、巧みにはめ込まれている。カメラワークも見事。また、ショパンのピアノ曲が作品を引き立てる。
 ベテラン教師役の南原宏治や憎まれ役の上田耕一ら、ほんの数人を除いて、出演者は若い女性たちである。
 作中劇が重要な役割を果たすという点で『Wの悲劇』を、女子校の管理体質という背景の点で『女の園』を連想させる。
 櫻が毎年咲くようにチェーホフも毎年演じられるが、演じる女学生たちにとっては櫻同様に一期一会だということになる。
 携帯もネットもなかった頃の女子校生活である。
 湾岸危機勃発の年に公開された、文字通り桜色のような作品である。この頃、私は留学前の大学院生で、ここに登場したような高校生たちを塾や予備校で教えていました。
 この作品、もうすぐリメイクされるようですね。
 

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