Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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8月3日

 『紙屋悦子』、私もぼた餅のシーンはよかったと思います。食べたくなりました。

 さて、京都文化博物館で清水宏監督『風の中の子供』(1937年、松竹)を観る。
 清水は小津と並ぶ松竹の名匠だったが、あまり知られていなかった。最近にわかに注目が集まっている。
 善太(葉山正雄)と三平(爆弾小僧)の兄弟は、兄が秀才で弟がガキ大将である。
 ある日、いつも三平にいじめられている金太(アメリカ小僧)が、三平に「お前のお父さんはもうすぐクビになって、お巡りさんに連れて行かれる」と語る。
 実際、兄弟の父(河村惣吉)は背任の容疑で警察で取調べを受けることになる。母(吉川満子)は生活を支えるため仕事に出ようと、幼い三平をおじさん(坂本武)のところに預ける。だが、三平はいたずら三昧で連れ帰られてしまう。母は自殺さえ考えるが、父の無実を証明する書類が日記から見つかり、父は無事に釈放される。こうして、三平にいたずら生活が戻ってくるのだった。
 大人の人間関係が子供のそれに投影される。小津の『生まれてはみたけれど』と似た構図である。
 主人公は爆弾小僧は1928年生まれだから、存命なら今年80歳になる。他にも、アメリカ小僧や突貫小僧(曲芸団の子供役)など、ユニークな芸名の子役が登場。
 笠智衆が警官役で登場しているそうだが、気づかなかった。
 日中戦争の影をまったく感じさせないのどかな作品。特に、お父さんと子供たちの相撲は、ほのぼのしたものである。
 映像と音声の痛みがひどいのは残念だった。

8月2日

 実家で母と黒木和雄監督『紙屋悦子の青春』(バル企画ほか、2006年)を観る。同志社出身の映画監督・黒木の遺作である。原作は松岡正隆の戯曲。
 敗戦迫る昭和20年4月の鹿児島。紙屋悦子(原田知世)は両親を亡くし、兄夫婦(小林薫と本上まなみ)と暮らしている。兄の後輩・明石少尉(松岡俊介)は悦子を愛しており、悦子も明石に好意を抱いているが、明石は飛行機乗りで、いつ出撃命令がくだるかもしれない。そこで、明石は親友で整備部門で働く永与少尉(永瀬正敏)を悦子と見合いさせる。やがて、明石は出陣して戦死し、永与は明石の分まで悦子を愛さなければならないと誓う。
 舞台劇の映画化なので登場人物は少なく、もちろん、戦闘シーンもない。
 原田はじめ出演者は好演だし、作中の桜の花は若者たちの運命を象徴して、切なく美しい。
 だが、ストーリーは単調であり(それがいいという向きもあろう)、冒頭とラストに登場する原田と永瀬の老け役は、いかにもメイクで無理がある。
 淡い佳作だとは思うが、世評ほどの名作と言えるかどうか、やや躊躇する。

8月1日

 昨夜は母の愛犬が老衰死したとの訃報が、出張先に届きました。享年16歳ですから、犬としては天寿全うでしょう。合掌。さよなら、テンちゃん。
 さて、昨夜はいつもの東京のホテルで、野口晴康監督『大巨獣ガッパ』(日活、1967年)を観る。本作は、日活唯一つの怪獣映画。このホテルほんとに日活系なんです。
 雑誌『プレイメイト』の社長は観光業進出を図り、太平洋に調査船を派遣する。ジャーナリストの黒崎(川地民夫)や女性カメラマンの小柳(山本陽子)、生物学者の殿岡(小高雄二)、通訳の日系アメリカ人(藤竜也!若い)などが乗船している。彼等は南海の孤島オベリスクで不思議な巨大爬虫類の子供を発見、日本に持ち帰る。それが伝説の大巨獣ガッパの子供だったのだ。
 『プレイメイト』社長は子供ガッパを見世物にして金儲けを企てるが、やがて親ガッパ二匹が日本に飛来、子供を探して熱海を破壊し、東京にも迫る。彼等は身長60メートル、マッハ6のスピードで、口から青色の光線を放ち、自衛隊を焼き尽くす。
 ついに黒崎や小柳らが子供ガッパを羽田空港で解放し、親ガッパと子供ガッパは再会、仲良く故郷に帰っていく。
 「さよなら日本 さよならガッパ 仲良くガッパ 故郷に帰れ ガッパ」とは主題歌である。
 他に和田浩二も(ただし、ほとんど科白なし)。
 ゴジラとキングコングの話を足して二で割ったような作品。日活がこれしか怪獣映画を作らなかったことも、頷ける(カルト的ファンの皆さん、すいません)。「大巨獣」という表現からして、明らかに冗長である。
 子供ガッパを隔離調査するのが、東都大学生物研究所なのだが、映画やテレビは東都大学という名前がお好きですね。架空の大学名としては最多登場ではないだろうか。
 この頃の映画の中の自衛隊って本当に無力ですね。

7月31日

 また1週間ほどご無沙汰しました。訪問者が4万人突破です、ありがとうございます。
 さて、今日は京都・みなみ会館で衣笠貞之助監督『源氏物語・浮舟』(大映、1957年)を鑑賞。今年の「雷蔵祭」の有終の美を飾る。
 「宇治十帖」に取材した北条秀司の戯曲が原作で、脚本は衣笠と八尋不二。
 光源氏の嫡男・薫の君(長谷川一夫)は大納言に任じている。愛する大井の君(山本富士子)と死別するが、常陸の田舎から母・中将(三益愛子)に連れられて都に出てきた大井の君の妹・浮舟(山本)に一目惚れする。薫の君は帝(中村雁治郎)から二宮を嫁にと迫られるが、これを固辞して官位も捨てる。
 だが、帝の二男で好色な匂宮(市川雷蔵)も、浮舟を狙っていた。浮舟は心は薫宮にありながら、強引な匂宮に身体を奪われてしまう。やがて、薫宮の真情に触れた浮舟は宇治川に身を投じるのだった。
 他に、匂宮の北の方で浮舟の姉に当たる中の宮に乙羽信子、匂宮に口説かれて夫・右近小納言に殺害される北の方に阿井三千子、浮舟の侍女・侍従に中村玉緒、侍従を口説く匂宮の供者に個性派の山路義人、そして、匂宮のもう一人の愛人役に藤間紫などなど。柳栄二郎や浪花千栄子の顔も。
 衣装と美術が豪華絢爛。お歯黒と眉も印象的。阿井などはお歯黒を口から垂らしながら、夫に殺される。
 心と体に引き裂かれる女の悲劇。「女の幸せはどこにあるかわからない。こうなったら、成行きに任すしかない」とは、浮舟の母・中将の台詞。
 雷蔵は前回観た『鯉名の銀平』では失恋男役だったが、この作品では憎々しい敵役、いわゆる色悪である。ストーリー展開が冗長なのが、やや難か。とはいえ源氏物語千年紀にふさわしい王朝絵巻でした。

7月25日

 少しご無沙汰しました。
 昨夜、東京のホテルで斎藤武士市監督『大草原の渡り鳥』(日活、1960年)を観る。このホテルの映画メニューはなぜか日活中心なんです。
 ご存じ、小林旭の「渡り鳥」シリーズで、今回は北海道が舞台。悪徳事業家の高堂(金子信雄)はアイヌ部落を追い出して、空港を建設しようとしている。そこに、小さな男の子(江木俊夫)の母親を探し歩いている「渡り鳥」滝伸次(小林)が流れ着く。滝はアイヌ部落を守ろうとする地主(佐々木孝丸)やその娘(浅丘ルリ子)に協力して、高堂のいやがらせを退ける。だが、高堂には凄腕の用心棒(宍戸錠)がついている上、高堂の愛人のクラブのマダム(南田洋子)こそ、坊やの母親だった。
 いわゆる日活無国籍アクションで荒唐無稽と言えばそれまで、理屈で考えても仕方ない。小林は華奢に見えるが、とにかくカッコイイ。
 子役の江木はあどけないが、彼がのちにアイドル・グループのフォーリーブスを経て、犯罪者になろうとは。若いころの南田は、思った以上に美貌である。他に、アイヌ女役に白木マリなど。
 当時の釧路はそれなりの都会だった様子。地主が高堂に借金して返済に苦労する金額が200万円である。
 原作はもちろん、原健三郎(元衆議院議長)、撮影は高村倉太郎、助監督が神代辰巳である。
 作中の歌「イヨマンテの夜」は迫力がある。

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