Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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12月25日

 皆さん、メリー・クリスマス!
 昨夜は神戸の教会の礼拝に出席したあと、実家で母と篠原哲雄監督『山桜』(2008年)を観賞。原作は藤沢周平。
 江戸後期の北国の小藩での物語。
 主人公の野江(田中麗奈)は夫に先立たれ、磯村の家に再び嫁いだが、義理の両親は冷たく、夫も出世と金儲けしか頭にない。ある日、野江は実家の浦井家(父は篠田三郎、母は壇ふみ)に戻り、未婚で亡くなった叔母の墓参をする。その帰途、美しい山桜の下で、かつて求婚されたことのある剣の達人・手塚弥一郎(東山紀之)に再会する。野江は手塚に惹かれる。
 だが、藩内では、農政を牛耳る重臣の諏訪(村井国夫)が、新田開発のために貧農に重税を課し、その裏で私腹を肥やしていた。農民の惨状を見かねた手塚は城内で諏訪を斬り、牢につながれる。一方、磯村の家を追われた野江は実家に戻り、さらには、手塚の母(富司純子)を訪ねる。
 実母が野江に言う。「あなたは幸せのためにほんの少し回り道をしているだけですよ」。
 壇の演じる母親は気品があり暖かい。富司も最後に登場するだけで、さすがの存在感。
 二人が山桜の下で再会する冒頭シーンで、この映画のモチーフは語りつくされている。冒頭こそ映画の命という淀川長治の言葉が思い出される。
 映像も美しい。だが、映像美に頼りすぎて、リアリティを欠く気もする。獄中の東山に無精髭さえのびていないのは、瑣末なようだが象徴的か。

12月23日

 今日は自宅で早めに松林宗恵監督、八住利雄脚本『世界大戦争』(東宝、1961年)を観賞。先日、知人に薦められた作品です。特撮監督は円谷英二。
 戦後15年を経て、東京は復興し人々は平和に暮らしている。しかし、世界は連邦国と同盟国の二つの陣営に分かれて対立し、核戦争の危機に絶えずさらされている。
 そんな中で、タクシー運転手の田村(フランキー堺)は、病弱な妻(乙羽信子)と子供たちと幸せに暮らしている。長女(星由里子)は外国航路の船乗り・高野(宝田明)と婚約することに。だが、海外で発生した偶発的戦闘から、世界核戦争の危機がにわかに高まる。日本政府では首相(山村聡)以下、外務大臣(上原謙)らが和平に奔走するが、無駄に終わる。
 やがて、東京に核ミサイルが飛来し、きのこ雲とともに首都は廃墟と化す。モスクワもニューヨークもロンドンもパリも、破壊される。
 海外航海中だった高野たちの船は、船長(東野英治郎)の判断で日本に戻ることになる。
 戦争の危機が迫り人々は逃げ惑うが、田村一家は自宅に留まる。
 「何も悪いことはしぃちゃいねえんだ。逃げることはねえ」と、田村は強がりを言う。
 戦争の特撮シーンは今からすると粗雑だし、国際政治の動きも単純化されている。だが、庶民の生活を丹念に描くことで、戦争の悲惨が浮き彫りになっている。
 監督は僧籍にある人とか。
 他に、笠智衆や中村伸郎(官房長官)、河津清三郎(防衛長官)、白川由美ら。
 閣議が円卓で行われ、官房長官が後方席に控えているのは、不自然で珍妙。
 織田政雄演じる焼芋屋のお爺さんは、広島で家族を失い、反核運動に募金している。
 「東京ミサイル防衛司令部」というのが出てくるが、まったく無力です。 

12月20日

 実はホテルでもう一本。村川透監督『野獣死すべし』(角川映画、1980年)。原作は大藪春彦の処女作。実は、59年に仲代達矢主演で、74年には藤岡弘主演で、それぞれ映画化されている由。
 主人公の伊達(松田優作)は元戦場カメラマンで、心を病んでおり、殺人にエクスタシーを感じるようになっている。そんな彼が刑事を殺害して拳銃を奪い、ヤクザの賭博場を襲撃する。
 だが、これは序の口であった。伊達はさらに、真田(鹿賀丈史)という凶暴な若者を仲間に引き入れ、日本橋の銀行強盗を敢行する。12人の行員や警備員を射殺しただけでなく、コンサートで知り合い自分の素姓を知る令子(小林麻美)という女性も殺害する。
 逃走中に出くわした柏木刑事(室田日出男)にも発砲し、戦場の悪夢にとりつかれた伊達は、ついには仲間の真田をも殺害する。
 他に、佐藤慶や草薙幸二郎らベテランに加えて、風間杜夫や岩城滉一らも主人公の大学時代の同級生役で登場する。佐藤は拳銃のバイヤーの役だが、わずかな台詞で東北訛りである(実際に東北出身)。
 主人公は「ランボー」と「地獄の黙示録」を足して二で割ったような人物像であり、松田が狂気の暗渠を見事に演じている。
 鹿賀のパンチパーマは、結構笑える(失礼)。
 主人公は柏木刑事にリック・ヴァン・ウィンクル(西洋版の浦島太郎)の話をするが、ラストシーンでは彼自身が一人取り残されたコンサートホールで目をさます。
 リックではなくリップですね、入力ミスでした。tuneaki999さん、たびたびのご指摘ありがとうございます。細かいところまでご覧いただき、恐縮です。
 銀行強盗シーンは、映画公開の数年前の大阪での三菱銀行襲撃事件を連想させる。
 迫力のある作品だが、就寝前の選択としては失敗か。
 因みに、東京のタクシー初乗りは380円となっていました。

12月7日

 週末は私事でトラブル続きだったのですが、ようやく落ち着きを回復しつつあります。
 今夕はなんとか京都文化博物館に間に合いました。
 野村芳亭監督『金色夜叉』(松竹、1932年)。原作はもちろん尾崎紅葉。監督の野村芳亭は、松本清張ものの映画化で有名な野村芳太郎監督の父。
 間貫一(林長二郎、のちの長谷川一夫)は学生ながら、お宮(田中絹代)という許婚がいる。ところが、宮は富豪の富山(斉藤達雄)に誘惑され、ダイヤモンドに目がくらんでしまう。熱海の海岸で離別する貫一とお宮。1月17日の月が二人の脳裏に刻まれる。
 その後、お宮は富山と結婚するが、この夫婦生活は不幸なものだった。他方、貫一は冷血な金貸しになっている。これが「金色夜叉」である。だが、貫一の旧友・荒尾(岩田祐吉)の計らいで、貫一とお宮は再会を果たすのだった。
 若い頃の長谷川一夫を観て、彼が世紀の二枚目と言われるのも尤もだと思った。色気がある。田中は可憐である。
 昭和初期の銀座の風景で、ジェネラル・モーターズやシトロエンの電光掲示板が輝いているのには、驚いた。
 ただし、100分以上もサイレント映画を観るのは、それなりにタイヘンです。
 尾崎紅葉の原作はたいへんな美文調で、以前途中まで読んでやめてしまったが、また再読してみようと思う。

11月16日

 気がつくと、アクセス件数が5万件を越えていました。皆さん、ありがとうございます。
 さて、最近はわれながら娯楽路線に走っていますが、久々の「極妻」。
 橋本一監督『極道の妻たち 情炎』(2005年、東映ビデオ)。Vシネマではなく、劇場公開版です。
 神戸の名門ヤクザ菅沼組は、組長(大木実)が重い病の上、若者頭の西郷が何者かに殺されてしまう。幹部会は組長の娘婿の河本(保坂尚輝)を次期組長に推す。だが、西郷の未亡人・波美子(高島礼子)の反対にあって実現しない。河本は5年前に済州島から日本に渡ってきた男で、背後には日本最大の暴力団・坂下組の大幹部・長嶺(松重豊)が控えていた。
 瀕死の菅沼組長が自分の後継者に西郷の弟・恭平(山田純大)を指名したことから、河本らは恭平殺害を計画する。これに、韓国で河本の妻だった英玉(杉本彩)という美女が登場し、菅沼組長の通夜に、波美子と英玉は河本と長嶺らに対する復讐に立ち上がるのだった。
 いつも通りの展開で、杉本のヌードなどいくつかの濡れ場も用意されている。
 保坂と杉本が韓国語で会話するが、どうも怪しげな発音である。
 高級ナイトクラブで和服の高島と赤いドレスの杉本が踊るシーンは、レズビアン的雰囲気をかもし出している。そして、この二人が最後には道行きで死地に赴くのである。これは高倉健と池部良の『昭和残侠伝』の女性版である。そして、重態の組長役が、1960年代の東映ヤクザ映画を支えた大木実ときては、ヤクザ映画の世代交代を象徴してもいる。
 作中に原作者の家田荘子も登場。先日、広島行きの新幹線でお見かけしました。
 因みに、今日は東京から戻る車両で東国春・宮崎県知事を見かけました。


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