Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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11月13日

 東京のホテルで、手塚昌明監督『戦国自衛隊1549』(東宝、2005年)。原案は半村良で本作の原作は福井晴敏。1973年版のリメイクです。
 自衛隊の実験中にプラズマ電磁波が発生して、的場一佐(鹿賀丈史)率いる部隊が戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこで的場は織田信長になりすまし、歴史の修正をはじめる。もしこれが実現すれば現代は滅んでしまう。
 そこで、ロメオ隊が編成され、森三佐(生瀬勝久)の指揮の下、神崎二尉(鈴木京香)や的場の元部下・鹿島(江口洋介)らが、的場らを現代に連れ戻し、歴史を修復するためにタイムスリップする。現代に復帰するまでの時間は74時間強にすぎない。
 斎藤道三(伊武雅刀)の部下・七兵衛(北村一輝)らの助けを借りて、鹿島と神崎らは的場を倒す。そして、七兵衛を織田信長にすることで、歴史の修復をも果たすのだった。
 「未来とは人の世の希望だ」と、鹿島らは言う。
 戦国の侍たちと自衛隊の戦車やヘリとの応戦は見もの。
 オリジナル版とは、かなり話が異なるようですね。
 それにしても、的場が織田信長になりすまして歴史を改鋳しようとする意図が、あまりに観念的で不明。これが本作の最大の弱点でしょう。『地獄の黙示録』のマーロン・ブランドーを一瞬思い出しましたが、もちろんブランドーの演じた人物像のほうが、はるかに迫力と深みがありました。
 自衛隊も製作に協力している由。自衛隊高官の中には、本当に歴史を改竄しようとした人もいたようですが、これは余談です。
 伊武の道三役はイメージぴったりでよかった。もちろん、鹿賀の信長姿も堂に入っています(少し年がいってはいるけれど)。他に、嶋大輔や宅間伸、的場浩司ら。
 娯楽作品としては、十分楽しめます。近いうちに、オリジナルと見比べてみたいと思います。

11月9日

 今夜は久しぶりに完全娯楽路線で、石井輝男監督『網走番外地 北海編』(東映、1966年)。
 網走刑務所を仮出所した橘真一(高倉健)は、刑務所内の弟分(千葉真一)のために、危険な雪道の長距離トラックの運転を引き受けることになる。荷物の依頼主は怪しいやくざ者二人(安倍徹と藤木孝)で、荷物は実は麻薬である。このトラックに運送会社の社長の娘(大原麗子)がなぜか乗り込んでおり、さらには、網走の脱獄囚(杉浦直樹)や骨折した子供とその母親、心中未遂の美女が乗り合わせることに。最後には、麻薬密売の証拠隠滅を図るヤクザたちと、ヘリコプターまで登場して、橘は雪原で大乱闘となる。
 他に、嵐寛寿郎や田中邦衛ら常連も。小沢栄太郎もヤクザの組長役で登場するが、珍しく、役柄も芝居もまったく冴えない。
 オムニバス仕立てのストーリーだが、メリハリに欠ける。
 人目を惹くのは若い大原麗子の存在感と、冒頭の刑務所内のドタバタ喜劇であろう。とりわけ、由利徹と砂原秀夫が「オカマ」の夫婦をひょうきんに演じ切っている。

 馬鹿な 馬鹿な 野郎と 呼ばれても
 おいらにゃ おいらの 夢がある
 シベリア降しも肩できる
 その名も 網走番外地

11月5日

 オバマ氏当選ですね。
 それとはまったく関係なく、自宅で岡本喜八監督『暗黒街の顔役』(東宝、1959年)。
 峰夫(宝田明)という若者は、横光組の命令で金融会社の社長を殺すが、その時、通りがかりの女性に目撃されてしまう。組長(河津清三郎)は峰夫に姿を隠すよう命じるが、峰夫はキャバレーで歌手を続け、目撃者に気づかれてしまう。組長の命を受けた黒崎(田中春男)は峰夫を狙う。組の幹部・小松(鶴田浩二)は峰夫の兄で、弟を守ろうとし、ついには組と全面対立してしまう。
 他に、黒崎に脅されている自動車整備工場の主に三船敏郎、組長の愛人に草笛光子、黒崎に雇われた殺し屋に佐藤允、若いチンピラに夏木陽介、小松の兄貴分に平田昭彦、外人ギャングのボスにミッキー・カーティスら。中丸忠雄や白川由美も。この面子から岡本監督の代表作『独立愚連隊』までは、そう遠くない。特に、若い頃の白川、さすがに品があって美人ですね。
 宝田が歌手として歌を披露しているが、決してうまくはない。「世界のミフネ」が、ここでは完全に脇役である。いつもは冴えない関西男を演じる田中春男が武闘派ヤクザというのも意外。
 小松が足の不自由な一人息子に買い与える玩具のロボット、これがSF古典『禁断の惑星』に登場したロボットのミニチュアである。このロボットは『刑事コロンボ』シリーズ『愛情の計算』にも出演していました。
 

11月3日

 今夜は自宅で熊井啓監督・脚本『日本列島』(日活、1965年)。
 1959年、リミット曹長という米軍人が怪死する。米軍犯罪調査課の通訳・秋山(宇野重吉)は、かつて妻を米兵に殺された過去をもち、この事件の真相解明に乗り出していく。警視庁捜査一課の刑事(鈴木瑞穂)や若い新聞記者(二谷英明)も仲間だ。どうやら、事件の背後には、贋札作りや麻薬の密売を手がける巨大なスパイ組織が存在するらしい。占領下の下山事件や三鷹事件も無関係ではない。謎の元憲兵将校(大滝秀治)の姿も見え隠れし、彼の元部下(佐野浅夫)も秋山らに情報提供したために殺される。
 さらにスチュアーデス殺人事件が発生し、事件の容疑者であるアメリカ人神父は国外に逃亡してしまう。無力感に打ちひしがれる警察とマスコミ。だが、秋山は真相を求めて、さらに沖縄に。そして、彼もそこで変死体となって発見されるのである。
 他に、芦川いづみや内藤武敏ら。
 日本列島全体がアメリカの陰謀と支配に覆われているという政治サスペンス。熊井監督の得意のテーマである。
 最後にキューバ・ミサイル危機の頃のケネディの演説が登場する。この当時でも、日本の新聞社の社内のみすぼらしいこと。
 ここまで露骨なことはないにしても、米軍関係の横暴や諜報機関の暗躍はあったろうし、今もあるだろう。重厚な音楽は伊福部昭。
 また、贋札作りや麻薬密売も、北朝鮮の専売特許ではなかったようだ。
 「ザンメル」という謎の言葉が手がかりになって、秘められた事件が徐々に明らかになっていく。熊井監督の語り口は巧妙である。

10月28日

 神戸の実家で母と市川崑監督『かあちゃん』(2001年)を観賞。
 天保時代、世は乱れている。だが、ある長屋の一家は母親(岸恵子)を中心に子供たちもせっせと働き、金を貯めている。近所からは吝嗇と見られているが、そうではない。盗みの咎で罪人になった友人(尾藤イサオ)が放免された時に店をもてるよう資金を貯めてやっているのだ。この家に忍び込んだ泥棒(原田龍二)も「かあちゃん」に情けをかけられ、家族の一員になってしまう。善意の塊のような「かあちゃん」だが、実は亡夫の耳にほくろがあり、同じように耳にほくろのある男には親切なのだ、という落語のようなオチがついている。
 美術は西岡善信、脚本には和田夏十の名も。随分昔に仕込んだネタなんですね。原作は山本周五郎。音楽の宇崎竜童は、同心役でも登場する。他には大屋に小沢昭一、長屋の隣人たちに中村梅雀や江戸家子猫など。
 確かに心暖まる物語だし、居酒屋の様子などは『どら平太』を連想させる。上から瓦屋根と路面を写すアングルなども市川らしい。しかし、あまりにも単純な話で人物描写にも深みがない。だいたい、岸恵子は貧乏長屋の「かあちゃん」になんか見えないのである。やはり、市川の作品は当たり外れが大きい気がする。
 とはいえ、わが家の「かあちゃん」は単純に喜んでいたから、その点ではこの選択は成功でした。


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