Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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10月6日

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 宣伝はさておき、今夜は自宅で家城巳代治監督・脚本『路傍の石』(東映、1964年)を観賞。原作は勿論、山本有三。戦前を含めて4回映画化されている由。
 時代は日露開戦の前夜。貧乏士族の家に生まれた愛川吾一(池田秀一)は、小学校での成績は一番だが、経済的な理由で中学校に行けない。母親(淡島千景)は内職をしながら、吾一の進学を願っていたが、酔っ払いの父親(佐藤慶)は吾一の貯金まで取り上げて、東京で国士の真似事をしている。
 吾一は呉服屋の伊勢屋に丁稚に出され、名前も吾助と丁稚風に改められる。伊勢屋は同級生の家でもあり、中学校に進学した同級生に宿題を押し付けられたりする。おまけに、先輩たちにはいじめられ、大番頭(織田正雄)や番頭(織本順吉)もいじわるだ。
 やがて、小学校時代の仲良しが病死し、吾一は東京に出て勉強しようと決意する。小学校の先生だった次野先生(中村賀津雄)が上京しており、吾一の頼りだ。はじめは反対した母も、吾一を応援してくれた。吾一は希望と不安に胸膨らませながら、東京へと旅立っていく。
 他に愛川の隣家の叔母さん役に清川虹子ら。
 本来は士族で平民より身分が高いし、勉強もできる。しかし、経済的に貧しい。その分、進学できない理不尽が一層際立つ。愛川の表札には、わざわざ「士族」と書かれている。
 池田をはじめ、子役たちは好演だと思う。池田はのちに、声優として「ガンダム」などで活躍した由。次野先生役の中村は、兄・錦之助にそっくり。淡島は清楚。でも、いい人すぎるか。
 明治末期の子供たちの人間化関係は、『橋のない川』や『たけくらべ』を連想させたし、ラスト・シーンはヘンリー・フォンダ主演の『スペンサーの山』を彷彿とさせた。『スペンサー』では、都会の大学に進学しようとする田舎の貧しい青年が、バスの隣客に「どちらまで?」と聞かれ、つぶらな瞳で「未来です」と答えるのである。
 教育が若者の大きな希望であった時代の作品です。今もそうあってほしいものですが。

10月5日

 今夜は自宅で蔵原惟繕監督『南極物語』(1983年、フジテレビ他)。
 1956−58年の第一次南極観測隊(隊長役は岡田英次)が二次隊(隊長役は神山繁)に交代する際、天候不良で樺太犬15匹を昭和基地に放棄して、観測船「宗谷」(船長役は山村聡)で撤収することになった。犬の世話に当たってきた北大の潮田(高倉健)と京大の越智(渡瀬恒彦)は断腸の思いだ。帰国後、潮田は北大を辞して、犬の提供者たちを巡る懺悔の旅をする。
 一方、犬たちは南極の冬を必死に生き延びようとする。やがて、第三次越冬隊が編成される。これに参加した潮田と越智は、南極で生き残ったタロとジロに感動の再会を果たすのだった。
 ナレーションは小池朝雄。他に、越智の恋人役で夏目雅子、犬の飼い主の少女に荻野目慶子(若い、というか、まだ幼い)。喫茶店のマスターに岸田森。稚内市長役には、本物の市長・浜守辰雄が出演している。
 私が大学に入学した年に公開されているが、当時としては空前の大ヒットだったとか。
 潮田と越智のコンビがタロとジロの兄弟と重なってくる。
 それにしても、高倉健という役者は、どんな作品に出てもあくまで「高倉健」なのがすごい。
 犬たちの調教、大したものだと思います。
 因みに、「宗谷」という観測船は、1938年に就役したものを改造して使っていた由。

9月28日

 今日は久しぶりに京都文化博物館に。丸山誠治監督『太平洋奇跡の作戦 キスカ』(東宝、1965年)。特撮監督は円谷英二、快調な音楽は団伊玖磨。
 昭和18年、アリューシャン列島のキスカ島には、秋谷司令官(藤田進)以下、日本軍守備隊5千人が孤立し、米軍の攻撃にさらされている。海軍軍令部では激論が戦われるが、第五艦隊司令長官の川島中将(山村聡)と同先任参謀の国友大佐(中丸忠雄)の建策に、軍令部長(志村喬)が同意して、キスカ救出作戦が決行される。
 作戦の任に当たるのは大村少将(三船敏郎)。制海権と制空権を奪われた中で、霧に身を隠しながら一切の通信を絶って、艦隊はキスカに接近する。この間、決死の国友大佐が潜水艦でキスカに先行上陸、秋谷司令官らと詳細を打ち合わせて、救援を待つ。だが、一回目の救援作業は失敗。守備隊は絶望し、第五艦隊の志気も緩むが、大村の冷静で忍耐強い指揮により、ついに二度目で7月に全員救出に成功する。
 その後、米軍は犬二匹を残すのみの無尽の島を攻撃することになる。
 今からすれば玩具のような特撮だが、白黒映像の中でなかなかの迫力を示す。
 キスカが米領だったことから、日本はこの地の占領に固執した由。
 三船と山村、貫禄です。無口な腹芸の指導者というのが、かつての日本的上司の理想でしょうか。
 救出に成功し、三船と藤田が対面するシーンは、地味だが感動的。二人とも黒澤映画で売り出した俳優だ。
 他に、田崎潤、平田昭彦や児島清。児島が実に若い。円谷特撮監督らしく、ウルトラマンの出演者も脇役で顔を出している。
 戦争映画とはいえ、殺戮を目的としない救出作戦で、爽やかな後味を残す。米軍も爆撃以外ではまったく登場しない。そして、女性も一切登場しないのが、この映画の最大の特徴か。
 だが、キスカで救出された将兵の多くも、その後太平洋の別の作戦で散っていったのではないだろうか。

9月27日

 帰宅してDVDで三谷幸喜脚本と監督『ラヂオの時間』(東宝、1997年)。
 あるラジオ局の生放送現場。鈴木(鈴木京香)という主婦のシナリオが採用されて、ラジオ・ドラマに。なかなかのメロドラマのはずだった。ところが、主役の千本のっ子(戸田恵子)という落ち目のスターがわがままを言い出し、設定を熱海からシカゴに、主人公の名前を律子からメアリー・ジェーンに、彼女の職業をパートの主婦から弁護士に変えさせてしまう。ここから無理に無理を重ねて、物語は壮大な方向に。
 プロデューサーの牛島(西村雅彦)と編成部長(布施明)は、千本に迎合し続ける。効果音が準備できずに、元効果音係だった警備員の老人(藤村俊二)まで動員される。
 だが、ご都合主義で結末まで変更しようとする牛島たちに、原作者の鈴木がついに激怒、ディレクターの工藤(唐沢寿明)が義憤にかられて、何とか出演者たちの協力をとりつけ、原作どおりのハッピーエンドに再修正する。
 結局、わがままな千本も満足、編成部長や牛島にとっても、とりあえずのハッピーエンドとなる。
 他の声優役に細川俊之や井上順ら。カメオ出演で、渡辺謙、市川染五郎や桃井かおり、宮本信子ら。
 優しいだけの夫を捨てて昔の恋人と結ばれるというオリジナルのシナリオは、どうも原作者の個人体験と個人願望らしい。
 また、シナリオを勝手に修正された経験を、三谷自身がもっているらしい。著作権の侵害でしょうにね。
 テンポがよく、文句なしに笑える作品。出演者の多くも、いつもの三谷組です。
 一番気に入ったのは、軽薄な業界人の雰囲気をうまく出した布施明。
 「人間に想像力があるかぎり、ラジオには無限の可能性がある」なんて、西村演じるプロデューサーは、ちょっとカッコいいことも口にします。

9月26日

 今日は渋谷のアミューズCONという映画館でマキノ雅彦監督『次郎長三国志 大馬鹿者でござんす。』(角川映画、2008年)を。原作は村上元三。今年は監督の叔父・マキノ雅弘監督の生誕100年に当たる。
 清水次郎長(中井貴一)はお蝶(鈴木京香)と結ば、やがて渡世で名を上げる。次郎長一家は甲州に出入りに出かけるが、昔世話した保下田の久六(蛭子能収)に裏切られ、旅先でお蝶は死に、一家は久六一家とお蝶の仇・三馬政(竹内力)に殴りこみをかける。
 ご存じ、次郎長物語の前半部分という感じ。その後、次郎長が再婚したり、森の石松が死んだりするのだが。
 大政に岸部一徳、子政に北村一輝、石松に温水洋一、法印に笹野高史。次郎長一家は個性派ぞろいだ。そして、のちに次郎長と雌雄を決する運命の黒駒の勝蔵には佐藤浩市。他にも、長門裕之や朝丘雪路ら、マキノ監督の親族もさらりと登場。長門さん、先日京都駅でお見かけしました。
 中井も鈴木も、そして佐藤も貫禄の力演。竹内は怪演。
 監督の遊び心も十分に味わえる。しかも、義理と人情で結構泣かされる。
 次郎長がお蝶の簪を口に銜える様子は、エロティック。
 宇崎竜堂が歌う主題歌「旅姿三人男」もポップ調でおもしろい(もちろん、オリジナルはディック・ミネ――渋い歌手でしたよ)。
 こういう映画を観て、若い人たちが講談物にも興味をもってくれればと思います。

 


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