Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2008年

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9月3日

 今夜は自宅でDVD。清水宏監督『小原庄助さん』(新東宝、1949年)。音楽は古関裕而。
 会津磐梯山の民謡「小原庄助さん、なんで身上潰した。朝寝朝酒朝湯が大好きで それで身上潰した。 ああ尤もだ、尤もだ」
 田舎の旧家の当主・杉本佐平太(大河内伝次郎)は、この小原庄助さんのような人物で、実際にそう呼ばれている。村の人びとの相談に何でも乗って、散財してしまう。来訪者には、お茶代わりに酒をふるまう。
 これでは、さすがの財産もなくなり、家は傾く。やがて、長年奉公した婆や(飯田蝶子)にも暇を出し、家財を競売にかけて借金を清算する。妻(風見章子)は実家に連れ戻されてしまう。
 それでも、この小原庄助さんは村人や友人に贈り物をし、泥棒にまで酒をふるまう。
 やがて独り寂しく村を旅立つ庄助さんだが、愛する妻が戻ってきて同行するのだった。
 他に、気の弱い金貸しに田中春男、他に日守新一や清川虹子ら。
 飯田も昔から老け役だなあと、感心。大河内の柔道姿は板についている。
 さすがは清水監督で、農村の風情が情緒豊かである。
 お座敷遊びのシーンでは、有名な芸者歌手の赤坂小梅が歌声を披露している。
 田舎にも民主主義がやってきて、こういう素封家が没落するというのは、戦後あちこちに見られた、それ故に共感をえたテーマなんでしょうね。
 家柄よりも人柄が重要――庄助さんにとっての幸いは、その両方をもっていたことでしょう。
 会津に行ってみたくなりました。

8月31日その2

 夕食後、学生諸君がやってきて新藤兼人監督・脚本『第五福竜丸』(近代映画協会、1959年)を観賞。1954年3月に静岡県焼津のマグロ漁船「第五福竜丸」がビキニ環礁でアメリカ海軍の水爆実験に被爆し、23人が被害に遭い、無線長の久保山愛吉が死亡した事件を、ドキュメンタリー風に冷静に丁寧に描いている。
 久保山夫妻を宇野重吉と乙羽信子が演じ、他に愛吉の母に毛利菊枝、焼津の助役に殿山泰司、静岡県知事に小沢栄太郎、新聞記者に中谷一郎、医師たちに千田是也や三島雅夫、浜田寅彦など。浜田は東京第一病院での久保山の主治医役で、珍しく大きな役を好演している。被爆した若い船員役に、田中邦衛や井川比佐志の顔も。
 前半の漁場のダイナミックな様子と後半の病院の静けさが対比的。
 重たいテーマだが、決して説教くさくなっていない。宇野と乙羽らの演技が抑制されていて、一層効果的。事件から5年後に、こういう作品をよく作ったものだ思う。「原爆の子」の事実上の続編でもあろう。
 「原爆マグロ」というグロテスクな言葉を、久しぶりに耳にした。
 今では日本史の教科書に一言触れられているかどうかだが、この「第五福竜丸」事件が、当時の日本で国民的大事件であったことがよくわかる。
 因みに、水着のビキニの語源も、このビキニ環礁での水爆実験ほど大胆で衝撃的だということらしい。

8月31日

 8月も最後、今年も三分の二終わりましたね。
 今日は大坂・九条のシネヌーヴォで市川崑監督『我輩は猫である』(東宝、1975年)。
 脚本は八住利雄、美術は西岡善信。原作はもちろん夏目漱石。市川は『こころ』も映画化している。
 何故か音楽はバッハである。
 くしゃみ先生(仲代達矢)は文明中学校の英語教師で、胃痛に悩みながら、毎日女房(波乃久里子)と喧嘩して暮らしている。この家には野良猫が住み着き、先生はけっこうかわいがっている。先生の友人たち(伊丹十三や前田武彦ら)もしばしばやってきては、無駄話に明け暮れている。
 先生の教え子の理学士が高利貸しの金田夫妻(三波伸介と岡田茉莉子)の娘(篠ヒロ子)と結婚する話が持ち上がり、先生たちはこれに反対、金田の嫌がらせに会う。この他にも、先生宅には夜泥棒が入ったりと、何かと騒がしい。
 野良猫の恋していた三毛猫が死に、戒名は「猫誉信女」。やがて、件の野良猫も水がめにはまって水死する。昔はどこの家の台所にも水がめがあったようですね。
 先生の姪で皆の憧れのヒロインに島田洋子。「行水の女に惚れた烏かな」(高浜虚子)。
 インテリたちのもっともらしい文明批評と金田夫妻の俗物ぶりが痛快。特に、三波は実に懐かしい。
 他に、若き日の蟹江敬三や篠田三郎らも登場。
 『私は二歳』と同様のユーモラスな仕上がりになっている。

8月30日

 ツタヤの宅配で鶴田浩二主演の『鳴門秘帖』という時代劇を入手したのだが、続編がある由。というので、この作品のコメントは続編を鑑賞してから。

 今日は自宅で大林宣彦監督『転校生』(ATG他、1982年)。
 監督の郷里・尾道の中学校が舞台。
 神戸からの転校生の斉藤一美(小林聡美)は以前尾道に住んでいたことがあり、斉藤一夫(尾美としのり)とは幼稚園の幼馴染。二人はふとしたことから神社の階段から転落、身体と人格が入れ替わってしまった。突然、性別の入れ替わった思春期の二人は、男の身体や女の身体に違和感を抱き、また、一夫は急に「オカマ」のようになったと、同級生のいじめにもあう。
 やがて、一夫の父(佐藤允)が転勤で横浜に行くことになった。このまま元に戻れなければどうしようと焦る二人。ついに家出までするのだが、再び階段から転落、元に戻るのだった。
 一夫の母に樹木希林、一美の両親に宍戸錠と入江若葉。他に担任の先生に志穂美悦子ら。
 原作は山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」。
 尾道の風物が美しい。八ミリ好きの一夫は明らかに監督自身。家の壁には映画館のポスター(駅馬車)が貼られている。八ミリ映像も巧妙に織り込まれている。
 少年のような少女と少女のような少年を演じた小林と尾美も、好演である。
 二人の家庭の家風というか、社会階層の違いもおもしろい。
 現代版「とりかへばや物語」か。
 入江若葉も懐かしい。

8月28日

 今夜はいつものホテルで、熊井啓監督・脚本『日本の黒い夏 冤罪』(日活、2000年)を観る。
 松本サリン事件での冤罪を扱ったもの。熊井監督は信州出身である。
 事件の第一通報者でありながら犯人扱いされた神部(寺尾聰)とその家族、警察の捜査に不審を強めていくローカル・テレビ局の報道部長・笹野(中井貴一)とその部下たち、そして上層部の意向に反発しながらも強引な取り調べをおこなう吉田警部(石橋蓮司)ら。事件発生から11ヶ月後に地元高校の放送部員たちが、なぜ冤罪事件は起こったのかと、神部や笹野たちに取材を重ねる。
 教育委員会の後援もあるように、たいへん「教育的」で、基本的に根からの悪人は登場しない。ベテラン監督らしく手堅く仕上げているが、「サンダカン」の迫力よりも、「しのぶ川」の淡白さに近い。
 朝日新聞やTBSなども協力しており、作中、笹野部長が読んでいる新聞は「読売」。もちろん、誤報記事を掲載したものだ。こういうのは、どうかな、と思ってしまう。「朝日」も誤報だったんですからね。
 寺尾と中井のコンビは、「亡国のイージス」でも。
 人権弁護士役に北村和夫、他に平田満ら。
 サリンなんかバケツでも作れる、と出鱈目なコメントをする大学教授役で、藤村俊二が一瞬登場する。
 大学教授のいい加減なコメントには注意しましょう。


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