Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2008年

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12月3日

 今夜は久しぶりに自宅でビデオ。ジャック・ドゥミ監督・脚本『シェルブールの雨傘』(フランス、1964年)です。切ない音楽はミッシェル・ルグラン。私が生まれた年のカンヌ映画祭グランプリ受賞の傑作ミュージカルです。
 フランスの港町シェルブール。小さな傘屋の一人娘ジュヌビエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)はまだ16歳だが、20歳の青年ギイ(ニーノ・カステルヌオーボ)と将来を誓い合っている。だが、ギイは2年間の徴兵に赴くことになる。しかも、行き先はアルジェリアである。ギイの出発の前夜に二人は結ばれ、ジュヌビエーヴは妊娠するが、ギイからの音信は途絶えてしまう。その頃、彼女は金持ちの宝石商から求婚され、逡巡しつつもこれを受ける。
 数年後、ギイはシェルブールに戻ってくるが、もう傘屋はなくなっている。一時は荒れ果てた生活を送るが、育ての親である伯母の死に接して、伯母の看病をしてくれていた優しい娘と結婚する。
 さらに数年後、ギイは幸せな結婚生活を送り子供もいる。念願だったガソリンスタンドを新たに開業することにもなった。雪の夜、そのガソリンスタンドに子供をつれたジュヌビエーヴが、そうとは知らずに給油に訪れる。かつて永遠の愛を誓った二人の、切ない束の間の再会であった。
 ストーリーは単純だが、映像と音楽が見事に哀愁を誘う。
 すべての科白が歌に乗ってかたられる。
 カトリーヌ・ドヌーヴを一躍スターにした一作で、彼女の美しさ・可憐さは言葉にならない。
 シェルブールに行ってみたくなりました。

11月27日

 1週間のご無沙汰です。この間、学生諸君とカンボジアのアンコールワットに行ってきました。タイにせずに正解でした。
 さて今夜は渋谷で試写会。
 あのマドンナ監督・脚本・製作の『ワンダーラスト』(2007年、イギリス)。欲望という意味だが、原題は"Filth and Wisdom"つまり悪徳と知恵。
 ロンドン。AK(ユージン・ハッツ)はウクライナのロマ(ジプシー)で、ミュージシャンを夢見ているが、生活のためにSMの調教師をしている。彼のルームメイトのホリー(ホリー・ウェストン)もダンサーを目指しながら、ストリップをはじめた。もう一人のルームメイト・ジュリエット(ヴィッキー・マクルア)はアフリカの子供たちを助けようと、インド人の経営する薬局に勤めながら薬を盗んでいる。そして、彼らの階下には盲目の詩人フリン教授(リチャード・E・グラント)が暮らしている。彼の詩集の題名が『ワンダーラスト・キング』(欲望の王)である。
 「ナイフについたジャムを舐めると舌を切る」、「空に届きたければ、まず飛べ」など、主人公はウクライナの格言を連発する。ハッツは実際にウクライナ出身のロック歌手との由。実にいい味を出している。
 無国籍で退廃的なロンドンを舞台に、インド人もユダヤ人も日本人も、そして当然イギリス人やウクライナ人もからかいの対象であり、したがって平等化されそれぞれの尊厳をもっている。ゲイもSM嗜好者も盲人もストリッパーも同様である。
 アナーキーで偽悪的でお下品――とてもマドンナ的な作品。そのマドンナも、今年で50歳になった。
 少し作為的で図式的だが、小さな試写室で観るとそれも味わいに感じられる。
 フリン教授を演じるグラントは、クリストファー・ウォーケンと平幹二郎を足して二で割ったような雰囲気。
 "No animals were harmed in the making of this film"最後に出てくる字幕です。こういうことにも配慮しないといけないんですね、ヨーロッパは。
 この作品で学んだ英語表現を一つ。"Night is still young"夜はこれからだの意。
 来年1月公開の由。
 

11月20日

 久々に京都文化博物館で森一生監督『赤胴鈴之助 三つ目の鳥人』(大映、1958年)。撮影は宮川一夫、照明は岡本健一、助監督は田中徳三である。
 江戸の町に三つ目の鳥人が出没し、戌年生まれの子供を誘拐していく。北町奉行の子息も戌年生まれで、赤胴鈴之助(梅若正二)が警護している。どうやら、浅草のお化け屋敷の一座が怪しい。実は、彼らは13年前に奉行に捕えられた盗賊の残党で、奉行に復讐しようとしているのだった。一時は鈴之助も濡れ衣を着せられて奉行所に捕まり、この間に奉行の子息は鳥人に誘拐され、救出に向かった奉行までもが捕らえられた。しかし、間一髪、鈴之助と千葉周作(黒川弥太郎)とその一門(林成年)らが駆けつけ、悪党たちを退治する。
 子供の頃に楽しんだ「赤影」などの少年時代劇ドラマを思い出し、懐かしかった。「赤胴鈴之助」はアニメで観ている。
 鈴之助の「真空斬り」の技が冴える。
  剣をとっては日本一に
  夢は大きな少年剣士
  親はいないが元気な笑顔
  弱い人には味方する
  がんばれ強いぞ僕らの仲間 赤胴鈴之助
 主役の梅若はたいへんな人気だったそうだが、人気に溺れてこのシリーズだけで芸能界から消えていったとか。
 林成年も助監督の田中徳三も、今年亡くなりましたね。何しろ今から50年前の作品です。

11月17日

 今夜は自宅で久しぶりに院生諸君とDVD。
 ジョン・フランケンハイマー監督『影なき狙撃者』(アメリカ、1962年)。カルト的政治サスペンス映画です。原題は“Manchurian Candidate".
 朝鮮戦争時に共産主義者の捕虜になったレイモンド・ショー曹長(ローレンス・ハーベイ)は、トランプのダイアのクイーンを見ると、どんな命令にも服従するよう洗脳されてしまっている。彼は仲間とともに帰国し英雄に仕立て上げられる。だが、彼の仲間たちは夜な夜な洗脳シーンを思い出して悪夢に悩まされる。マーコ少佐(フランク・シナトラ)もその一人だ。
 マーコはショーに接近し、その謎を探ろうとするが、この間にショーは結婚したばかりの妻とその父にあたるリベラル派上院議員を殺害してしまう。ショーの母(アンジェラ・ランズベリー)は別のタカ派上院議員と再婚しており、二人の上院議員の間には大統領選挙をめぐって確執があったのだ。実は、ショーの母親こそ共産主義のスパイであり、再婚相手を大統領にしてアメリカを支配しようとしていたのだ。洗脳された息子を背後から操っていたのもこの母であり、ダイヤのクイーンとはこの母の存在を暗示するものだった。
 大統領候補を選出する党大会の熱狂の中で、母から暗殺を命じられたショーとこれを阻止しようとするマーコ――凶弾に倒れるのは誰か。
 他に、マーコの恋人役にジャネット・リーなど。
 シュールレアリズムを観るような心理劇である。白黒が一層効果的。
 共産主義の社会浸透への恐怖と並んでマッカーシズム(赤狩り)批判が、当然背景にある。
 満州で暗殺者の候補に仕立てられた(これが原題の意味)ショーは、実は母を憎み、自分は“lovable"(他人に愛されるような)人間ではないと悩んでいる。
 何とこの作品の映画化を強く推挙したのは、当時のケネディ大統領だったとか。そのケネディは実際に翌年凶弾に倒れる。
 1970年代にシナトラが権利を買い取って、上映禁止にしてしまったという。
 因みに、ローレンス・ハーベイもジャネット・リーも、『刑事コロンボ』シリーズで犯人役を演じています。特に、ハーベイが主演した「絶たれた音」はシリーズ中の傑作の一つです。
 タカ派上院議員の自宅には、リンカーンの肖像画や彫刻が溢れている。
 オバマ暗殺なんて、少し不吉なことを連想してしまいました。

10月29日

 今夜は自宅でフランク・ボーザージ監督『第七天国』(1927年、アメリカ)。サイレントです。
 パリの街角。下水道掃除人のチコ(チャールズ・ファレル)は、実は自分は「できる奴」(very
remarkable fellow)だと信じており、せめてアパートだけは天国に一番近いところにと、七階に暮らしている。そんなチコは姉に虐待される娘ダイアン(ジャネット・ゲイナー)を救い、アパートに住まわせてやる。はじめは一時の便法のつもりが、やがて二人は愛し合うようになる。アパートの七階での二人だけの挙式。だが、その時、第一次世界大戦が勃発した。チコは従軍して、失明してしまう。ダイアンは夫の杖になることを決意するのだった。
 「第七天国」は神と天使の住む天国の最上階だが、「至福」という意味もある。
 字幕で、「神」のことがle Bon Dieuというフランス語で標記されている。
 また、“name of a dog"で「無茶な」と訳されている。
 昔から名前だけ知っていた純愛映画の名作です。その後の多くの純愛ドラマに一つの原型を提供しているでしょう。
 作中、主人公たちが「いつも上を見つめよう」(Always look up)という。淀川長治によると、永六輔はここから「上を向いて歩こう」を考案したのではないか、という話。
 アメリカ映画なのに設定がフランスというのは、アメリカ人のコンプレックスの発露か。
 無神論者の青年は、最後は神を信じるようになります。純愛であると同時に「教育的な」映画でもありますね。

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