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先日、アンソニー・ミンゲラ監督が、54歳という若さで亡くなった。
というわけで、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年、アメリカ)を観賞。
第二次世界大戦中、北アフリカで飛行機事故に遭い、大やけどを負った「イギリス人の患者」(レイフ・ファインズ)は、身元不明で記憶も喪失している。
患者はイタリアに搬送され、カナダ人看護婦ハナ(ジュリエット・ビノシュ)が僻村の僧院で献身的に看護を続ける。ハナは地雷除去専門のインド人少尉と恋に落ちている。この僧院には、カラバッジ(ウィレム・デフォー)という謎の人物も寄寓するようになる。
「イギリス人の患者」は徐々に記憶を取り戻していく。実は、彼はハンガリーの伯爵ラズロ・アルマシーという地理学者で、イギリス人のクリフトン夫妻と北アフリカで出会い、見事な壁画の洞窟を発見したりする。だが、伯爵はクリフトン夫人キャサリン(クリスチャン・スコット=トーマス)と不倫関係になり、夫もそれを察知する。これが原因で夫妻は砂漠で飛行機事故に遭い、夫は即死、キャサリンは重傷を負う。伯爵は秘密の地図をドイツ軍に提供してまで、彼女を救おうとするが果たせない。彼女の遺体を運ぼうとしている際に、伯爵自身も事故に遭い、「イギリス人の患者」になってしまったのである。カラバッジは伯爵がドイツ軍に地図を渡したことで窮地に追い込まれたカナダのスパイで、伯爵に復讐しようとしていた。
やがてドイツの降伏で終戦。ハナとインド人将校は離れ離れになる。カラバッジも復讐心をなくす。そして、記憶を取り戻した伯爵は、静かに息を引き取るのであった。
原作はマイケル・オンダーチェによるブッカー賞受賞作で、この映画はアカデミー賞9部門独占で、1987年の『ラスト・エンペラー』以来の快挙とか。
雄大な映像(ロケはイタリアとチュニジア)と繊細な心理描写の組み合わせで、『アラビアのロレンス』を彷彿とさせる、としばしば評されるようだ。アフリカを舞台にした三角関係という意味では、私は『カサブランカ』も連想したが。
ハンガリー人貴族がイギリスの王立地理学会のために働きながら、ドイツ人スパイと疑われ、記憶を失って「イギリス人の患者」になる。そして、カナダ人女性がインド人男性と恋に落ちる。国籍とは何かが、一つの大きなテーマである。
伯爵はヘロドトスを愛読している。
作中で気に入った科白を一つ。
「戦争中の裏切りは平和な時のそれに比べれば、子供の悪戯のようなものだ」。
話は邦画になりますが、林成年も最近亡くなりましたね。長谷川一夫の長男で、雷蔵、勝新と大映時代劇のスターとして売り出された役者ですが、父のような美貌もなく、雷蔵、勝新には大きく差をつけられて、映画を去り舞台に戻った人です。それにしても、往年の大映映画に数々出演しており、小さな死亡記事の扱いは、少し寂しい気がしました。
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