Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2009年

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9月5日 邦画104

 今夜も自宅でDVD。
 小津安二郎監督『父ありき』(松竹、1942年)。
 堀川(笠智衆)は金沢の中学校で数学を教えており、妻に先立たれて一人息子の良作を育てている。修学旅行で生徒たちを箱根に引率した時、事故で生徒の一人が水死する。堀川は責任をとって辞職し、郷里に戻る。そこで、良作を中学校の寮に預け、彼は上京して会社員になる。息子の学費を捻出するためだ。
 長じて良作(佐野周二)は仙台の帝大を卒業し、秋田で工業学校の教師になる。まだ親子で一緒に暮らすことができない。上京した折、息子は父に学校を辞めて東京で就職し、親子で暮らしたい、と言う。父は息子を叱る。天職を全うしろ。父にできなかったことをやり遂げてくれ。「人間には分というものがある。分を尽くさにゃいかんぞ」。
 堀川は東京で金沢時代の同僚教師・平田(坂本武)に再会する。平田の娘(木戸光子)も立派な女性に成長している。堀川は平田嬢と良作を結婚させることにする。昔の教え子たち(佐分利信ら)も、堀川と平田を囲んで同窓会を開いてくれる。
 再び良作が上京し1週間を親子が一緒に過ごすことになる。良作は徴兵検査に合格したのだ。その直後に、堀川は倒れる。「自分はやれるだけのことはやった。幸せだ」と言い残して、彼は亡くなる。父の思い出を胸に、良作は平田の娘と結婚して、秋田に夜行列車で戻るのだった。
 淡々とした科白で、親子情愛を描き、友情や師弟愛も描いている。
 この作品が戦時下で作られていたとは、ただただ驚きである。せっかく結婚した良作も、ほどなく戦地に向かったはずだ。
 今まで観た小津作品の中で、一番よかった気がする。父が息子を諭すシーンで、自分が父に諭されているような気になってきた。
 親子が川で魚釣りをするシーンは、絶品です。さすがは厚田雄春の映像である。

9月4日 邦画103

 久々に自宅でDVD。しばらく軽量級の映画が多かったので、少し重みのある作品を。
 吉田喜重監督『人間の約束』(1986年、キネマ東京他)。
 東京郊外の閑静な住宅街。森本家は息子夫婦(河原崎長一郎と佐藤オリエ)、息子の老いた両親(三國連太郎と村瀬幸子)、それに子供たち(長男は杉本哲太)の三世代家族である。
 その森本家で、長らく痴呆症を患っていた祖母が亡くなる。自然死ではない。自殺か他殺か。祖父は自分が妻を殺した、と告白する。しかし、彼も痴呆症である。息子は社内で不倫を続けており、妻は介護に疲れきっている。長男は「呆ければ、もう人間ではない」と断言する始末。父はこの息子を殴り、「人間には口に出してはならないことがある」と諭す。これが一つの「人間の約束」である。
 実は、この家長が実の母を殺したのだった。老父の日記には「あいつが来てやった。あいつは死んだ」と記されていた。捜査に当たった刑事たち(若山富三郎と佐藤浩市)と課長(米倉)の会話。「尊属殺なら最高は死刑なのに、安楽死で情状酌量だと執行猶予になる」、「法律なんて所詮は人間が作った約束にすぎない」。ここでまた「人間の約束」である。
 三國は当時まだ63歳だが、例によって見事な老け役。村瀬に頬ずりするシーンは感動的。村瀬も汚れ役を巧みにこなしている(呆けても、女であることを忘れない。それが時には美しく、しばしば醜い)。村瀬は1905年生まれだから、当時すでに81歳。93年に地方巡業中に88歳で亡くなったとか。なにしろ、築地小劇場に参加していた人です。
 また、若山が老父役なら、どう老けるだろうとも想像してみる。
 すでに若山も河原崎も逝った。三國(今年86歳)が去れば、戦後日本映画の一時代が確実に終わる。本当に、何度も書くが、なぜこの名優が文化勲章をもらわないのだろうか。三國と佐藤、親子共演ですね。
 河原崎演じる長男の科白「男も50になれば先が見えてくる」。よく言われることですが、ふと思うと、私もあと5年で50歳です。さあ、どうしましょう。
 

8月25日 邦画102

 今日もチャイナタウンの映画館へ。
 アメリカで2週間前に公開されたばかりの宮崎駿監督・脚本『崖の上のポニョ』(2008年、スタジオ・ジブリ)。ジブリというのは、サハラに吹く熱風のことだそうですね。
 海岸の町で、宗介少年は漂流していた魚を助け、ポニョの名づける。
 実は、ポニョの母は海の神で、父フジモトは元人間の魔法使いだ。ポニョはいったんは父によって海に連れ戻されるが、宗介を慕って人間の少女の姿で現れる。
 その夜、町は激しい津波に襲われる。宗介の母リサは勤務先の老人ホームの様子を見に出かけるが、帰ってこない。宗介とポニョはリサを捜しに出かける。
 宗介が心の底からポニョを受け入れていることがわかり、ポニョの母はポニョが人間になることを認めるのだった。ポニョも魔法を捨てて人間になりたいと言う。こうして自然界のバランスも回復される。
 尾道のような街並みで、アンデルセンの『人形姫』の物語である。
 ポニョの妹たち(無数の小魚のよう)がかわいい。
 ただ、少しストーリーのつながりが理解しがたい。
 英語の吹き替えは豪華で、ポニョの母にケイト・ブランシェット、宗介の父(船長)にマット・デイモン、フジモトにはリーアム・ニーソンが当たっている。
 アメリカでもヒットのようですが、平日の午後ということもあって、私が観た時には5,6人の観客でした。

 自宅でDVD。東映時代劇傑作DVDコレクションの17巻。
 松田定次監督『大江戸七人衆』(東映、1958年)。
 江戸の町で、義侠心に燃える貧乏旗本(と言っても300石だが)の勝川(市川右太衛門)らと、悪辣非道な上席旗本・松平帯刀(山形勲)らの鬼神組が対立している。勝川は帯刀の陰謀で甲府勤番を命じられ、江戸を離れる。仲間の平原(大友柳太郎)や秋月(大川橋蔵)、村瀬(東千代之介)らには、くれぐれも自重を求める。
 だが、勝川を慕う芸者・染吉(花柳小菊)が帯刀一味に誘拐され、単身救出に赴いた平原は殺されてしまう。さらに、村瀬の赤ん坊とその世話をする元侍女のおいち(櫻町弘子)も、帯刀らに誘拐される。村瀬や秋月が二人を救出すべく帯刀の屋敷に乗り込むが、多勢に無勢。そこに、勝川が甲府から舞い戻り、帯刀一味を退治する。幕府も帯刀一味の非道を知り、勝川らは平原の墓前にそれを報告するのだった。
 オールスター東映時代劇です。錦絵のようです(必ずしも、褒め言葉ではありません)。
 他に、女優陣には花園ひろみ(当時はまだ17歳)、千原しのぶら。悪役には、薄田研二、原建策、香川良介、吉田義夫など、お馴染みの顔ぶれ。
 特に、大友の死のシーンは迫力があった。薄田の好色な旗本の隠居役も印象深い。これに対して、せっかく志村喬が出演しているのに、まったく存在感がない。
 花園ひろみと言えば、山城新伍の元夫人でしたが、山城さんも最近亡くなりましたね。合掌。

 北九州に日帰り出張ののち、自宅でDVD。今年100本目の邦画です。
 宮崎駿原作・脚本・監督『となりのトトロ』(スタジオジブリ、1988年)。
 考古学者の日下部一家は、母が病気入院中のため田舎の一軒屋に引っ越してくる。サツキとメイの姉妹は元気一杯だ。やがて、メイは森の中で狸とも狐ともつかぬ森の主トトロに出会い、その後、姉のサツキも出会う。
 病院から週末戻ってくるはずだった母が風邪を引いてしまい、戻ってこれないという電報が届く。母に会いたいメイは一人で病院まで走っていくが、途中で道に迷ってしまう。隣のお婆さんたちが探してくれるが、見つからない。心配したサツキはトトロに助けを求める。トトロは猫バスを呼び出し、メイを見つけてくれるのだった。
 東京の郊外にこんな田舎がひろがっていたというのは、いつの時代だろうか。
 子供の頃に見えた森の精やお化けが、大人になると見えなくなってしまう。ケルトの妖精のような話です(月末にアイルランドに行くものですから)。
 父の声は糸井重里、そして、隣のお婆さんの声は、何と北林谷栄である。


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