Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2009年

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7月29日 邦画89

 京都文化博物館で黒澤明監督『素晴らしき日曜日』(東宝、1947年)。脚本は植草圭之助、音楽は服部正。
 敗戦後間もない東京の日曜日。
 雄造(沼崎勲)と昌子(中北千枝子)は恋人同士だが、男は友人の下宿に、女は六人家族と同居しており、日曜日にしか会えない。二人は真面目に働いているが(否、そのため)貧しく、その日も二人合わせて35円(3500円ほど)しか持っていない。
 昌子の希望で、二人は住居を捜し歩く。だが、新宿一丁目の15坪の新築は10万円、とても無理だ。ぼろアパートも月600円で二人には高すぎる。雄造が子供たちの草野球に加わった後、二人は雄造の戦友が経営しているというダンスクラブを訪ねてみるが、物乞いと間違われて、冷たくあしらわれる。二人は気を取り直して上野動物園へ。だが、その帰りに浮浪児に出会い、二人の心はすさぶ。そこに雨が降り出した。
 昌子は東京公会堂のコンサートに行こうという。チケットは一人10円で何とかなる。ところが、ダフ屋(堺左千夫)らがチケットを買占め、15円で売っている。雄造はダフ屋と喧嘩になり、したたか殴られてしまう。二人は雄造のアパートに帰るが、傷心の雄造は昌子に肉体を求め、拒まれる。雨のあがった町に、二人は再び出て行く。やがて、二人は将来喫茶店を経営する夢を語り、誰もいない野外音楽堂に入って、二人だけの幻のコンサートで、シューベルトの未完成交響楽を楽しむのだった。
 次の日曜日の再会を約束して、昌子が電車で帰っていく。ああ、素晴らしき日曜日。
 「リンゴの唄」など当時の流行歌が流れて、雰囲気を盛り上げる。
 東宝争議のため、黒澤映画の常連がほとんどおらず、新人二人の主演起用になったとか。沼崎は岡田英次と佐分利信を足して二で割ったような風貌(演技は生硬)。この頃の中北はよく肥えている。
 他に、清水将夫や菅井一郎、中村是好らベテランが脇役に。
 冒頭で、雄造は拾い煙草をしようとして昌子に止められるが、ラストでは雄造自身が拾い煙草を靴で蹴飛ばす。青年が将来に希望を抱いた証しである。
 とはいえ、後半の展開が冗長で、黒澤作品としては傑作とは言えないと思う。

7月27日 邦画88

 自宅でビデオ。田中徳三監督『赤い手裏剣』(大映、1965年)。原作は大藪春彦。マカロニ・ウェスタン調の時代劇。
 鉱山の近くの宿場町。ここでは仏一家(親分は山形勲)を筆頭に、絹屋一家(同じく須賀不二男)、炭屋一家(同じく吉田義夫)が、三つ巴の抗争を繰り返している。そこに、流れ者の伊吹(市川雷蔵)という侍が現れ、三つの一家を挑発し、競わせて、まず、炭屋と絹屋を壊滅させる。さらに、奪われた2万5000両の御用金をめぐって、仏一家を退治する。町の掃除が終わると、伊吹は馬の世話をしてくれた純真なお雪(小林千登勢)に金を託して去っていく。
 伊吹の用いるのが赤い手裏剣である。伊吹は皮の羽織袴姿と白い着流しで登場する。
 黒沢監督の『用心棒』にも似た話で、実際、撮影は宮川一夫。
 最後に、お雪が「伊吹さん!」と呼びかける姿は、往年の西部劇『シェーン』を連想させる。
 他に、仏親分の妾に春川ますみ、伊吹と対決する仏一家の用心棒に南原宏治と、大映時代劇としては異色の出演者である。
 

7月27日 邦画87

 東京出張前に自宅でDVD。
 沢島忠監督『お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷』(東映、1959年)。原作は何と、金田一耕介シリーズの横溝正史。
 歌舞伎の名優・播磨屋歌六(3代目中村時蔵)とその長男・秀歌(6代目中村芝雀)は当代一の人気者。次男の文七(中村錦之助)は世をすねて勘当されている。
 勝田駿河守(2代目中村歌昇)の江戸屋敷では、老中・水野和泉守(山形勲)の息子に輿入れ直前の姫君が何者かに襲われ、陵辱された。十数年前に藩内で一揆を起して処刑された蜘蛛の巣党の残党の仕業のようである。その現場を偶然目撃したのが、文七だった。やがて、文七の父・播磨屋が何者かに襲われ、兄の秀歌は勝田藩の姫君殺害の容疑で召し捕られてしまう。
 だが、大岡越前守(片岡千恵蔵)の指揮の下に、与力・池田大助(中村賀津雄)や岡っ引き(沢村宗之助)、そして、文七らが調べを進めていくうちに、実は水野家と勝田家の婚礼を妨害しようとする掛川6万石・保科家の家老(薄田研二)による陰謀と発覚するのだった。
 話は複雑だが、最後に一挙に解決、めでたしめでたし。
 他愛のない話だが、錦之助の父・時蔵や兄・芝雀、弟の賀津雄はじめ萬屋一門が総出演。作中でも歌舞伎「女暫」を演じているから、歌舞伎ファンにはたまらない、貴重な一作である。3代目時蔵の声が当代勘三郎とそっくり。
 他にも、進藤英太郎、岡譲司や原建策、徳大寺伸、桜町弘子、花園ひろみら、懐かしくもお馴染みの面々。
 今では名優の風格のある賀津雄だが、この作品ではまだまだ初々しく、科白回しも心もとない。
 文七捕物暦はシリーズ化され、これがその第一作とか。
 

7月26日 邦画86

 無理して深夜にビデオをもう一本。
 島耕二監督『安珍と清姫』(大映、1960年)。歌舞伎を題材にした悲恋物語。
 紀州の道成寺に向かう修行僧の安珍(市川雷蔵)は、地元の庄屋の娘・清姫(若尾文子)の放った流れ矢で腕を怪我する。そこで、庄屋(見明凡太郎)の屋敷で治療を受けることになる。
 清姫は堅物の美青年・安珍を誘惑、安珍は煩悩に悩まされながら道成寺に旅立った。その後、己の行いを恥じた清姫は道成寺に向かい、そこで修行中の案珍と一夜を共にする。だが、清姫には長者との結婚話があり、それを知った安珍は清姫のもとに戻らず、再びどう道成寺に篭ってしまう。錯乱した清姫は日高川に投身自殺する。姫が蛇に化けて自分を襲う夢に悩まされ、安珍は寺を出て、姫の遺体を供養するのだった。
 仏門にも恋愛にも生き抜くことのできなかった若い僧侶と、情熱的な美女の悲劇。
 雷蔵得意の歌舞伎ものであり、若尾はお色気満点である。やはり、このカップルはいいですね。
 他に、清姫の乳母に毛利菊枝、謎の雲水(実は道成寺の高層)に荒木忍ら。荒木はこういう役がよく似合う。
 美術も見事。もちろん、西岡善信です。

7月25日 邦画85

 今日も京都みなみ会館で雷蔵祭。木村恵吾監督、八尋不二脚本『千姫』(大映、1954年)。雷蔵三本目の映画出演作。
 徳川家康(大河内伝次郎)の孫で将軍秀忠(伊志井寛)の娘・千姫(京マチ子)は、右大臣秀頼(雷蔵)に嫁いでいる。大阪夏の陣で、大坂城は落城、秀頼もその母・淀君(東山千栄子)も落命するが、千姫は徳川の家臣・坂崎出羽守(山形勲)に救われる。千姫を救った者に、姫を嫁にやると、家康が約束していたのだ。だが、千姫は坂崎に嫁ぐことはおろか、会うことさえ拒絶する。坂崎は憤死してしまう。
 その後の千姫は、役者相手の放蕩生活を重ねる。そこに、坂崎の遺臣・新六(菅原謙二)が住み込み、姫の命を狙うが、そのうちに姫に惹かれてしまう。姫も新八を思うようになり、ついに二人は一夜を共にする。しかし、目付け・桃の井(毛利菊枝)や老中・本多政信(進藤英太郎)らの注進により、家康は遺言で千姫に尼僧になるよう命じる。他方、新六も仲間から裏切りを詰られる。やがて、二人に運命の離別が訪れるのだった。
 『地獄門』を思わせる豪華な作品。出演者も相当なもの。
 とはいえ、東山の淀君役には驚き。他方、菅原の時代劇出演は、私には新鮮でした。さすが、大河内の家康は貫禄。
 京マチ子も余裕で、かつ妖艶です。何人もの女優が千姫を演じていますが、随分と印象が異なるものです。
 


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