Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2009年

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6月14日 邦画64

 今日も京都文化博物館。加藤泰監督『風と女と旅鴉』(東映、1958年)。脚本は成沢昌茂、時代劇なのにどこかポップな音楽は木下忠司。それもそのはず、西部劇のリメイクとか。
 旅でたまたま知り合った若い銀次(中村錦之助)と中年の仙太郎(三國連太郎)という二人のヤクザ。彼らは千両箱を運ぶ農民たちに追いはぎと間違えられ、銀次は鉄砲で撃たれて怪我をする。
 誤解が解けて村に逗留することになったが、この村には年に一度、鬼鮫の半蔵(進藤英太郎)一家が金を巻き上げに来る。銀次は元半蔵一家だったのみならず、彼の父はこの村で強盗殺人事件を引き起こし、銀次は子供の頃に村を出奔していたのだった。母の墓参りに10年ぶりの帰参の途中だった。
 名主の銭屋(薄田研二)をはじめ村人たちは仙太郎を信頼し用心棒に頼むが、銀次のことは信用していない。仙太郎はそんな銀次に死んだ息子の面影を重ね合わせて、必死に守ろうとする。それに反発する銀次。
 やがて、村祭りの夜に半蔵一家が千両箱を奪っていく。銭屋らに頼まれて、仙太郎はそれを取り返しにいくが、村人の仕打ちに反発した銀次は半蔵一家に再び加わってしまう。
 臆病な十手持ちに殿山泰司、半蔵の子分に河野秋武や星十郎、銀次に恋する出戻り女に長谷川裕見子、銀次が恋する銭屋の女中に丘さとみ。他に、加藤嘉や上田吉二郎も。
 信頼と不信、愛憎の半ばする時代劇で、ハッピーエンドとはいかない。銀次と仙太郎の複雑な関係は、二人の出会いから示唆されている。最初は銀次が鉄砲に撃たれて仙太郎が庇い、最後はこの関係が逆になる。冒頭に映画のメッセージが集約されているとは、淀川長治の持論でした。
 錦之助と三國の組み合わせがユニーク。さすがは加藤監督です。
 進藤が『山椒大夫』を連想させる装束で登場。また、村が年に一度不幸に見舞われ、用心棒を雇うという筋書きは、『七人の侍』を思い出させます。
 

6月13日 邦画63

 今日は京都文化博物館で弘津三男監督『次男坊鴉』(1955年、大映)。市川雷蔵の初期の作品です。脚本は八尋不二、撮影は宮川一夫。
 古河の宿。七五郎親分(荒木忍)はすっかり落ち目で、強欲な甚三親分(富田仲次郎)に縄張りを奪われ、家まで追い出されようとしている。そこに、子分の禮三(雷蔵)が3年ぶりに戻ってくる。禮三は感動された旗本の次男坊で、滅法強い。だが、七五郎の一人娘・お静(嵯峨美智子)との恋を忘れるために旅に出ていたのだ。禮三が戻ったことで、甚三は手も足も出なくなった。
 だが、そこに江戸から禮三の叔父(香川良介)が訪ねてくる。禮三の兄が日光修繕奉行の大役を前に急死したのだ。禮三は兄の跡目を継がなければならない。禮三はお静と夫婦の約束をして、日光に赴く。
 再び、甚三が巻き返し、七五郎は死んでしまう。家を奪われたお静は、七五郎の子分・友市(上田寛)と二人で苦労を重ねる。日光修繕を無事に終えた禮三は、偶然に二人と再会、ヤクザに戻って甚三一味を退治するのだった。
 なんのことはない娯楽映画だが、雷蔵がとにかく若い!当時はまだ23歳。ヤクザと旗本の御曹司の二役をうまく演じている。両方とも、その後の雷蔵がしばしば演じる役どころですね。
 老中役で登場する伊井友三郎は貫禄。三下ヤクザを飄々と演じた上田は、ロシアのウラジオストック生まれの由。

6月7日 邦画62

 今日は久しぶりに京都文化博物館へ。
 マキノ正博監督『清水港代参夢道中』(日活、1940年)。
 演劇監督の石田(片岡千恵蔵)は開幕の迫った「森の石松」の演技も脚本も気に入らず、秘書(轟夕起子)や専務(志村喬)にまであたり散らす。
 その石田が夢の中で森の石松になり、許婚のおふみ(轟の二役)と共に、金比羅まで次郎長親分の代参を務めることに。途中で刺客に襲われ、殺した刺客の子供の世話をしながら、浪曲師(広沢虎造)と道連れになり、兄貴気分の七五郎(志村の二役)の貧しい家に一夜の客となるなどして、運命の時を迎える。
 無邪気な時代劇コメディである。
 大スター千恵蔵が遊び心満点。若い轟は実に愛らしい。
 そして、虎造の浪曲の迫力も満点。三十石舟での石松と虎造のやりとりは、お約束通りながら、笑いを誘います。「寿司食いねぇ。江戸っ子だってね」、「神田の生まれよ」。
 こういうパロディ映画を楽しむには、次郎長や国定忠治の物語、忠臣蔵のストーリーが国民的に共有できていなければならないが、今やそういう大衆文化のコンセンサスが存在しませんね。

6月3日 邦画62

 今朝早くに帰国して、午前中からMOVIX京都へ。熊澤尚人監督『おと・な・り』(2009年)。
 カメラマンの聰(岡田准一)は、人気モデル・シンゴ(池内博之)の親友かつ専属カメラマンである。本当は風景を撮りたくてカナダに撮影に行こうとしているのだが、その矢先にシンゴが音信不通になり、シンゴの彼女(谷村美月)がアパートに転がり込んでくる。
 聡の住む古いアパートの隣人は、七緒(麻生久美子)という花屋の店員で、フラワーデザイナーをめざして、フランス留学直前である。彼女は近くのコンビニの店員(岡田義徳)に突然恋を告白されて、当惑している。
 聰と七緒の部屋は音が筒抜け状態で、聡は七緒の鼻歌やフランス語に耳を傾け、七緒は聡の鍵の音やコーヒー豆を挽く音に耳を傾けている。無意識のうちに、二人にとって隣人の音が生活の基調音になっているのだ。しかし、二人は一度も顔を合わせたことがない。音だけが二人をつなぐ。
 この落ち着いた淡いラブストーリーには、しかし意外な展開が。
 他に、森本レオや平田満らベテランも。
 二人は古いが風情のあるアパートに住んでいる。まるでフランス映画のようだ。実際、全体の設定をフランスにしても、さほど違和感はないだろう。無国籍なのである。
 昔のすれ違いドラマ(例えば『愛染かつら』)のようでもあり、チャップリンの『街の灯り』を連想させもする。
 しかし、カメラマンとフラワーデザイナーという職業が、今風でお洒落なんですね。これが例えば、政治学の博士課程の院生と八百屋とか魚屋では、これほどお洒落にはなりそうにないですね。お互いの留学先がフランスとカナダというのも、お洒落ですね。これがドイツとオーストラリアなら、やはり少し繊細さに欠ける感じがします。すごい偏見かな。

5月23日 邦画61

 今夜は自宅でDVD。松本清張原作、大曽根辰保監督『顔』(松竹、1957年)。
 今日午前中に小倉の松本清張記念館を訪問し、DVDを購入した。
 東京行きの夜行列車の中で、水原秋子(岡田茉莉子)は偶然、昔の愛人(山内明)に遭遇した。男は無免許で堕胎手術をしていた指名手配犯で、秋子も昔その手伝いをしていたのだ。口論の末、秋子は男を車中から突き落としてしまう。その時、石岡(大木実)という男に顔を見られてしまった。
 秋子は東京でファッション・モデルとして成功しようとしていた。だが、事件のあった草津の老刑事(笠智衆)は、事故ではなく事件だと捜査を進める。やがて、東京の警視庁も動き出す。石岡が目撃者として出頭してくるが、彼の本当の意図は何なのか。秋子は徐々に追い詰められていく。
「顔」を見られるのが商売のモデルと「顔」を隠さなければならない犯人というジレンマ。
秋子が目をかけてくれた先輩モデル(宮城千賀子)を追い落とし、そのパトロン(小沢栄)を奪うあたりは、『イヴの総て』のような展開。
 他に、千石規子や松本克平(警視庁の捜査一課長、こうした役はうってつけ)、秋子の許婚に森美樹ら。森は大曽根監督お気に入りの美青年俳優だったが、若くして亡くなっている。初めて画面で姿を観た。
 「東京には色つきの明かりが多すぎるね。みんな(犯人たち)はそっちのほうが値打ちがあると思ったのかな」と、夜のネオンを眺めながら、老刑事がつぶやく。
 笠の老刑事役も渋いが、ふてぶてしい主人公を演じた岡田は、大したもの。さすがに綺麗ですね。
 音楽は黛敏郎。
 ビルの電光掲示板に石橋湛山の自民党総裁当選の報が流れる。


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