Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2009年

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11月26日 邦画139

 今晩は自宅でDVD。
 黒澤明監督『どですかでん』(1970年)。企画と製作は四騎の会(黒澤と市川崑、木下恵介、小林正樹)。黒澤初のカラー映画。
 貧しいバラック住宅の立ち並ぶ東京の周辺が舞台。知的障害の少年(頭師佳孝)は「鉄道馬鹿」で、「どですかでん」という擬態語を発しながら、一日中鉄道を運転している気になっている。乞食(三谷昇)の親子はいつも豪邸を建てる夢を見ているが、息子は餓死してしまう。サラリーマンの島さん(伴淳三郎)は善良だが、悪妻に悩み顔面神経痛を患っている。無口な平さん(芥川比呂志)は、昔の妻(奈良岡朋子)の浮気を許すことができない。
 その他にも、浮気な妻を抱えて子沢山に暮らす職人(南伸介)や、妻の入院中に妻の姪を妊娠させる初老のインテリ崩れ(松村達雄)、たびたび夫と女房の入れ替わる二組の夫婦(夫役は井川比佐志と田中邦衛)など、珍妙で一癖も二癖もある人々が暮らしている。たんばさん(渡辺篤)という老人だけが、社会の良識と良心を体現している。
 頭師、伴と松村の印象が強い。特に、松村は傲慢で身勝手な初老男を見事に演じている。主役を張った黒澤の遺作『まあだだよ』よりも、はるかによい。
 一種のオムニバス映画だが、雑然としすぎて、娯楽作品としてはまったくおもしろくないし、メッセージ性も私には不明。興行的にまったくヒットしなかったことも、大いに頷けます。
 

11月24日 邦画138

 名古屋の映画事情をご教示いただきながら、時間がなくてどこにも立ち寄れませんでした。
 名古屋から金沢に向かう列車内で一本。
 相米(そうまい)慎二監督『台風クラブ』(1985年、東宝=ATG)。
 ある地方都市(おそらく長野県)の中学校での数日の出来事。
 中学3年生の生徒たちは、漠然と不安や閉塞感を感じながら、毎日を送っている。そこに台風が到来し、彼らの情緒は不安定になる。
 担任の梅宮(三浦友和)は昔の情熱を失った三十路の男。女性関係でトラブルを抱えている。三上(三上恭一)は良家の子弟で、成績も良好、東京の高校に進学しようとしている。三上の恋人・理恵(工藤夕貴)は突然家出して、東京に向かう。台風で校舎が閉鎖された中に、三上や優等生の美智子(大西結花)、彼女に好意を寄せる男子生徒、不良少女の三人組が閉じもめられてしまう。男子生徒は美智子を犯そうとし、やがて我にかえって未遂に終わる。不良少女たちにはレズ的関係がある。三上は哲学に傾倒し、「死は生の前提だ」と叫んで飛び降り自殺を試みるも、見事に失敗する。
 台風一過の晴天のもとで、再び彼らの日常が戻ってくる。
 他に、尾美としのりや鶴見辰吾ら、80年代の懐かしい青春の顔も登場する。私にとって嬉しかったのは、用務員役で大映の往年の脇役・伊達三郎が出演していること。
 どこかシュールな青春映画で、80年代の風俗がリアルに伝わってくる。
 残念ながら、相米監督は2001年に亡くなっています。

11月22日 邦画137

 自宅でビデオ。
 中村登監督『集金旅行』(松竹、1957年)。
 これも原作は井伏鱒二。庶民派コメディといったところです。
 東京の下町のアパートの家主(中村是好)が、女房に逃げられて憤死する。そこで、アパートの住人の一人で失業中の旗(佐田啓二)が、死んだ家主に借金していた連中からの集金旅行に出かける。同じくアパートの住人で妾生活を送っていた小松(岡田茉莉子)も、過去の男たちから慰謝料を取り立てるべく、旅に出る。二人は家主の遺児を同道し、逃げた母親のもとに連れて行くことにする。
 尾道、萩、徳島など中四国地方の風景が美しい。土地土地の方言も楽しめる。
 アパートの住人に桂小金治、この男女に集金される相手に伊藤雄之助や花菱アチャコら。
 二人は反発しながら、徐々にお互い惹かれつつ旅を続ける。何とか少年を母親のもとに送り届けるものの、結局、二人は結ばれない。昔自分の処女を奪った徳島のヤクザの親分・津村(アチャコ)と、小松は結婚してしまうのだ。一人残された旗の科白「無茶苦茶でござりまするがな」。これはアチャコの有名なギャグです。
 他に、西村晃や沢村貞子も。
 ブラジャーが胸当てと呼ばれていた頃のお話です。

11月19日 邦画136

 また新幹線で東京に向かう途次にDVDを一本。
 豊田四郎監督『駅前旅館』(東宝、1958年)シリーズ第一作です。原作は井伏鱒二、八住利雄の脚色です。
 上野駅前には旅館が林立している。ある旅館の番頭・次平(森繁久弥)を中心にしたコメディで、番頭仲間に伴淳三郎や多々良純、修学旅行生を引率する先生たちに左卜前や藤村有弘ら。フランキー堺は留年を繰り返す大学生で、あだ名は「万年」、アルバイトで旅行会社の添乗員をしている。
 豊田監督の名作『夫婦善哉』で森繁と共演した淡島千景は次平に思いを寄せる小料理屋の女将・お辰。二人の着物姿には風情がある。次平と昔関係のあった元女中役には淡路恵子。
 悪質な客引きのことを「カッパ」というらしいが、その親分格を演じるのが山茶花究。「カッパ」たちとの揉め事が元で、次平は旅館を辞めることになる。彼の住み込んでいた旅館の主夫妻が森川信と草笛光子。特に女将は団体旅行客の受け入れで儲ければいいとの考えで、古風な番頭をお払い箱にする。次平は女中部屋で生まれた根っからの宿屋稼業。「宿屋が旅館工場になる」と、彼は嘆く。
 フランキーが三味線でロカビリーを演じ、浪花千栄子が体操服姿で体操を披露する。
 達者な役者と職人たちによる、楽しいながらも風情のある佳作です。

11月17日 邦画135

 大坂でテレビの仕事があったので、ついでにビデオを借りてきました。
 今井正監督『越後つついし親不知』(東映、1964年)。
 昭和12年の冬。留吉(小沢昭一)や権助(三國連太郎)は、越後から京都の伏見に出稼ぎに来ている杜氏である。働き者の留吉に比べて、権助は酒や女に溺れやすい。権助は母危篤の報に接して郷里の親不知に戻ったが、酒に酔った勢いで留吉の美貌の妻おしん(佐久間良子)を強姦する。しかも、京都に戻ると、権助は留吉におしんの浮気話を吹き込むのだった。
 春になり親不知に戻った留吉は妻を詰問するが、彼女を信じることにした。やがて、おしんが妊娠していることが明らかになる。最初は自分の子供と喜んだ留吉だったが、去年の年末の妊娠と知って逆上し、おしんを殺してしまった。
 おしんの遺体を抱擁する留吉。しかし、遺体にはやがて蟻がたかりはじめる。仕方なく、おしんの遺体を焼いた上で、留吉は出兵する権助を道連れに、親不知の断崖から飛び降りるのだった。
 留吉の母に北林谷栄、権助の兄に殿山泰司、他にも、田中春男、東野英治郎らベテランが顔を揃える。
 ストーリーは暗くて単純。同じく水上勉原作の『はなれ瞽是おりん』を容易に連想させる。
 佐久間は実に美しいが、ほとんど科白はない。おしんは過去にも奉公先で強姦されており、彼女の無口は女の運命への黙従を示している。彼女が権助に犯され、結果として命が宿る時に、権助の母が死ぬ。
 小沢は飄々とした人物を演じることが多いが、この作品では嫉妬に狂う善良で勤勉な夫を力演している。
 昭和初期の農村の風俗が、越後の厳しい自然環境の中で再現されている。この海を越えて、横田めぐみさんは拉致されたわけです。この映画の製作年はめぐみさんや私の生年でもあります。
 留吉という名は、私の祖父の名でもありました。この登場人物は、ほぼ祖父と同世代でしょう。こんな古風な名はほとんど耳にすることがなくなりましたが、それだけでも懐かしくなりました。


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