Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2009年

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9月30日 邦画124

 東京行きの新幹線の中でDVDを。
 加藤泰監督『沓掛時次郎』(東映、1966年)。原作はもちろん長谷川伸。
 沓掛時次郎(中村錦之助)は助っ人稼業の流れ者で、つまらない出入りで弟分の朝吉(渥美清)を死なせてしまう。さらに、時次郎は一宿一飯の義理から、三蔵(東千代之介)という侠客を殺す。死に際に、三蔵は女房おきぬ(池内淳子)と子供の太郎吉(中村信二郎)を頼むと言い残す。
 時次郎はその言葉とおりに二人を連れて旅に出る。おきぬは労咳を患っており、時次郎は甲斐甲斐しく看病する。やがて、二人は惹かれあう。だが、ある日、おきぬは太郎吉を連れて姿を消してしまう。
 それから1年。上州高崎で、時次郎はおきぬ親子と再会する。だが、おきぬの病状は悪化していた。治療費を稼ぐため、時次郎は地元のやくざの出入りに加勢する。10両の金を作って時次郎が戻った時、おきぬはすでに絶命していた。時次郎は太郎吉を連れて、堅気になる決心をするのだった。
 他に、清川虹子や阿倍九州男ら。
 『沓掛時次郎』は雷蔵主演のものも観たが、この加藤監督と錦之助コンビのほうが、哀愁ただよい優れていると思う。
 錦之助と渥美清という組み合わせもおもしろいし、錦之助=千代之介のコンビはお馴染み。
 子役の中村信二郎は錦之助の甥で、昨年錦之助を襲名しました。

9月28日 邦画123

 今夜は自宅でビデオ。弘津三男監督『鬼火駕篭』(大映、1957年)。
 天童藩は六郷弾正(尾上栄五郎)に領地を奪われている。天童藩の家老が老中(志摩靖彦)に直訴に上がる途中で、刺客(細川俊夫)の手にかかり、居合わせた家老の娘・琴絵(中村玉緒)は発狂してしまう。
 さらに、家老の長男・兵馬(林成年)らが直訴に及ぶも、再び刺客に襲われる。実は、老中と弾正はグルである。兵馬らの危機を救ったのが、謎の町人・月太郎(市川雷蔵)である。やがて、弾正一味は、直訴を取り上げようとする大目付(荒木忍)の暗殺さえ企て、失敗すると今度は琴絵を誘拐する。月太郎につきまとう美貌の芸者・菊次(嵯峨美智子)は、月太郎に本心惚れているものの、刺客の妹で密偵であった。
 天童藩士らによる討ち入りを恐れた弾正は、密かに国許に逃れようとするが、月太郎や兵馬らに阻止され、大目付から謹慎を命じられるのだった。この間、琴絵もようやく正気を取り戻した。月太郎は実は天童藩ゆかりの老臣の息子だった。月太郎と菊次は結ばれ、江戸に残ることになった。
 他に、清水元、寺島雄作、山茶花究らお馴染みの脇役陣も。特に、寺島が悪役ながらコミカルな役を演じている。
 後半は『忠臣蔵』に似た展開だが、八尋不二の脚本ながらストーリーが無駄に複雑な気がする。しかも、ご都合主義。
 雷蔵はともかく、林成年の科白回しのひどいこと。ほとんど棒読みでした。偉大な父(長谷川一夫)をもつと辛いですね。その林も昨年でしたか亡くなりました。
 

9月27日 邦画122

 今夜は自宅でDVD。家城巳代治監督『異母兄弟』(1957年)。原作は田宮虎彦、撮影は宮島義勇、音楽は芥川也寸志、脚本は寺田信義と依田義賢。
 陸軍将校の鬼頭(三國連太郎)は結核の妻と二人の幼い息子を抱えながら、女中の利江(田中絹代)を手篭めにした。妻が亡くなり利江が妊娠すると、鬼頭は世間体を憚って、いやいや利江を後妻にする。しかし、利江は依然として使用人扱いで、鬼頭は先妻の二人の息子と利江の産んだ二人の息子(つまり異母兄弟)を徹底的に差別する。
 長じて先妻の二人の息子は陸軍士官となり出征、利江の産んだ三男(南原伸二=のちの南原宏治)も父に反発しながらも海軍士官になる。四男(中村賀津男)は病弱のため、とりわけ父に冷遇される。この四男が女中ハル(高千穂ひづる)と恋仲なのを知った父は、女中を里に追い返し、四男をも勘当してしまう。
 やがて敗戦。鬼頭の三人の息子はいずれも戦死した。行方不明だった四男だけが無事で、家に戻ってくる。今や老い果てた鬼頭元少将は、この息子を「出て行け」、「出来損ない」と罵るが、利江ははじめて夫に背いて息子を庇い、「私はもう女中ではありません」と言い切るのだった。
 戦前の家社会と権威主義を徹底的に批判した作品。
 夜11時になると、妻は子供たちを女中部屋に残し、枕を抱えて夫の寝室に向かう。「夜のお勤め」である。
 夫を「旦那様」とよび続けていた妻が、最後には老いた夫を「お父さん」と呼ぶのだった。
 三國は当時まだ34歳だが、例によって見事に老けていく。15歳年上の田中との夫婦が不自然ではない。何しろ、この映画のために三國は10本も抜歯したという。『楢山節考』での田中のエピソードと重なる。
 他に、冨田仲次郎や飯田蝶子、永井智雄ら。
 実はこの作品、1975年にライオン奥様劇場で連続テレビドラマになっています。鬼頭役は高松英郎でした。子供心に、あまりにも理不尽な夫の仕打ちに憤ったことを思い出します。

9月25日 邦画121

 東京に向かう新幹線の中でDVDを一本。
 内出好吉監督『柳生武芸帳 片目の十兵衛』(東映、1963年)。原作は五味康祐。
 柳生家の秘伝・柳生武芸帳は実は、徳川家打倒をめざす諸大名の血判状。柳生石舟斎は謀反人あぶり出しのため、隠密として自ら血判していた。その武芸帳の写しが、柳生但馬守(香川良介)と松平伊豆守(北竜二)の失脚を画策する若年寄・稲葉美濃守(佐藤慶)の手にわたる。将軍・家光(沢村訥升)に柳生家の無実を証明するため、柳生十兵衛(近衛十四郎)が生き証人を捜しに旅立つ。
 その十兵衛を山田浮月斎(吉田義夫)一味や霞の多三郎(品川隆二)・千四郎(松方弘樹)兄弟が付け狙う。十兵衛の妹はしかし、千四郎に恋心を抱くようになる。さらに、謎の一団が十兵衛を狙う。彼らは伊達政宗(山形勲)の手先だった。政宗は武芸帳に匿名で血判を押した人物であり、伊達62万石を守るため武芸帳の秘密を闇から闇に葬ろうとしていたのだ。
 十兵衛は政宗の刺客を倒した上で、家光に柳生家の無実を伝え、天下泰平のため政宗を見逃すよう言上するのだった。
 人気シリーズの四作目だそうです。
 近衛の殺陣の素早さはみごと。
 近衛=松方の親子共演のほか、近衛=品川のコンビは、のちにテレビ時代劇「素浪人」シリーズで大活躍します。私も幼いときに大いに楽しんだものです。

9月24日 邦画120

 今夜はまた大坂・九条のシネ・ヌーヴォまで。
 田中絹代監督『お吟さま』(松竹、1962年)。原作は今東光、脚本は成沢昌茂、撮影は宮島義勇。
 天正年間。茶人・千利休(中村鴈治郎)の妻りき(高峰三枝子)の連れ子お吟(有馬稲子)は、キリシタン大名の高山右近(仲代達矢)を愛している。しかし、右近には妻があり、また、ゼウスに仕える身でもある。お吟は万代屋(伊藤久哉)という商家に嫁ぐが、右近を忘れられず、不幸な夫婦生活が3年も続く。
 太閤秀吉(滝沢修)はキリシタン禁令を発した。右近も所領を奪われ畿内から追放となる。秀吉はまた、お吟の美貌に惹かれる。石田光成(南原宏治)は、右近の復権を阻止し、お吟を秀吉のものにするため、二人の不義密通をでっち上げようとするが、ますます二人の愛情は深まってしまう。お吟は右近を追って加賀に向かおうとするが、すでに利休の屋敷は秀吉の手の者に包囲されていた。利休は別れの茶をふるまい、お吟は愛を貫いて自害するのだった。
 茶の湯とキリスト教は関わりが深いようです。
 他に、利休の嫡男に田村正和(まだ童顔です)、お吟の侍女に富士真奈美、北政所に三宅邦子、淀君に月丘夢路などなど。笠智衆や千秋実の顔も。
 特別出演で、岸恵子も登場する。関白・秀次の愛を拒否し、毅然として磔になる農民の役である。科白はない。
 黄金色の茶室で秀吉がお吟に迫る。権力の恐ろしさと醜悪を際立たせている。さすがは滝沢修。
 有馬稲子、最近気になる存在になりました。
 この作品、1978年に熊井啓監督がリメイクしているそうです。
 成沢ら多くのスタッフに支えられたのでしょうが、監督としての田中絹代もなかなかのもの。
 セピア色というか小豆色の映像が心に残ります。


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