Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2009年

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9月23日 邦画119

 今夜も自宅でもう一本ビデオを。
 衣笠貞之助監督『白鷺』(大映、1958年)。原作は泉鏡花。
 明治40年代。東京の料亭・辰巳屋が倒産、娘のお篠(山本富士子)は元奉公人・おとり(賀原夏子)の店で女中、そして芸者に出ることになった。
 ほどなく、お篠は昔可愛がってもらった伊達画伯の弟子・稲木順一(川崎敬三)に出会い、お互いに惹かれあう。稲木はお篠に白鷺の絵を贈る。しかし、稲木は伊達の病弱な一人娘(野添ひとみ)との結婚を周囲から期待されており、他方、お篠は借金を抱えて、おとりに成金・五坂(佐野周二)の妾になるよう迫られていた。
 順一と再会を約束した夜、お篠は料亭の一室で五坂に強引に体を求められ、簪で自害するのだった。
 耽美的な映像だが、お約束とおりの展開。珍しく敵役を演じた佐野だが、迫力不足は否めない。山本もきれいなだけ、川崎は線が細すぎる。唯一光っていたのは、賀原夏子。はじめは恩人の娘を大事にしながら、やがて金儲けの道具にしようとする。この変節ぶりが見事。難波千栄子なら、どう演じたろうか。
 カンヌ映画祭でも賞をとったそうですが、エキゾチシズムだけが売り物のような作品でした。

9月23日 邦画118

 連休も終わりですね。
 崔洋一監督・脚本『カムイ外伝』(松竹、2009年)。原作はもちろん、白土三平。
 17世紀。非人という最下層の身分に生まれたカムイ(松山ケンイチ)は貧しさ故に、忍者となり、やがて抜け忍になる。カムイを追う追忍たちとの死闘が続く。
 松山藩主・水谷軍兵衛(佐藤浩市)は残虐非道な君主である。その水谷の愛馬の蹄を足ごと奪った者がある。半兵衛(小林薫)という漁師だ。蹄で擬似餌を作るためだった。逃げる半兵衛に、カムイは遭遇する。半兵衛の妻・お鹿(小雪)も、実は抜け忍だった。二人の娘・サヤカはカムイに好意を抱く。束の間の幸せ。しかし、半兵衛は水谷の軍勢に捕らえられてしまう。カムイとお鹿は、半兵衛を救出する。
 逃走中、半兵衛一家とカムイは小島にたどり着く。そこに、西国一の鮫退治の名人・渡衆が現れる。彼らを率いる不動(伊藤英明)は、自分たちも抜け忍だと、カムイに告げるのだが。
 子供の頃、アニメ「忍風カムイ外伝」(1969年)を観た記憶がある。「サスケ」と並んで、暗い暗いアニメだった。
 その印象が強いせいか、VFXの多用に違和感を覚えた。若手のホープ・松山ケンイチも力演なのだが、身分差別を前提にしたカムイの救いのない暗さが出ていたかどうか...
 山崎務のナレーションは、淡々としながらも効果的。
 大型エンターティメントとしては、文句なしに楽しめます。
 

9月22日 邦画117

 今夜は自宅でもう一本ビデオを。これで邦画と外国映画を合わせて今年200本目の鑑賞です。
 成瀬巳喜男監督『薔薇合戦』(1950年、松竹)。原作は丹羽文雄。いわゆる「中間小説」の大家ですね。
 里見真砂(三宅邦子)は兄と勤務先の百合化粧品の乗っ取りを企てたが、背任に問われそうになり、兄は病死してしまう。真砂は財界の大物(新藤英太郎)に出資を頼って、ニゲラ化粧品を設立し、百合化粧品に対抗する。宣伝部長には辣腕の園池(鶴田浩二)をヘッドハンティングしてくる。
 真砂の次妹・雛子(若山セツ子)は大人しい性格で、園池に惹かれているのだが、姉の命じるままに社員の日夏(永田光男)と不幸な結婚をする。日夏は妻と園池の関係を勝手に嫉妬した上に、社内に愛人を作り、真砂社長によって札幌に左遷されてしまう。末妹の千鈴(桂木洋子)は自由奔放な性格で、アパート暮らしをして江島(大坂志郎)という冴えない雑誌記者と結婚を約束するが、実はこの男には妻子(妻は千石規子)があった。真砂は若い愛人の小島(仁科周芳=のちの岩井半四郎)を入社させ、会計主任に抜擢する。女社長と会計主任、それに財界大物との関係が、面白おかしく週刊誌を賑わす。江島の持ち込んだ記事だった。
 こうして、三姉妹それぞれが挫折を経験し、人生のやり直しを決意する。雛子と園池が結ばれる予感の中で、映画は終わる。
 占領下で製作された作品だが、会社乗っ取りや不倫、結婚詐欺など、刺激的な話題に富んでいる。およそ成瀬的ではない。いつもはお淑やかな三宅邦子が女実業家の役で意外性があるし、三姉妹はそれぞれ魅力的だ。だが、鶴田はやや単調な二枚目役にとどまる。大坂演じる情けない江島のほうが、印象が深い。
 そう言えば、若山セツ子は谷口千吉監督と離婚し、その後癌で闘病中に自殺しました。谷口の再婚相手が八千草薫です。事実は映画よりも奇なり、かもしれません。
 「ニゲラ」って、一体どういう意味でしょうか。

「ニゲラ」も花の名前だそうですね。「百合」に対抗して「薔薇合戦」なのか。三姉妹だから「薔薇合戦」なのか?

9月21日 邦画116

 撮影監督・宮島義勇の生誕100年記念とのことで、大阪・九条のシネヌーヴォに。「西の宮川(一夫)、東の宮島」と称され、「宮島天皇」とも呼ばれた人です。本人は共産党の活動家でしたから、このニックネームは皮肉ですね。しかし、左派や「リベラル」に実は権威主義者が多いことは、否定できない事実でしょう。
 吉村公三郎監督、新藤兼人脚本、宮島撮影『夜明け前』(近代映画協会、民藝、1953年)。原作はもちろん、島崎藤村。
 「木曽路はみな山の中である」という宇野重吉のナレーションと木曽路の風景で始まる。確かに、見事なカメラワーク。民藝総動員の作品でもある。
 幕末の馬込の宿。本陣と庄屋を兼ねる青山家の跡取り息子・半蔵(滝沢修)は、平田篤胤の国学に傾倒している。幕末・明治の時代の激動の中で、この街道と宿場を大名や新撰組、倒幕勢力、官軍など、多くの人々が通過していく。強欲な問屋に馬方(殿山泰司ら)が反抗する。この僻村でも時代の変化は避けられなくなっていた。
 青山家の当主となった半蔵は、明治維新で農民の生活が改善されると願うが、新政府も農民たちには冷たかった。役所に陳情にいった半蔵は、逆に戸長(村長)を解任されてしまう。国学の衰退も著しい。父を敬愛する娘のお粂(乙羽信子)は、嫁入り前でありながら、父に同情のあまり自殺未遂事件を引き起こす。半蔵も東京で天皇に直訴を企てるなど、行動が過激になってくる。やがて、長男(山内明)に家督を無理やり奪われ、座敷牢の中で、寂しい生涯を終えるのだった。
 時代の激動の中で、田舎の因習に雁字搦めにされた理想主義者の悲劇である。
 半蔵の父役には、伊達信。他に、細川ちか子、芦田伸介、菅井一郎、清水将夫、佐野浅夫、北林谷栄などなど。
 
 

9月20日 邦画115

 さて、もう一本。
 森一生監督『万五郎天狗』(大映、1957年)。原作は「銭形平次」で知られる野村胡堂。
 八代将軍の座をめぐって、尾張の継友(千葉登四男=敏郎)は紀州の吉宗に敗れた。
 公儀隠密支配の薮田信濃守(志摩靖彦)は、次々に隠密を尾張に放ち、尾張家断絶を画策する。小川東馬(清水元)も、証拠がないなら捏造せよと命じられて、尾張に送られる。東馬は尾張城改築の絵図面を作成、旅芸人の半助(潮万太郎)とお夏(小野道子)の兄妹に託すが、尾張家の追っ手に撃たれて捕らえられる。
 この絵図面を取り返そうとするのが、継友の実弟・万五郎(市川雷蔵)。万五郎と薮田一味が絵図面をめぐって、競い争う。そこに、お夏の他にも万五郎の許婚・深雪(浦路洋子)、三味線の師匠(阿井美千子)と、万五郎に心を寄せる美女たちが絡んでくる。
 ついに、絵図面は薮田の手に渡るが、万五郎は大目付(荒木忍)の前で兄の無実を訴え、逆に薮田の強引な手口を暴くのだった。
 雷蔵の若様ぶりが全開。万五郎をめぐる小野と浦路の恋の鞘当ても、見所。
 渋い脇役の清水元が、珍しく活躍する作品でもある。
 東馬の子息・乙女助に舟木洋一、他にも伊達三郎、水原浩一ら雷蔵映画の常連たちも。
 この作品では、将軍家と尾張家は和解することになっていますが、実際には、万五郎(のちの宗春=継友の次の尾張藩主)は蟄居謹慎になっています。
 


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