Koji Murataの映画メモ

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外国映画 2009年

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 今夜は自宅でDVD。
 ルキノ・ヴィスコンティ監督・脚本『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(イタリア、1942年)。ヴィスコンティの監督処女作。ジェームズ・ケインの原作を剽窃したため、ケインとヴィスコンティの死後の1976年までアメリカでは上映されなかったとか。映画の原題も『妄執』という意味になっている。因みに、作中に郵便配達は登場せず、小説のタイトルを決めるよう出版社に求められた時、出版社からの返事をもった郵便配達が二度ベルを鳴らすので、このタイトルになったとか。この小説は、本作以外にも何度も映画化されていますが、本作が最高傑作と言われているようです。
 イタリアのある田舎町に流れ者のジーノ(マッシモ・ジロッティ)が現れる。彼は居酒屋に住み込みで働くことになるが、太った初老の口うるさい店主(ジュアン・デ・ランダ)の若く美しい妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)と、ほどなく関係をもつ。二人は駆け落ちを企てるが、女は町での安定した生活を捨てられない。
 男は一人で旅立ち、大道芸人「スペイン人」(エリオ・マルキューゾ)と出会って、同行するようになる。だが、ある町で件の店主夫妻と再会、居酒屋に戻ることになる。その帰路に、愛し合う二人は自動車事故を装って店主を殺害する。
 やがて、店主の記憶を断ち切るために町を出ようとするジーノと、町での生活を望むジョヴァンナは喧嘩を繰り返す。ジーノは新たに愛人を作る。だが、ジョヴァンナはすでに妊娠していた。その頃、事故の新しい目撃者が現れて、二人に警察の手が伸びる。ようやく、ジョヴァンナも町を捨てる覚悟をする。しかし、逃走中の自動車事故でジョヴァンナは死に、ジーノは茫然自失のまま逮捕されてしまう。
 ジロッティとカラマイが、いかにもイタリア人らしくセクシー。
 ジーノと「スペイン人」の関係は同性愛的で、彼と旅を続けるか女のもとに戻るかは、ゲイとヘテロの性の選択のようでもある。さすがはヴィスコンティです。
 また、「スペイン人」という登場人物には、フランコ将軍のスペイン内戦批判が込められているとか。
 ファシズム時代のイタリアで作られたこと自体が驚くべき作品で、のちに「ネオ・レアリスモ」の嚆矢とされる所以です。
 しかし、天下のヴィスコンティも処女作が剽窃だったとは。
 エミール・ゾラ原作の映画化『嘆きのテレーズ』も似たような筋立てでした。

 今夜は自宅でビデオ。
 エルンスト・ルビッチ監督『生きるべきか死ぬべきか』(1942年、アメリカ)。
 1939年のポーランド。第二次大戦の開戦直前である。ワルシャワの劇場で「ハムレット」が上演されている。主役のジョセフ・テュラ(ジャック・ベニー)が「生きるべきか死ぬべきか」の名科白を口にすると、若くハンサムなソビンスキ中尉(ロバート・スタック)が席を立って姿を消す。実は、楽屋にいるテュラの妻で女優のマリア(キャロル・ロンバート)と逢引きしていたのだ。
 やがて、ドイツがポーランドに侵攻、テュラたちが上演しようとしていた風刺演劇「ゲシュタポ」は当然中止となり、ソビンスキ中尉はロンドンの亡命政府に勤務することになる。中尉はポーランドの有力者シレツキ教授(スタンリー・リッジズ)が実はゲシュタポのスパイであることに気づき、教授を追ってワルシャワに密かに舞い戻る。中尉はテュラ夫妻と再会、彼らの協力をえて教授を殺害した上、劇団員の一人がヒトラーに扮装して無事にロンドンに脱出するのだった。
 テュラたちは大願叶って、ロンドンで「ハムレット」を上演する。しかし、ジョセフが「生きるべきか死ぬべきか」を口にすると、またソビンスキ中尉は席を立つのだった。
 シリアスなスパイ映画のようだが、そこはルビッチ作品のこと軽妙なコメディで、偽ヒトラーや偽教授、偽将軍などの登場で、大いに楽しませてくれる。
 とはいえ、ナチスがポーランドを現に占領している時の風刺映画だから、笑ってばかりはいられない。
 主演はキャロル・ロンバートで、なかなかの美女である。この映画では無事に飛行機でワルシャワを脱出することになっているが、撮影終了の三週間後に飛行機事故で亡くなった由。こうなると「生きるべきか死ぬべきか」という題名も笑えない。
 

 今夜は自宅でDVD。オットー・プレミンジャー監督『悲しみよこんにちは』(アメリカ、1957年)。原作はもちろんフランソワーズ・サガン。彼女を一躍有名にした小説の映画化です。
 フランスの避暑地。17歳になるセシール(ジーン・セバーグ)は父レイモン(デーヴィッド・ニーヴン)とその恋人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)とひと夏を過ごしている。そこに、亡き母の親友だったアンヌ(デボラ・カー)がやって来る。父は彼女に夢中になりエルザと別れ、やがては、アンヌと結婚を決意する。
 セシールは父の再婚を祝福したものの、その心情は複雑である。しかも、恋人の大学生フィリップ(ジェフリー・ホーン)との交際をアンヌに反対されたことから、セシールはアンヌの追放計画を密かに練る。彼女はエルザとフィリップの協力をえて、父とエルザを復縁させ、アンヌの追い出しに成功した。しかし、アンヌが運転していた自動車が海に転落して、彼女は亡くなってしまう。果たして、事故だったのか自殺だったのか。ひと夏の忘れられない悲しみだけが残った。「悲しみよこんにちは」である。
 ショート・カットのセバーグがキュートでセクシー。ニーヴンも大人の男の色気と洒落を体現している。デボラ・カーも貫禄。
 粋な会話が多いが、設定がフランスなのに英語とうのに、少し違和感がある。
 それにしても、フランスの高校生の夏休みの宿題には、パスカルやスピノザが登場するのですね。すごい!

 今夜は自宅でDVD。またアイルランドものです。
 ジム・シェリダン監督『マイ・レフトフット』(イギリス、1989年)。
 ダブリンの下町。クリスティ・ブラウン(ダニエル・デイ=ルイス)は生まれながらの脳性小児麻痺で、自由に動かせるのは左足の指だけ。飲んだくれのレンガ職人の父と働き者の母、貧しい家庭の常で子供だけは多い。クリスティは知能障害と思われていたが、ある日左足指にチョークをはさんで、「母」(mother)と書き記した。成長したクリスティは、女性小児科医の助けを借りて、画才と文才を発揮する。だが、彼はその女医に失恋してしまう。
 父の死後、クリスティは自伝を出版して一躍有名になる。自伝の書名が『マイ・レフトフット』である。初恋の女医に求められて、クリスティは大金持ちの貴族が主催するチャリティに出席、その豪邸で自分の出番まで介護してくれた看護婦のメアリー(ルース・マッケイブ)に恋をする。二人は高台にデートし、ダブリンの町に乾杯するのだった。
 二人は13年の交際ののちに結婚する。クリスティ・ブラウンの自伝を基にした実話である。
 障害児に対する周囲の憐憫が、やがて芸術家への尊敬に代わる。
 デイ=ルイスは渾身の力演である。両親を演じたレイ・マカナリーとブレンダ・フリッカーも朴訥な雰囲気でよい。メアリー役のマッケイブも決して美人でないところにリアリティがある。
 誠実に力強く生きることを謳歌した作品だ。
 アイルランドの貧富の格差も伝わってくる。
 冒頭で主人公が左足でタイプを打っている。やはり、映画は冒頭ですべてを物語っているわけです。

 自宅でDVD。キャロル・リード監督『邪魔者は殺せ』(イギリス、1947年)。原題は"Odd Man Out."「はみ出し者」といった意味か。
 第二次世界大戦直後の北アイルランド、ベルファースト。アイルランド革命軍(IRA)の一味が資金獲得のために工場を襲撃する。金を奪って逃げるところを、リーダーのジョニー(ジェームズ・メイスン)が経理係ともみ合いになり、殺してしまう。ジョニーも肩に重傷を負って仲間とはぐれ、町を彷徨する。
 ジョニーの仲間たちもその後、警察に射殺されたり、逮捕されたりしてしまう。ジョニーは恋人キャサリン(キャサリン・ライアン)のところに戻ろうとするが、その間に、様々な人々と遭遇し、邪魔者扱いを受ける。雨から雪にかわった天候の中で、真夜中になる頃、ようやくジョニーは恋人と再会を果たす。しかし、男はすでに瀕死の重傷である。警察に追い詰められ、死を覚悟したキャサリンが拳銃を発射し、二人は銃殺されてしまう。時あたかもアルバート公記念時計塔が12時の鐘を打っていた。
 同監督の『第三の男』を思わせる重厚な白黒映画。
 主人公の命を刻むように、時計塔の鐘が毎時ごとに鳴り響く。
 ジョニーを偶然助けた夫人とその夫の会話。「犬でも死ぬときは静かなものよ」「犬は人間の友達だ」。ジョニーを乗せた馬車の御者は言う。「仲間には俺に助けられたと言え。警察なら何も言うな」。
 誰もがIRAの報復を恐れながらも、厄介には巻き込まれたくない。
 往年の名優ジェームズ・メイスン、実に懐かしい俳優さんです。

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