Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2009年

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 神戸の実家に帰って、母とビデオをもう一本。ルネ・クレール監督『自由を我等に』(フランス、1931年)。
 ルイ(レイモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は刑務所を脱獄するが、エミールは捕まってしまう。ルイは蓄音機の製造で商売に成功し、大会社の社長になる。一方、刑務所を出たエミールは、知らずにルイの会社の工場に就職する。そこで、美人秘書(ロラ・フランス)に一目惚れ。
 やがて、社内でルイとエミールは再会、最初ルイはエミールを冷たくあしらっていたが、何といっても昔の仲間だ。ルイはエミールと美人秘書を結婚させようとする。しかし、彼女には恋人がいた。エミールは失恋し、ルイも昔の刑務所仲間たちに見つかって恐喝される。
 会社に新しい工場がオープンする日、ルイとエミールはすべてを投げ打って、二人だけで自由を求める旅に出るのだった。
 このラストシーンは、映画史上有名。中学生の頃(従って30年以上前)、NHK教育の『世界名画劇場』で観た記憶がある。
 トーキー初期のドタバタ喜劇。
 刑務所と工場が実によく似ている。ここからチャップリンの『モダンタイムズ』までは、そう遠くない。

 今日は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで、アメリカ総領事主催の独立記念日(7月4日)のパーティーがありました。
 というわけ、今夜は自宅でオリバー・ストーン監督『7月4日に生まれて』(アメリカ、1989年)。
 ロン・コービック(トム・クルーズ)は7月4日生まれ。父(レイモンド・J・バリー)は第二次世界大戦の従軍経験者で、母(キャロライン・カヴァ)も保守的かつ道徳的。ロンは愛国者として成長し、高校を卒業すると海兵隊に従軍する。
 だが、ベトナムの戦場は、ロンの予想を超えていた。ロンたちは間違ってベトナムの民家人を多数殺してしまい、その上、ロンは仲間のウィルソンを誤射で死なせてしまう。やがて、ロン自身がベトコンの攻撃で重傷を負い、下半身不随の身になってしまう。
 劣悪な病院での治療を終えて、ロンは車椅子で故郷に戻った。しかし、ベトナム反戦運動は全国に広がり、ロンの弟ですら反戦派だ。高校時代の恋人ドナ(キーラ・セドウィック)もシェラキュース大学で反戦運動に身を投じている。ロンは警察が学生たちを残酷に鎮圧する様子に遭遇する。
 ロンは一時は自暴自棄になり、メキシコに流れ着く。そこには、ロンと同じようにベトナムで負傷した車椅子のチャーリー(ウィレム・デフォー)らがたむろして暮らしていた。
 やがて、チャーリーたちと決別したロンは、自分が殺したウィルソンの両親を訪ね、真実を告白する。さらに、ロンは仲間たちとともに、ニクソン再選をめざす共和党大会に抗議活動に出かける。4年後の1976年、反戦のゲストスピーカーとして、ロンは民主党大会に臨むのだった。
 トム・クルーズが熱演している。ウィリアムの両親と未亡人、遺児と対面するシーンは、感動的。
「私はあなたを一生許せないが、神様は許してくださるわ」と、若い未亡人は言う。
 アメリカののどかで保守的な田舎町とベトナムの戦場が、実に対照的である。
 病院の黒人看護士は、ロンに反戦よりも公民権運動が大切だと説く。
 ただ、全体が説教臭く図式的で、深みに欠けるのが残念。
 因みに、主人公のロンは1946年生まれですから、クリントンやブッシュと同じ年です。

 今夜、自宅で学生諸君とDVDを一本。
 アラン・J・パクラ監督『デビル』(1996年、アメリカ)。
 北アイルランドのベルファスト。子供の頃、目の前で父親を殺されたフランキー・マグワイヤー(ブラッド・ピット)は、アイルランド革命軍(IRA)の幹部となり、多くのイギリス軍と警察官を殺傷したが、激戦で仲間をほとんど失い、ニューヨークに渡る。
 IRA支持者のアイルランド系の判事の紹介で、フランキーはローリーという偽名を使って、何も知らないアイルランド系警察官のトム・オミーラ(ハリソン・フォード)の家に寄宿する。トムは美しい妻と三人の娘に囲まれて幸せに暮らしており、ローリーも彼らに親しみを覚える。
 しかし、ローリーには使命があった。武器商人のバーク(トリート・ウィリアムズ)から武器を購入して、北アイルランドに戻るつもりだった。ところが、バークはローリーから金を奪おうとして、トムの家を襲う。ローリーは仲間も殺され、バークに復讐する。ローリーの正体を知って驚き、怒りながら、トムは彼が殺されないうちに逮捕しようと、ローリーを追う。アイルランド人のテロリストとアイルランド系の警官が、友情を抱きながら、最後の対決に臨む。
 実際、ニューヨークの警官には、アイルランド系が多いようですね。確か、ハリソン・フォードもアイルランド系だったと思います。オバマ大統領も、母方にアイルランドの血統があるそうです。
 1993年頃の設定になっており、まだ携帯電話が普及していません。もちろん、マンハッタンには世界貿易センターが聳え立っています。
 アイルランド紛争はほとんど下火になりましたが、世界はまだまだテロと無縁ではありません。
 ブラピ、かっこよかったですよ。
 パクラ監督は『ペリカン文書』など、政治性のあるアクション映画がお得意のようです。

 テオ・アンゲロプロス監督・脚本『旅芸人の記録』(1975年、ギリシア)のDVDを、自宅で2日にわけて観賞。何しろ4時間近い大作です。映画史上に輝く名作ですが、ツタヤにはこの種のものはなく、購入しようとすると同監督作品一括購入になって高価です。観たいと以前から思っていましたが、大学図書館の視聴覚コーナーで偶然発見しました。
 1939年から52年までのギリシアを、旅芸人の一座が田園劇を巡業していく。ファシズムの時代から軍部独裁の時代であり、この間に戦争と内戦、パルチザンと共産主義者の抵抗が続く。時代は現在と過去をしばしば自由に交差していく。
 座長アガメムノン(ストラトス・パビス)の妻(アリキ・ヨルグリ)は、座員のアイギストス(ヴァンゲリス・カザン)と不倫している。座長夫婦の長男オレステス(ペトロス・ザルカディス)はパルチザンに加わっている。イギリス兵を匿った罪で、アガメムノンはギリシア軍に銃殺されてしまう。アイギストスが密告したのだ。こうして、アイギストスが座長になる。
 ある日、オレステスが一座に姿を現し、公演中の母とアイギストスを射殺する。アガメムノン夫婦の長女エレクトラ(エヴァ・コタマニドゥ)は、弟オレステスの行方を追う秘密警察に輪姦される。やがて、オレステスも逮捕され、遺体となってエレクトラのもとに帰ってくる。
 一座は同じ田園劇を演じ続ける。舞台は冒頭とまったく同じ1939年のシーンに戻っていく。
 13年間の激動のギリシア現代史が、暗く美しい映像の中で回顧される。何度も何度も、既視感に襲われる。社会の底辺を生きる旅芸人たちの家族愛と裏切りと不幸が、ギリシア現代史に重ね合わされる。ただただ見事な映像と構成である。溝口健二顔負けのワンシーン、ワンカットが長い。
 同時期の日本現代史をモチーフにすれば、どんな作品が仕上がるだろう。
 アガメムノンら家族の名前は、ギリシアの古代神話によっている。
 「傷だらけの自由に絶望するな」と詩人が叫ぶ。
 この作品自体が、軍政下の制約のもとで製作されています。
 
 

 今夜は自宅でDVD。ジム・シェルダン監督『父の祈りを』(イギリス、1993年)。
 1974年、アイルランド革命軍(IRA)によるテロがイギリス本土にも及ぶ。北アイルランドのベルファスト出身のジョニー・コンロン(ダニエル・デイ・ルイス)と友達のポール・ヒル(ジョン・リンチ)は、無職の若者で麻薬や窃盗にも手を出している。この二人が、ロンドンでの爆破テロの犯人として逮捕されてしまう。警察では、ディクソン警部らの強引な取調べで、二人は自供させられてしまう。しかも、ジョニーの父ジョゼッピ(ピート・ポスルスウェイト)や叔母、未成年の従兄弟たちまで、爆弾製造の共犯者にされてしまう。テロを憎む世論を背景に、判決は有罪。ジョニーとポールは終身刑、父のジョゼピは12年の懲役である。
 刑務所でも、アイルランド人テロリストとして差別され、ジョニーは自暴自棄になっていくが、父は再審請求に望みをかけ、母を想い、神に祈りを捧げ続ける。同じ刑務所にIRAの大物も服役し、彼は実は自分が爆破テロの犯人だとコンロン親子に告げる。やがて、父の体調は悪化し、獄死する。ジョニーは父の志を継ぐべく、それまで拒絶していた弁護士ピアース(エマ・トンプソン)に積極的に協力しはじめる。ある時、ピアースは当時の警察の取り調べ調書から決定的な証拠を発見し、再審でついに、ジョニーらの無罪が確定する。15年の月日が流れていた。
 ジョニー・コンロンの自伝を基にした実話。
 テロへの恐怖とアイルランド人への偏見が、恐るべき冤罪事件を産んでしまう。
 何しろ、当時できたテロ防止法では、令状なしに7日間容疑者の身柄を拘束できたのである。
 無軌道な息子と自制的な父が対照的。社会派弁護士役のエマ・トンプソンも、抑制の利いた演技で好感がもてる。
 「体は刑務所に閉じ込められても、頭の中は自由だ。私は毎晩母さんと散歩している」と、ジョゼピは言う。
 囚人たちが刑務所で観賞している映画が『ゴッドファーザー』。1970年代なんですね。
 私はこの夏、本当にアイルランドに行くことにしました。
 因みに、主人公と一緒に逮捕されたポール・ヒルは、その後ロバート・ケネディの娘と結婚した由。また、これだけの冤罪事件を引き起こした刑事たちは、結局無罪だったそうです。


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