Koji Murataの映画メモ

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外国映画 2009年

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 会議でマレーシアへ。往きの機内で一本。
 スティーブン・ダルドリー監督、デビッド・ヘア脚本"The Reader"(アメリカ・ドイツ、2008年)。原作はベルンハルト・シュリンクの『朗読者』。日本でも19日から『愛を読むひと』という邦題で公開予定。
 1958年のドイツ。帰宅途中に急病に罹った15歳の少年マイケル(デヴィッド・クロス)は、ハンナ(ケイト・ウィンスレット)という30代半ばの美しい女性車掌に助けられる。やがて、二人の年齢を超えた愛が始まる。ハンナは少年に様々な本の朗読を求める。ホメロスやチェーホフなどなどである。ところが、ある日ハンナは突然マイケルの前から姿を消してしまう。
 それから数年、ロー・スクールに通うマイケルは、刑法の教授(ブルーノ・ガンツ)に連れられて法廷見学に出かける。戦時中にアウシュビッツ強制収用所でユダヤ人殺害に手をかした女性看守たちの裁判だった。なんと、そのうちの一人がハンナだったのである。ハンナには終身刑が下る。
 弁護士になったマイケル(ラルフ・ファインズ)は本を朗読して、そのテープを刑務所のハンナに送り続けるのだった。実は、ハンナは読み書きができなかったのだ。テープを手がかりに読み書きを覚えたハンナは、20年後に出所の時を迎えるのだが。
 切ない愛の物語。朗読という営みが、時と場所を越えて二人を結ぶ。
 ウィンスレットはセクシーな上に、上手に老けていく。ファインズは憂いを秘め、ガンツはさすがの存在感。デヴィッド・クロスという少年は初々しい。
 私も時々、聖書を朗読して録音していますが、確かに、古典の朗読はいいものですよ。

 今夜は自宅でDVD。ニール・ジョーダン監督『マイケル・コリンズ』(英米アイルランド、1996年)。アイルランド独立運動の英雄の物語。ベネチア映画祭金獅子賞受賞作。
 1916年のイースター蜂起に失敗し、マイケル・コリンズ(リーアム・ジョーダン)らは捕らえられる。出所後、マイケルはイギリスに協力するアイルランド警察を中心に、テロの標的にする。イギリスも兵力を増強し、アイルランドの一般市民までを殺傷する。
 独立運動の指導者エイモン・デ・ヴァレラ(アラン・リックマン)はアメリカに渡り独立支持を得ようとするが失敗、マイケルのテロ作戦にも反対する。やがて、イギリスが和平を求めてくる。難しい交渉と知りながら、デ・ヴァレラはあえてマイケルを使節の代表として派遣する。結果は独立ではなく自治で、北アイルランドも分離されることになる。それでも、マイケルは戦争の継続より平和を呼びかけるが、デ・ヴァレラらは完全独立を主張して決裂、内戦に発展する。
 マイケルはかつての同志たちとの内戦を終息させるため、デ・ヴァレラとの交渉を求めてコークに赴くが、そこで暗殺されてしまう。
 マイケルの親友で、のちに袂を別ち殺されるハリーの役にエイダン・クイン、マイケルとハリーとの三角関係に悩みながら、やがてマイケルとの結婚を決意するキティーにジュリア・ロバーツら。
 イギリスとアイルランドとの屈折した関係は、日本と朝鮮半島とのそれに似ていますね。あるいは、アイルランド内戦の様子は開国をめぐる幕末の尊皇攘夷運動のようでもあります。
 アイルランド独立運動の歴史を知るにはいい作品ですが、デ・ヴァレラの扱いが正当でないとの批判が強いようです。
 武闘派から和平派に転じ、かつての同胞に殺されてしまうコリンズ――英雄になる要素満点です。

 今夜は自宅でビデオ。サタジット・レイ監督・脚本『大地のうた』(インド、1955年)。
 大学図書館から借り出したもの。いわゆる「オプー三部作」の第一作。
 インドのベンガル。オプー少年(サビ・バナージ)の一家は貧しい。父(カヌ・バナージ)はインテリだが働きがなく、母(コルナ・バナージ)は生活に追われて子供たちにも口うるさい。姉のドーガ(ウマ・ダス・ブブタ)はいつも母親に叱られている。友達の首飾りを盗んだと疑われたこともあった。
 父は出稼ぎに行くが、なかなか戻ってこない。この間に、親戚のお婆ちゃんは死んでしまう。そして、にわか雨にうたれたことから、ドーガも肺炎に罹り死んでしまう。
 ようやく父が戻ってきて、貧しい一家は失意のうちに村を去る。オプーは姉が首飾りを盗んでいたのを知るのだった。
 半世紀前のインドの貧困が、子供たちの澄んだ目を通じて、繊細に描かれている。姉と弟がはじめて蒸気機関車を見たときの驚きよう。
 同じような貧しさが、そう遠くない昔の日本にもあったはずだ。
 貧しさと兄弟の絆をテーマにしている点では同じだが、『スラムドッグ&ミリオネア』よりも、はるかに陰影に富む深みのある作品です。

 京都シネマでアラン・コルノー監督『マルセイユの決着(おとしまえ)』(2007年、フランス)。
 いわゆるフィルム・ノワール(暗黒街もの)で、ジャン=ピエール・メルヴィル監督『ギャング』(66年)のリメイクとか。
 1960年代のフランス。大物ギャングのギュ(ダニエル・オートゥイユ)が刑務所から脱走、元相棒の愛人だったマヌーショ(モニカ・ベルッチ)と再会して愛し合うようになる。二人は海外への逃亡を企てるが、ブロ警視(ミシェル・ブラン)の監視が厳しく、しかも、ギュには金がない。
 マルセイユで、ギュは昔の仲間に誘われ金の強奪に参加し、成功する。しかしその後、ギュはブロ警視に逮捕され、罠にはめられて仲間の名前を口にしてしまう。密告者の汚名を返上するため、ギュは再び脱走するが、強盗一味のアントワーヌ(ニコラ・デュヴォシェル)らはギュの命を狙う。果たして、「マルセイユの決着(おとしまえ)」や、いかに。
 1960年代にタイムスリップしたような錯覚に襲われる。ジャン・ギャバンやリノ・ヴァンチェラが出てきそうだ(ヴァンチェラは『ギャング』の主役)。
 古い仁義と新興ヤクザの横暴という構図は、日本映画でも馴染みのものだ。
 中年・初老の男たちの顔が、実に渋い。セクシーですらある。
 そして、ヒロイン・ベルッチの美しいこと。若いデュヴォシェルも、往年のアラン・ドロンを彷彿させる。
 一触即発のギャングたちの抗争を、冷静なブロ警視がスペイン風邪に喩えている。時宜をえたというか、笑えないというか。

 今夜も自宅でDVD。デヴィッド・リーン監督『ライアンの娘』(1970年、イギリス)。
 20世紀初めのアイルランドの寒村。酒場を経営するトマス・ライアン(レオ・マックーン)の娘ロージー(サラ・マイルズ)は、中年の小学校教師チャールズ(ロバート・ミッチャム)に恋をし、二人は結婚する。中年教師との結婚生活は静かだが、若いロージーには単調で退屈なものだった。
 そんな頃、町にイギリス人将校ランドルフ(クリストファー・ジョーンズ)が赴任する。ランドルフは戦場で足を負傷し、義足をはめている。戦火の悪夢に苛まれるランドルフと家庭生活に倦むロージーは、すぐに惹かれあい逢瀬を重ねる。知的障害を抱えた中年の小男マイケル(ジョン・ミルズ)がこれを目撃したところから、二人の醜聞は町中の知るところとなる。
 アイルランド独立運動の闘士たちが町に潜入してきた。ドイツから輸送されてきた武器を入手するためだ。だが、彼らはランドルフ率いるイギリス軍に検挙されてしまう。町の人々はロージーを密告者だと断定し、彼女にリンチを加える。妻の浮気を知りながら、夫チャールズはロージーをかばい抜く。実は、密告者はロージーの父ライアンだったのだ。
 やがて、チャールズとロージーは追われるようにして町を出て行く。彼らを見送るのは、老神父(トレーバー・ハワード)とロージーを慕うマイケルだけだった。
 村社会の恐ろしさを感じさせる作品です。
 ロージーは夫を愛し罪の意識を抱きながら、女の性に溺れていく。
 普段はタフガイを演じるロバート・ミッチャムが、物悲しげな夫を淡々と演じている。
 田舎では(というか、カトリック教国では)聖職者の威厳は大したものだ。トレーバー・ローパー好演である。そして何といっても、要所要所で「おいしい」役どころが、ジョン・ミルズ演じるマイケルだ。ミルズは本作でアカデミー助演男優賞を受賞、のちにサーの称号もえている。
 アイルランドの荒涼たる厳しい自然の、それでいて美しいこと。まるで詩のようです。
 英単語もいくつか覚えました。
 Peg Leg 義足
padre 神父
grenade 手榴弾
constable 巡査
corporal 伍長
 最近、ちょっとアイルランドに凝り出しまして。


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