Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2009年

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 神保町の岩波ホールでエラン・リクリス監督『シリアの花嫁』(イスラエル=仏独合作、2004年)。
 イスラエル占領下のゴラン高原で、ドゥルーズ派の一家から花嫁モナ(クララ・フーリ)がシリアの人気俳優のもとに嫁いでいく。しかし、占領下で無国籍の彼女は、いったんシリアに入りシリア人と結婚すれば、二度とゴラン高原には戻れず、家族とも会えない。
 花嫁の父(マクラム・J・フーリ)は親シリアの政治活動のためイスラエルの警察に目をつけられている。長男はロシア人と結婚したため、この父から勘当されている。長女アマル(ヒアム・アッバス)は保守的な夫と不仲で不幸な結婚生活を送っている。
 いよいよ、国境を越えて花嫁がシリアに入国しようという時に、イスラエルの出国手続きとシリアの入国手続きに齟齬があり、モナは何時間も国境を越せない。ついに、彼女は毅然として一人国境を越えていく。
 結婚とは何か、家族とは何か、そして、国境とは何かを問いかける名作である。
 イスラエル政府を批判する内容の映画をイスラエルが合作で手がけている。政府の外交政策とは別に、成熟した市民社会を感じさせる。
 父の威厳と苦悩を演じたフーリは、実に渋い。アッバスも憂いに満ちた演技である。
 優れた映画は概ねそうだが、会話が洒落ている。
 「結婚とはスイカのようなものだ。割ってみるまでわからない」。
 なお、人の性格は歯並びを見れば、わかる由。色男の次男は前歯に隙間があり、これは浮気者の証拠だそうです。
 モントリオール世界映画祭グランプリの作品です。
 岩波ホールに行くのは初めてでしたが、落ち着いたいいホールですね。

 今夜は自宅で学生諸君とゴダールの『女は女である』(1961年、フランス)。
 数年前、出張先の広島の古本屋で購入したビデオだ。
 アンジェラ(アンナ・カリーナ)は子供を産みたいと願っているが、夫のエミール(ジャン=クロード・ブリアリ)はいらないと言い張る。夫への当てつけもあって、アンジェラは男友達のアルフレッド(ジャン=ポール・ベルモンド)と関係をもつ。他人の子供が生まれてはたいへんと、その夜夫婦は関係し、ハッピーエンドとなる。
 こう荒筋だけ記すと他愛ないが、ゴダール作品らしく会話が軽妙で粋、そして、色彩が鮮やかである。
 「早くしてくれ。家に帰って、テレビで『勝手にしやがれ』を観たいんだ」というアルフレッドの科白は、もちろん楽屋オチ。
 「なぜ男は席を立つ時にすぐ戻ると言うのだろう」、「卑怯だからよ」
 「君は淫乱な女だ」、「いいえ、ただの女よ」という夫婦の最後の会話で、題名につながる。
 登場人物が突然踊りだし、そして、突然音楽が止まる。
 オバマ生誕の年に作成された、まことに不思議なで実験的なミュージカル・コメディーである。
 因みに、エミールはフランス共産党の機関紙『ユマニテ』を愛読している。

 今日は京都みなみ会館でジャック・ドゥミ監督『ロシュフォールの恋人たち』(フランス=アメリカ、1967年)。音楽はもちろん、ミシェル・ルグラン。
 ロシュフォールは軍港。ここの祭りに旅芸人たち(ジョージ・チャキリスら)がやって来る。この町には美しい双子の姉妹が住んでいる。赤毛の姉(フランソワーズ・ドルレアック)は作曲家志望で、そうとは知らずアメリカ人の高名な作曲家(ジーン・ケリー)と偶然に出会って、恋に落ちる。ブロンドの妹(カトリーヌ・ドヌーブ)は自分の肖像画を描いた水兵の画家(ジャック・ペラン)を探し求めているが、二人はいつもすれちがい。姉妹の母親(ダニエル・ダリュー)はカフェを経営しており、10年前に別れた婚約者(ミッシェル・ピコリ)のことが、今でも忘れられない。
 祭りが終わって、旅芸人たちがパリに旅立つ頃に、偶然にもこの三つの恋がそれぞれ成就するのだった。
 パステル・カラーが美しく、明るく楽しい音楽。戦争の頻発や猟奇殺人といった世相も、さりげなく織り込まれている。
 チャキリスの若いこと!ジーン・ケリーはさすがの貫禄。
 双子を演じたドヌーブとドルレアックは本当の姉妹だが、後者は交通事故で25歳にして世を去った。
 お祭りの展示に、ホンダのオートバイ・ショーが登場します。
 「世界で一番美しい女性」――この表現はドヌーブには誇張でない気がします。

2月18日 外国映画17

 今夜は自宅でジャン・リュック・ゴダール監督『気狂いピエロ』(フランス、イタリア、1965年)。原題は「ピエロ・レ・フル」。
 フェルディナン(ジャン・ポール・ベルモント)は結婚生活に倦んでいる。あるパーティーで、彼は5年前に別れた彼女のマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と偶然に再会する。彼女のアパートには男性の死体があり、二人は不思議な逃避行を重ねる。マリアンヌの兄がマフィアの金5万ドルを着服したというのだ。
 だが、奔放なマリアンヌはフェルディナンとの旅にも飽きて、彼を裏切りマフィアのもとに走る。怒ったフェルディナンは彼女と愛人のマフィアを殺すが、自暴自棄になって、自らもダイナマイトで事故死してしまう。
 このように、ストーリーを要約しても、この作品はわかるまい。なにしろ、ストーリーそのものは奇想天外である。
 リリックな会話が続き、ピカソやゴッホの絵画が挿入される。全体がモダンアートのようである。
 マリアンヌはいつもフェルディナンを「ピエロ」と呼び、彼は「僕はフェルディナンだ」と答える。
 「人生は2億5000万秒なのよ。あなたと出会って、まだたったの200万秒だわ」。
 ピエロことフェルディナンの最期の言葉は、「こんな死に方って」である。
 アルジェリア戦争やベトナム戦争、米ソの軍拡が、揶揄されている。
 政治的で、しかし、それ以上に芸術的で、しかも美しい不思議な作品である。
 ベルモントの若いこと!

 本日二本目はリュック・ベッソン監督『レオン』(アメリカ、1994年)。
 ニューヨークに住むイタリア人のレオン(ジャン・レノ)は、凄腕の殺し屋である。
 ある日、彼の住むアパートの隣家で一家が皆殺しされる。麻薬取引のトラブルによるもので、麻薬取締局の幹部スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)の仕業である。オールドマンはキレると何をしでかすかわからない冷酷な人物だ。だが、彼らは12歳の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)を逃してしまう。彼女は隣のレオンの保護を求める。
 レオンが凄腕の殺し屋と知ると、マチルダは自分も殺し屋になると言い出す。4歳の弟の仇をとるためだ。やがて、スタンフィールドが二人の居場所を発見し、200人の警察官を動員して二人を殺害しようとする。
 レオンの冷静なプロぶり、12歳の少女の大人顔負けの演技、そして、スタンスフィールドの狂気を演じたオールドマン。いずれもお見事。レオンは牛乳を愛飲し、観葉植物を宝物にしている。ジーン・ケリーの映画『雨に唄えば』が大好きだ。
 そんな彼も、ひとたびサングラスをかけると非情な殺し屋に変貌する。一人5000ドルで殺しを引き受ける。これは高いのか安いのか。
 美しくかつ恐るべき純愛物語である。


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