Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2009年

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10月28日 外国映画98

 今夜は自宅でDVD。
 ピーター・カッタネオ監督『フル・モンティ』(1997年、イギリス)。
 イギリスの工業都市シェフィールド(人口は50万人)。かつて鉄鋼で栄えたこの町も、今や不景気。ガズ(ロバート・カーライル)は半年前に失業し、職業安定所に通っている。妻とも離婚し、一人息子のネイサン(ウィリアム・スネイブ)の養育費が払えないため、親権を取り上げられようとしている。
 たまたま巡業中の男性ストリップ「チッペンデール」が大流行なのを知り、ガズはデブの仲間デイヴやダンスのうまい昔の上司ジェラルドらを誘って、男性ストリップの企画を立てる。6人の男たちのストリップの練習が始まる。ネイサンも父たちを応援している。
 しかし、工場で裸で練習中のところを警察に逮捕され、彼らは一躍有名に。ついに、会場には400人もの男女が集まり、6人のストリッパーたちは素っ裸(フル・モンティ)のショーで喝采を浴びるのだった。
 時分の肉体や失業にコンプレックスを抱く中年男たちが、逡巡しながらも団結し自信を回復していく。
 ネイサンを演じた子役が、実にかわいく、かつ、しっかりしている。
 この映画が公開された97年といえば、メージャー首相率いる保守党が総選挙に敗れ、労働党のトニー・ブレアが首相になった年です。
 シェフィールドは私も一度訪問したことがあります。大学町であると同時に労働者の町で、景気と治安が直結するようです。
 

10月27日 外国映画97

 またまた出張の合間にDVD。
 テイラー・ハックフォード監督『愛と青春の旅立ち』(1982年、アメリカ)。原題は"An Officer and A Gentleman" 観ているはずで観ていない作品の一つです。
 ザック・メイヨ(リチャード・ギア)の父親は水兵だがフィリピンで売春婦を愛人にし、母は無言のまま自殺してしまっていた。大学を卒業したザックは、シアトルにある海軍の航空士官養成所に進むことにした。父を見返す意味もある。
 13週間にわたる地獄の訓練が始まった。大半は途中で自主退学(Drop On Request: DOR)するという。教官はフォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)という黒人の鬼軍曹だ。ここの海軍基地周辺に住む若い娘たちは、将来の海軍パイロットの妻になろうと躍起になっている。あるパーティーで、メイヨとクラスメイトのシドは、美しいポーラ(デブラ・ウィンガー)とリネットに出会う。二人は近くの製紙工場で働いていた。ザックはポーラと、シドはリネットと結ばれる。
 だが、最も訓練の厳しいサバイバル・シーズンを乗り越えると、ザックはポーラを避けるようになる。他方、シドはリネットに妊娠を仄めかされ、訓練に集中できなくなっていた。ついに、シドは12週目にしてDORを決意した。海軍パイロットを諦めたシドがリネットに求婚すると、彼女はにべなく拒否する。しかも、彼女は妊娠していなかった。絶望したシドは自殺する。ザックは母に続いて親友までも、無言のうちに失ったのだった。
 ザックたち士官候補生が卒業し少尉になると、フォーリー軍曹は上官に対する敬礼をして彼らを送り出した。ザックはポーラの工場に向かい、彼女を抱擁するのだった。
 リチャード・ギアが溌剌としている。
 鬼軍曹は映画史に残るキャラクターだし、主題歌も懐かしい。
 この鬼軍曹は主人公のメイヨを「マヨネーズ」と罵り続ける。
 メイヨはイタリア系だが、母はアイルランド系だったとか。ポーラはポーランド系です。こうした人種的背景は、彼らの社会階層を示唆しています。

 自宅でビデオ。ジェーン・カンピオン監督・脚本『ピアノ・レッスン』(1993年、オーストラリア)。
 19世紀の半ばとのこと。エイダ(ホリー・ハンター)は9歳になる娘フロラを連れて、イギリスからニュージーランドに嫁ぐ。エイダは言葉が話せず、筆談とピアノがコミュニケーションの手段である。
 ところが、初対面の夫スチュアート(サム・ニール)は、エイダのピアノを浜辺に放置した上、未開の土地と交換にベインズ(ハーヴェイ・カイテル)という男に譲ってしまう。
 ベインズはエイダにピアノ・レッスンを求める。それだけではなかった。レッスンのたびに、ベインズはエイダに愛撫を与え、エイダもピアノを取り戻すために、これに耐えた。やがて、二人は本当に愛し合うようになる。
 スチュアートは妻に拒まれたままで、妻の不倫を知って激怒し、エイダの指を一本切り落としてしまう。翌日、エイダ親子とベインズは、島を小船で旅立っていく。エイダはピアノを捨てるよう求め、一度はピアノと一緒に海に転落するが、九死に一生をえて、ベインズとの新生活が始まるのだった。
 拒絶しながら燃え上がる女心の複雑さ。さすがは女性監督です。
 生身の人間への愛と言葉の回復努力によって、主人公はピアノへの執着から解放されます。
 叙情あふれる映像の美しさは、例えば近作『オーストラリ』などの比ではありません。
 主人公が言葉を発しないことも、一層彼女をセクシーにしているように思います。

10月20日 外国映画95

 今夜も自宅でビデオ。
 イングマール・ベルイマン監督『第七の封印』(スウェーデン、1957年)。
 中世の北欧。騎士のアントニウス(マックス・フォン・シドー)は、従者とともに10年にわたる無益な十字軍遠征を終えて、帰還しようとしていた。しかし、郷里にはペストが広がり、人々は終末を語り合っていた。アントニウスは浜辺で死神に出会う。彼は死神にチェスの試合を申し入れる。神の存在を確かめる知識をえたいと思っていたからだ。
 アントニウス一行は陽気な曲芸師の親子に出会い、さらに、魔女として火あぶりにされる少女にも出会う。「悪魔は神について知っているか」と、騎士は少女に問う。やがて、騎士は死神とのチェスに敗れるが、曲芸師親子を死神の手から逃すことには成功する。一行がアントニウスの居城に到着すると、妻が夕食の準備を整え、「ヨハネによる黙示録」の第七の封印のくだりを朗読する。そこに死神が現れ、彼らは闇に連れ去られていく。
 神と死の意味を問うた宗教的な名作です。
 騎士と死神がチェスをするシーンは、この映画を観ていなくても知っている人が多いのではないでしょうか。
 陽気な曲芸師は夢想家で、死神と騎士とのチェスの様子が見えてしまう。対する妻は純朴な生活者。彼らとその赤ん坊が助かることで、この作品は救いにつながる。
 キリスト教と中世の知識があれば、深く深く味わえるであろう作品です。
 白黒の映像がまた、神秘的で美しい。

10月19日 外国映画94

 東京のホテルで持参のDVD鑑賞。
 クリストファー・ノーラン監督『メメント』(2000年、アメリカ)。
 保険会社の調査員レナード(ガイ・ピアース)は、妻をレイプされた上殺され、自分も前向性健忘に陥る。事件後の出来事については、10分しか記憶が保てないのだ。そのため、彼はメモとポラロイド写真に頼り、重要なことは自分の体に入れ墨していく。
 レナードは復讐のため、妻を殺したジョン・Gという犯人を追っている。かつて、同じように前向性健忘を患ったサミーに保険金を払わず、その妻を死に追いやったことが、今となっては悔やまれてならない。「サミーを忘れるな」と、刺青にある。
 レナードはテディ(ジョー・パントリアーノ)という白人男性を殺す。なぜか。物語は、彼の記憶のように断片的に、しかも過去へと遡って進んでいく。テディの他にも、ナタリー(キャリー=アン・モス)という女性が登場し、レナードに協力する。どうやら、彼女も恋人を誰かに殺されたらしい。
 驚くべき結末が待っていた。映画の冒頭でレナードに殺されたテディは、レナードの妻の事件を担当した刑事だった。レナードの妻は九死に一生をえていた。だが、レナードは前向性健忘になり、糖尿病の妻にインシュリンを打ち続けて死なせてしまった。「サミーを忘れるな」。サミーには妻などおらず、レナードの記憶が自分の妻の死と混同してしまっていたのだ。
 しかも一年も前に、レナードはテディの助けを借りてジョン・Gを殺していた。それすら忘れたレナードはテディに利用され、麻薬の売人ジミーをジョン・Gと思い込んで殺した。ジミーこそナタリーの恋人だった。しかし、この第二の殺人すら、レナードはやがて忘れる。復讐を果たして自分の人生が目標を失うことを恐れ、レナードはテディが妻殺しの犯人であるかのメモを書きとめて、復讐劇を続けていたのだった。
 「メメント・モリ」はラテン語で「死を忘れるな」という意味だそうです。
 複雑なストーリーで、目が離せません。試されているのは、主人公の記憶というより、観客の記憶ですらあります。
 「記憶」(memory)と「記録」(record)のどちらが信用できるのか。これは歴史研究にとっても、興味深い問いかけです。
 主役のガイ・ピアース、たいへんな力演でした。


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