Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2009年

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10月11日 外国映画88

 新幹線の車中でデヴィッド・リンチ監督・脚本『ブルーベルベット』(1986年、アメリカ)。
 1950年代のノースカロライナののどかな町・ランバートン。
 父の入院で郷里に戻ってきた大学生ジェフリー(カイル・マクラクラン)は、野原で切断させた人間の耳をみつける。担当刑事の娘で高校生のサンディー(ローラ・ダーン)によると、ナイトクラブの歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)が事件に関係しているという。
 好奇心にかられたジェフリーは、ドロシーのアパートに忍び込む。フランク(デニス・ホッパー)という変質者がドロシーをレイプする様子を、彼はクローゼットの中から目撃してしまう。実は、ドロシーの夫と子供がフランクに拉致されており、ジェフリーが発見した耳は、ドロシーの夫のものだったのだ。しかも、背後には警察関係者も関与する麻薬密売が絡んでいたのだ。
 デニス・ホッパー演じるフランクが強烈。この人、狂気を演じさせればピカイチでしょう。 とにかく"fuck"を連発する。「夢の精はお菓子のピエロ」―彼が口にする奇妙な歌詞だ。
 ジェフリーとサンディも、いかにも50年代のアメリカの若者という感じ。だが、ジェフリーの穿いていたダサいトランクスのパンツにはびっくり。
 イザベラ・ロッセリーニは、ロッセリーニ監督とイングリッド・バーグマンの娘です。彼女も力演。この歌手がナイトクラブで歌う歌のタイトルが「ブルーベルベット」です。ドロシーにも性的倒錯が見られます。
 レイプ、SM、拉致、麻薬、同性愛と、長閑な街に潜む恐るべき暗渠を、美しい映像で描いています。

 自宅でDVD。セルゲイ・エイゼンシュタイン監督・脚本『イワン雷帝』(ソ連、1944−46年)。
 せっかくロシアに行ったものですから。
 モスクワ大公イワン4世(ニコライ・チェルカーソフ)は、祖国の統一と領土の回復のため、ロシア皇帝として即位した。大貴族の間には抵抗が根強かったが、イワン皇帝は専制君主として振る舞い、タタール人の侵略を退けた。一時は病に冒され危篤となるも回復、皇帝は反抗的な貴族を処分していく。だが、これに反発した叔母が皇后アナスタシア(リュドミラ・ツェリコフスカヤ)を毒殺、皇帝は失意のあまり一時はモスクワを離れる。しかし、民衆は彼の復帰を願い、皇帝は民衆から親衛隊を創設して、モスクワに戻る。ここまでが第一部である。
 第二部では、貴族の反抗が一層激しくなる。イワン皇帝は僧籍に入ったかつての親友に助力を求めるが、彼は皇帝の残虐行為を罵り、処刑されてしまう。やがて、皇帝の叔母はついにイワン暗殺を決意する。しかし、宮殿で刺客に殺されたのは、皇帝のマントを羽織ったイワンの凡庸な従兄弟ウラジミル(バーヴェル・カドチンコフ)だった。実の子を殺したと知り、叔母は発狂する。
 志高い青年から狂信性を帯びた中年までのイワン雷帝を、チェルカーソフが渾身の演技で表現している。権力者の孤独がしみじみと伝わってくる。
 「カリガリ博士」のような陰影に富んだ映像で、ラストの30分ほどでは赤を基調とした鮮明なカラーに変わる。
 この作品は、歌舞伎の影響を強く受けた由。歌舞伎の初の海外公演は実はソ連で、1928年のことです。そこに、バレーやサーカスの要素も加わっている。
 ロシアがまだまだ大国とはいえず、カザンやポーランドに侵略され翻弄されていた時代の壮大な叙事詩です。だが、スターリン批判ととられて(そりゃ、そうだろう)、12年も上映が禁止されていたそうです。

10月5日 外国映画86

 モスクワから成田に向かう機内で一本。
 スティーヴン・ダルドリー監督『リトル・ダンサー』(2000年、イギリス)。原題は"Billy Eliot".
 1984年。ストライキに揺れるイギリスの炭鉱町。
 ビリー・エリオット少年(ジェイミー・ベル)は母を亡くし、炭鉱夫の父(ゲイリー・ルイス)と兄(ジェイミー・ドラヴェン)、それに年老いた祖母と暮らしていた。父の指図でボクシングを習っているものの、馴染めない。ある日、ウィルキンソン夫人(ジェリー・ウォルターズ)が少女たちにバレーを教えているのを見かけて、バレーに惹かれていく。いつしか、ビリーは少女たちに交じってバレーを習いだした。ウィルキンソン夫人は少年に才能を見出し、熱心に指導する。
 しかし、これが父の知るところとなった。「男がバレーを習うなど」と、父は絶対に反対である。兄もそうだ。だが、クリスマスの夜、ビリーがバレーを踊る姿を目撃して、父も息子の才能に気づく。ビリーをロンドンのバレー学校に進学させるため、父はスト破りに加わろうとさえする。父は兄に止められ、仲間たちが金を集めてくれる。
 数年後、成長し成功したビリー(アダム・クーパー)の舞台に、父や兄、友人たちが集うのだった。
 直向(ひたむき)なビリー少年の姿が、愛おしい。
 サッチャー時代のイギリスが舞台になっています。父や兄がバレーに反対するのは、男らしくないということに加えて、バレーが中産階級の趣味だというクラス(階級)意識の問題があります。イギリスらしいですね。
 成長したビリーを演じたアダム・クーパーは、実際著名なバレー・ダンサーです。
 低予算で製作して大ヒットした作品だとか。
 ヘンリー・フォンダ主演の往年の名作『スペンサーの山』を思い出しました。大学進学を希望する息子に、樵の父親(フォンダ)は当初反対するが、やがて、山を売ってまで息子を進学させるという話です。「樵の息子が大学で勉強しようとするのを、神様がそれはいけないと仰るはずはない」と、父は言います。ラストシーンで、故郷から大学のある都会に向かう息子が、バスの中で老婦人に「どこまでいくの?」と聴かれ、「未来です」と答える。そう、教育は未来と希望につながっているはずのものなのです。
 

9月29日 外国映画85

 午前中から自宅でDVD(すみません、午後はしっかり働きます)。
 絵ロール・モリス監督『フォッグ・オブ・ウォー――マクナマラ元国防長官の告白』(アメリカ、2004年)。アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞受賞の作品。
 ベトナム戦争時の国防長官だったロバート・マクナマラ本人が、キューバ・ミサイル危機に始まって、第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして、ベトナム戦争での経験を回顧し、11の教訓を語る。「相手の身になって考えろ」から「決してと決して言うな」、「人間の本質は変えられない」などである。
 米空軍の猛将カーティス・ルメイへの畏敬と批判、ケネディ暗殺の衝撃、ジョンソン大統領との確執などを、マクナマラが淡々と、しかし、時には感情を滲ませながら独白する。20世紀のアメリカ史を学ぶにも、たいへんよい教材だ。
 第一次世界大戦が終わった1918年、マクナマラはまだ2歳だったが、当時の様子を記憶しているという。当時はスペイン風邪が流行しており、映像で多くの人がマスクをしている。
 また、第二次世界大戦では、日本への戦略爆撃に際して、東京はニューヨークとほぼ同規模、横浜は
クリーブランド、大坂はロサンジェルス、名古屋はシカゴ、などと換算しながら破壊していったという。「わらわらは戦争犯罪人だ」と、マクナマラは認めている。
 そのマクナマラも、今年7月に93歳で亡くなりました。
 タイトルは、戦争は「五里霧中」だという意味。

9月26日 外国映画84

 神保町シアターで、フランソワ・トリフォー監督『恋のエチュード』(フランス、1971年)。今年はトリフォーの没後25年だそうです。原作はアンリ=ピエール・ロシェ、『突然炎のごとく』の原作者でもあります。
 フランス人の青年クロード(ジャン=ピエール・レオ)は母の親友の娘で彫刻家を志すイギリス人のアン(キカ・マーカム)に出会い、イギリスの一家を訪問する。そこには目の病を患う美しい妹・ミュリエル(ステーシー・テンダー)もいた。アンはクロードに惹かれていたが、彼と妹の仲をとりもつ。二人は結婚を決意するが、クロードの母が反対、1年間の冷却期間をおくことにする。
 この間、クロードの心は早くもミュリエルから離れる。さらに、クロードはアンと再会し、肉体関係をもつ。アンはクロードを愛しながらも、別の男性とも関係をもつ。クロードは二人の姉妹との恋愛関係を小説にして発表する。その頃、アンは結核で亡くなってしまう。
 クロードはミュリエルと再会、二人はついに結ばれる。彼女は30歳にして処女だった。男は女を愛していることに、ようやく気づく。しかし、女は別れを告げる。「あなたは夫になる人ではない」。
 クロードを演じたジャン=ピエール・レオは、『大人は判ってくれない』の、あの子役だった人。
 クロードは優しく善良そうなのだが、率直に言って身勝手のきわみ、サイテー野郎です。最後に彼が捨てられて、溜飲が下りました。やはり女性の勝利です。
 複雑な心理描写に拘りすぎて、インパクトに欠ける作品になっているように思いました。


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