Koji Murataの映画メモ

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外国映画 2010年

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 次に、クリスチャン・カリオン監督・脚本『フェアウェル さらば、哀しきスパイ』(2009年、フランス)。
 冷戦末期の実話に基づく作品です。
 1981年のモスクワ。KGBのグリゴリエフ大佐(エミール・クストリッツァ)はフランス人技師ピエール(ギョーム・カネ)に接触し、機密情報をフランス情報組織に流す。民間人相手だから、かえって露見しにくい。大佐はソ連の体制に失望しており、自分の息子の世代が新しい体制で生きていけることを願っている。この機密流出行動の暗号名は「フェアウェル」。
 大佐とピエール自分の家族にも秘密を守り、家族との摩擦を抱えながら、お互いに反発しつつも友情を感じ始める。だが、「フェアウェル」はレーガン大統領やCIA長官(ウィレム・デフォー)、ミッテラン大統領も関与する重大案件になっていく。
 ソ連が西側に張り巡らしたスパイ組織の機密情報を、大佐はピエールに手渡す。だが、その直後に大佐はKGBに捕らえられてしまう。ピエールは家族を連れてフィンランド国境から脱出を図るのだった。
 このスパイ網を失ったことで、ソ連は西側の技術を盗めなくなり、SDIその他のアメリカの攻勢に対応できず、崩壊していく――そういう契機になった事件の映画化。
 グリゴリエフ大佐はフランスの文化を愛しており、その反抗的な息子は米英の音楽に惹かれている。
 大佐は息子の欲しがっているソニーのウォークマンのことを「ジョニーのウォークマン」と呼んでいる。
 作中のレーガン大統領はしばしば西部劇を楽しんでいる。フランスで社会党のミッテランが大統領に当選したと知らされて、怒りのため机を叩く。実際のレーガンは感情表現のきわめて抑制的な人でしたから、閣僚たちの前で怒りのあまり机を叩くなど、およそ考えられません。
 アメリカとフランスの情報組織の微妙な摩擦も描かれています。というか、フランスのアメリカへの偏見を改めて感じた作品でもありました。

 京都シネマで2本。
 まず、キャリー・ジョージ・フクナガ監督・脚本『闇の列車、光の旅』(2009年、アメリカ、メキシコ)。
 貧しいホンジュラス。サイラ(パウナリーナ・ガイタン)は、父と叔父に連れられて、メキシコを越えてアメリカに密入国することに。貨物列車の屋根に乗っての旅である。
 他方、カスペル(エドガー・フロレス)は町のギャング団の一員だ。この組織のメンバーは不気味なタトゥーに身を包んでおり、裏切りを許さない強烈な忠誠心を持っている。カスベルにも最近スマイリーという弟分ができた。だが、カスベルには恋人がおり、それを組織に秘密にしていた。このことが露見し、ボスに恋人は殺されてしまう。
 ボスはカスベルとスマイリーを伴い、列車強盗に出かける。そこで、サイラを見つけたボスは、彼女をレイプしようとする。咄嗟にカスベルはボスを殺す。不法移民たちからは人殺しと見られ、組織からは裏切り者として命を狙われることになる。それでも、サイラだけは父たちと別れてまでカスベルに着いてくる。
 ギャング団の追っ手が迫っていた。カスベルはサイラだけ川を渡って逃がす。そのカスベルを射殺したのは、なんとスマイリーだった。すべてを失ってアメリカにたどり着いたサイラは、希望をこめてニュージャージーにいるはずの母にコレクトコールをかけるのだった。
 恐ろしい擬似共同体から抜け出すことで、青年は人間性を回復するが、そこには死が準備されていたわけです。この刺青だらけにギャング団は中南米一体に実在する組織だそうです。
 不法移民の乗る列車に、メキシコ北部の子どもたちが「移民なんか大嫌い!」と投石します。貧困の中での差別の連鎖です。
 いい作品ですが、それほど感動しなかったのは、おそらく結末が最初から予想できるからでしょう。
 監督は名前の示すとおり、日系の血を受け継いでいるそうです。

 出先でスチュアート・ラフィル監督『フィラデルフィア・エクスペリメント』(1984年、アメリカ)。
 1943年、米海軍はロングストーリー博士の下で、戦艦をステルス化する実験をフィラデルフィアでおこなっていた。ところが、実験中に戦艦『エルドリッジ』がワープして消えてしまう。乗組員だった水兵のデーヴィッド(マイケル・パレ)とジムだけが1984年のネバダに運びこまれてしまう。
 二人は偶然であったアリソン(ナンシー・アレン)という女性の協力をえて、郷里のカリフォルニアまで戻ろうとする。しかし、大量の電磁波を浴びたジムはまた過去に戻ってしまった。しかも、1984年のネバダではロングストーリー博士が同じ実験をおこなって、一つの町がまるごと消えてしまった。
 電磁波の穴をふさがなければ、地球全体が滅びるかもしれない。博士の依頼を受けて、デーヴィッドは電磁波の穴に漂流する『エルドリッジ』の電源を切断しに向かうのだった。
 よくあるSFものです。ただ、『バック・ツゥー・ザ・フューチャー』とは逆に、過去から未来への移動です。主人公はレーガン大統領の記者会見の様子をテレビで見て、「この俳優は知っている。これは映画か?」と尋ねます。
 

 皆さん、『残菊〜』や『野菊〜』『カルメン〜』など、日本の名作をたくさんご覧ですね。すばらしい!
 さて、今夜は自宅でDVD。
 ジーン・ネグレスコ監督『ジョニー・ベリンダ』(1948年、アメリカ)。
 カナダの海岸沿いにある寒村が舞台。聾唖の娘ベリンダ(ジェーン・ワイマン)は父ブラックと叔母アギー(アグネス・ムーアヘッド)と、貧しく静かに暮らしている。町に最近やって来た医者のリチャードソン(ルー・エイヤース)はベリンダに手話を教える。
 だが、乱暴な漁師のロッキーが、ベリンダをレイプする。ベリンダは父親のわからない男の子を産み、ジョニーと名づけた。ブラックはロッキーが娘をレイプしたことを知り、ロッキーに殺されてしまう。その上、リチャードソン医師がベリンダに乱暴して子どもを産ませたという噂を、ロッキーが広げる。当のロッキーは金持ちの娘ステラと財産目当てで結婚した。リチャードソンは町にいられなくなり、トロントに去る。
 さらに、ロッキー夫妻はベリンダから親権を奪い、赤ん坊を自分たちのものにしようとする。赤ん坊を守るため、ベリンダはロッキーを銃で撃ち、死なせてしまう。殺人罪に問われるベリンダ。だが、ステラが真相を告白したため、ベリンダに無罪の判決が下るのだった。
 主演のワイマンは当然、一言もしゃべりません。いかにも無垢な女性を演じ、これでアカデミー主演女優賞を獲得しています。この頃はレーガンの妻でしたが、この直後に離婚しています。
 陰気な叔母アギーを演じたムーアヘッドは、60年代のテレビドラマ『奥様は魔女』のエンドラです。
 この映画でも、田舎の「世間」の恐ろしさが描かれています。
 

 東京に向かう車両でDVDを一本。
 ジョン・ヒューストン監督『マルタの鷹』(1941年、アメリカ)。原作はダシール・ハメット。いわゆるフィルム・ノワールの嚆矢とされる作品。
 サンフランシスコの私立探偵サム・スペード(ハンフリー・ボガート)のもとに、ブリジッド(メアリー・アスター)という依頼人が現れ、サースビーという男と会って駆け落ちした妹を連れ戻してほしいと求められた。その日の夜、相棒のマイルズがサースビーに会いに行くが、殺されてしまう。しかも、その直後にはサースビーも殺される。
 警察は、サムがマイルズの妻と不倫していたのではないかと疑う。サムのもとにはカイロ(ピーター・ローレ)という謎の男が現れる。背後にはガットマン(シドニー・グリーンストリート)という黒幕がいるらしい。
 実は、ガットマンは17年にわたって「マルタの鷹」を探していた。マルタの騎士がスペイン皇帝に謙譲した宝物で、天文学的な価値を有する。ブリジッドとサースビーとカイロは、ガットマンの手先で、入手した「マルタの鷹」をめぐって仲間争いを起していたのだ。
 「マルタの鷹」は偶然サムの手に入るが、それは偽物とわかる。ブリジッドがマイルズを殺したと知ったサムは、彼女に惹かれながらも警察に突き出すのだった。
 ボガートを一躍有名にした作品です。
 「仲間をやられたら、ただではすまさない」――これがサムの行動原理です。
 「マルタの鷹」を見た刑事が、これは何だと問うと、サムは「欲望がつまっているんだ」と答えます。

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