Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2010年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

 次に、マーク・ライデル監督『黄昏』(1981年、アメリカ)。
 ノーマン(ヘンリー・フォンダ)とエセル(キャサリン・ヘップバーン)の老夫婦は、毎年夏を美しい湖畔の別荘で過ごす。妻はまだ元気だが、夫は記憶力も減退して老い込んでいる。80歳の気難しい老人だ。
 ノーマンは娘のチェルシー(ジェーン・フォンダ)とも不仲で、何年も会っていない。ノーマンの80歳の誕生日に、チェルシーは婚約者とその子供ビリーを連れて訪ねてくる。それでも、ノーマンは不機嫌だ。二人はヨーロッパ旅行に出かけ、ビリーだけが老夫婦のもとに残ることになった。
 最初はノーマンも刺々しく、ビリーも孤独だったが、やがて湖での釣が二人を結びつける。チェルシーが迎えに戻った時、父娘もようやく和解するのだった。
 それまで、父をノーマンと呼んでいた娘が、最後にお父さんとい言う。
 ビリーが大きな魚を釣ったつもりが、実は鴨の死骸だった。老人に迫る死の象徴である。
"Are you afraid of dying?"と、少年が老人に聞く。13歳と80歳。今の私はその中間にいる。9年前に亡くなった父が生きていれば、そろそろ80歳だ。
 キャサリン・ヘップバーンは4度目のアカデミー主演女優賞受賞。ヘンリー・フォンダとは実に初共演。確かにうまいが、少し演技過剰な気がする。その点、史上最高齢の79歳でアカデミー主演男優賞を受賞したヘンリー・フォンダのほうが、実に渋かった。実際、翌年には79歳で亡くなっています。この作品での彼の姿は、私には『グラン・トリノ』のイーストウッドに重なって見えます。
 本作は、現実のフォンダ親子の和解の作品でもありました。

 ニューヨークからソウルに向かう機内で、3本観ました(今、帰国したところです)。
 まず、マーティン・リット監督『ノーマ・レイ』(1979年、アメリカ)。
 アメリカ南部の紡績工場で、ノーマ・レイ(サリー・フィールド)という子持ちの独身女性が働いている。彼女の両親も同じ工場で働いており、ぎりぎりの生活だ。
 ある日、町にニューヨークから組合運動の活動家ルーベン(ロン・リーブマン)がやって来た。彼は組合の結成を労働者たちに呼びかける。だが、反応は鈍かった。
 その頃、ノーマは同じ工場で働く子持ちのウェブスター(ボー・ブリッジス)と再婚することになった。ノーマはルーベンの運動にも関心をもち、仲間に呼びかけて協力するようになった。ノーマの父が過労死したことから、彼女は一層組合活動に熱心になる。そのため、ウェブスターとの家庭生活に摩擦が生じる。
 ついに、ノーマは解雇され逮捕までされる。しかし、工場労働者の多数は組合結成を支持し、ノーマとノーマンの目的は達せられるのだった。お互いに淡い恋心を抱きながらも、ノーマンは町を去って行く。
 いかにも70年代の社会派映画です。カーター政権の末期で、何をやってもアメリカがうまくいかなかった頃です。
 南部の黒人差別も描かれています。
 ノーマが組合活動に没頭する様子が、何かしら宗教を連想させます。
 二人の淡い恋が、作品の唯一の救いでしょうか。
 ボー・ブリッジスの若いこと。

 ニューヨークの映画館で、オリバー・ストーン監督"Wall Street Money Never Sleeps"(2010年、アメリカ)を鑑賞。
 1987年作品の続編です。
 かつてウォール街に君臨し、インサイダー取引で逮捕されたゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)は、2001年に刑期を終えて出所した。
 それから7年。ウォール街の大手証券会社がヘッジファンドに追い詰められ、社長が自殺した。同社で社長を師と仰いでいた若手証券マンのジェイク(シャイア・ラブーフ)は、復讐を誓う。彼の恋人ウィニー(キャリー・マリガン)は、実はゲッコーの娘だった。彼女は父を許すことができない。
 ジェイクと出会ったゲッコーは、若者に宿敵ブレトン・ジェームズ(ジョシュ・ブローリン)への復讐をアドバイスする見返りに、自分と娘との和解をとりもつよう、取引を申し出るのだった。
 2008年の金融危機が背景になっています。
 ブレトンがかつてのゲッコーにあたります。ジェイクはかつてチャーリー・シーンが演じたフォックス役でしょう。ちなみに、シーンもフォックス役で一シーンだけ登場します。
 ゲッコーは刑務所生活で、金よりも時間が大事だと気づいたとい言います。「時は金なり」です。
 物語には、中国の投資が絡んでおり、前作との時代の変化を痛感します。
 そもそも、冒頭で出所するゲッコーの所持品だった携帯電話の大きなこと!
 もう一度、前作も観てみたくなりました。

 

 ニューヨークのホテルで、日本から持ってきたDVDを一本。
 マイケル・カーティス監督"This Is the Army"(1943年、アメリカ)。
 ロナルド・レーガンが出演したミュージカルで、戦意高揚のための作品です。レーガンは当時、陸軍中尉でした。
 ミュージカル・スターのジェリー(ジョージ・マーフィー)は第一次世界大戦に従軍し、上官の命令で仲間たちと部隊でミュージカルを演じて成功した。
 それから20年以上経ち、今度は第二次世界大戦が始まった。ジェリーの息子ジョニー(レーガン)も陸軍に志願した。かつてのミュージカル仲間の子供たちを中心に、今度は「これが陸軍だ」という新しいミュージカルが演じられることになった。作品は大成功で、全米を巡業、ついにワシントンではローズヴェルト大統領やマーシャル将軍も観劇に。
 ワシントンでの大成功のあと、ジョニーは幼馴染のアイリーン(ジョーン・レスリー)と結婚し、ミュージカルの仲間たちとともに戦場に赴くのだった。
 音楽はアーヴィング・ベルリン。歌手のケイト・スミスやジョー・ルイスも登場して、美しい歌声を披露しています。
 もちろん、戦意高揚ものですから、平板な内容ですが、同時期の日本の戦意高揚ものの精神主義とは対極的です。
 作中のローズヴェルト大統領は、車イスに乗っていません。当時は、大統領が下半身不随だという事実は、知られていなかったのです。

 ソウルからニューヨークに向かう機内で一本。
 リチャード・ブルックス監督・脚本『エルマー・ガントリー』(1960年、アメリカ)。原作はシンクレア・ルイス。
 1920年代のアメリカ。背景にはキリスト教の復興運動と禁酒法がある。
 エルマー・ガントリー(バート・ランカスター)は神学校を中退したセールスマンで、酒と女に溺れているが弁は立つ。彼は旅先で復興運動の女性伝道師シャロン(ジーン・シモンズ)に出会う。彼女はカリスマ的な魅力を備えていた。エルマーは彼女に取り入り、自らも伝道の一翼を担う。二人のコンビは成功し、信者も寄付も増大する。
 しかし、エルマーが教会の資金を投資などに不正流用していると、新聞記者のジム(アーサー・ケネディ)が暴露した。エルマーは記者に無神論者のレッテルを貼ることで難を逃れる。エルマーはさらに過激になり、売春防止を謳って、信者たちと街頭に繰り出した。
 ところが、エルマーのかつての愛人ルル(シャーリー・ジョーンズ)は今や売春婦であり、エルマーを恐喝する。この一件も何とか乗り越えたものの、エルマーは自分の行為に嫌気がさし、教会を去ろうとする。しかし、シャロンはますます神がかり的になっており、教会の火事の中で落命するのだった。
 ランカスターがアカデミー主演男優賞を、ジョーンズが助演女優賞を獲得した作品です。
 偽善と独善の堺を、エルマーとシャロンは彷徨しています。
 アメリカ社会における宗教勢力の強さが、よく伝わって来ます。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事