Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2010年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

 自宅でDVD。マイケル・ムーア監督『キャピタリズム〜マネーは踊る』(2009年、アメリカ)。
 リーマン・ブラザーズの破綻以降の金融危機の中で、ウォール街に巨額の公的資金が投入されるのに、貧しい人々が家を奪われていく様子を、お馴染みムーア監督がドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
 しかし、もちろんドキュメンタリーではない。この人の突撃取材を受ける警備員や警官こそ、いい迷惑だ。「資本主義は悪だ」だと断言できるハリウッド監督の単純さ(ないしは偽善)には、驚く。
 マケイン上院議員が「富裕層の定義は?」と聞かれて、「500万ドル」と答えているのは、わかりやすかった。だが、一部財界人の報酬はそれどころではない。
 レーガンの頃からアメリカの資本主義が暴走しだしたという認識で、フランクリン・ローズヴェルトへの郷愁で、映画は終わる。この監督の歴史観は単純素朴だ。
 彼のオバマ評価は現在ではどうなっただろうか。
 資本主義を全否定する(ふりを)ことは、それをすべて肯定するのと結局は同じことです。

 夜、自宅でビデオ。
 F.W.ムルナウ監督『最後の人』(ドイツ、1924年)。ドイツ表現主義の傑作の一つとされる作品。
 サイレントだが字幕もない。
 あるホテルの年老いたドマン(エミール・ヤニングス)の物語。彼は立派な制服に身を包み、仕事に誇りをもっている。しかし、年齢には勝てない。支配人は老人をトイレの清掃係にしてしまう。
 だが、結婚を控えた娘や近所の者達への見栄から、老人はドアマンの制服を盗み出して、それを着て通勤を続ける。ところが、ある日隣人がかれをホテルに訪ねてきて、清掃係であることが露見してしまう。
 物笑いにされる老人、惨めな老後。ところが、脚本家がオチをつけたそうで、この清掃係はホテルに宿泊する億万長者の最期を看取り、その財産を相続して大金持ちになってしまうのだった。
 音声も字幕もないから、単純なストーリーにならざるをえません。
 その分、映像は迫力がありますし、何しろ『嘆きの天使』同様に、ヤニングスが強烈です。

 因みに、最近皆さんの意見交換が活発ですね。
 さて2本目は、ブレット・ラトナー監督『ラッシュ・アワー3』(アメリカ、2007年)。
 国際的な中国マフィアを摘発しようとした中国の大使が、世界犯罪裁判所会議で狙撃された。警護に当たっていた香港警察のリー刑事(ジャッキー・チェン)はロス市警のカーター(クリス・タッカー)と再びコンビを組んで、捜査に当たる。
 フランス語を話す中国系の殺し屋を捕まえた二人は、パリに向かう。そこで二人を待ち受けていたのは、ケンジ(真田広之)という殺し屋だった。彼は香港の孤児院でリーと兄弟同然に育った男だった。
 留学時代に『ラッシュ・アワー』を面白く観た記憶があったのですが、今回3を観てみると、あまりの粗雑さに唖然としました。私のテイストが変わったこともあるでしょうが。
 数ヶ月前に期せずして1週間以上滞在したパリの町並みを楽しめたのが、数少ない収穫でした。

 ワシントンからの帰路の飛行機で2本。
 まず、デヴィッド・アンスポー監督『勝利への旅立ち』(1986年、アメリカ)。
 1951年のインディアナ州の田舎町。この地のヒッコリー高校に、ノーマン(ジーン・ハックマン)がバスケットボールのコーチとして赴任してくる。彼はかつて名門大学でコーチをしたが、暴力事件を起こして放逐された身だ。
 高校のバスケットボール・チームは、かつての花形選手が辞めたため、人数不足で弱体だった。しかも、田舎町の人々はよそ者に排他的だ。ノーマンの厳しい訓練に選手たちは反発し、住民たちからは排斥運動まで起こる。
 それでも、ノーマンはマイラ(バーバラ・ハーシー)という同僚の教師やアル中のシューター(デニス・ホッパー)らの協力を得て、チームの団結を強め、ついには州大会での優勝にまで導くのだった。
 よくあるスポーツものだが、ノーマンという中年男と必ずしも美人ではないマイラとの恋愛や、シューターの苦悩が描かれていて、作品に深みを与えています。
 また、中西部の、しかも60年近く前の排他性も、よく描かれています。原題のHoosiersはインディアナ田舎者のことです。

 ワシントンのチャイナタウンにある映画館で、本日公開の作品を。
 アントン・コービジン監督"The American"(2010年、アメリカ)。
 ジャック(ジョージ・クルーニー)は腕利きの殺し屋で、銃器の改造にも長けている。スウェーデンでの仕事ののち、エージェントからイタリアの小さな町に身を潜めるよう命じられる。そこで、マチルダという美女から銃の改造を依頼されることになっていた。
 地元の神父(パオロ・ボナセリ)との友情、そして、クララ(ヴィオランテ・プラシド)という売春婦との恋愛。だが、ジャックの身辺には危険が迫っていた。
 クルーニーが渋い殺し屋を演じていて、それがイタリアの小さな町の風景にマッチしています。
 この小さな田舎町では、アメリカ人の存在が目立ちます。これがタイトルの由来。
 ジャックの背中には蝶の刺青があり、そのため、マチルダから「ミスター・バタフライ」と呼ばれている。
 「アメリカ人は歴史と関係なく今を生きている」と、イタリア人の老神父が言います。
 ストーリーにさしたる捻りがないのが、少し残念です。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事