Koji Murataの映画メモ

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外国映画 2010年

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 京都みなみ会館で、イエジー・スコモフスキ監督『バリエラ』(1966年、ポーランド)。
 以前『去年マリエンバードで』を観た時以上の難解さでした。
 ある大学生が既定の進路を捨てて旅に出、女性の鉄道員に出会う。二人は別れ別れになり、最後に再会を果たす。タイトルは「障壁」という意味で、学生たち戦後派対戦中派など、社会の様々な「障壁」がテーマなのだという。
 斬新で美しい映像が、次々に襲いかかってきて、幻惑させられてしまう。
 「プラハの春」の2年前の制作ですね。
 生半可な解釈を拒絶するような作品でした。
 
 先日、大阪の松竹座で久しぶりに歌舞伎を楽しみました。
 さて、今日は出張の移動中にDVDで一本。
 マーティン・スコセッシ監督『アビエイター』(2004年、アメリカ)。
 Quarantineという言葉から始まる。隔離の意味である。主人公は極度の潔癖症なのだ。
 ハワード・ヒューズ(レオナルド・デカプリオ)は若くして莫大な遺産を相続し、巨費を投じて『地獄の天使』という映画を製作している。ハリウッドの有力者たちは冷淡だったが、史上最高の400万ドルを費やし、映画は完成し好評をえる。
 ヒューズはプレイボーイとして多くの女優と浮名を流す。キャサリン・ヘップバーン(ケイト・ブランシェット)との恋は真剣だったが、破局に終わる。
 第二次世界大戦中に、彼は飛行機の製造にも乗り出し、巨大輸送機ハーキュリーズを開発して、軍部に売り込もうとする。だが、開発は終戦まで遅れに遅れ、しかも、ヒューズ自身が飛行機事故で瀕死の重傷を負う。
 ヒューズはさらに、TWAという航空会社を買収し、国際線に参入しようとするが、パンナム社長トリップ(アレック・ボールドウィン)の妨害に会う。トリップと癒着したブリュースター上院議員は、ヒューズを議会に喚問して苦しめた。ヒューズはこうした圧力を撥ね退け、ハーキューリーズも完成させるが、その頃にはすでに極度の強迫神経症にむしばまれていた。
 デカプリオはこういうサイキな役を演じると、なかなかのものですね。
 ヒューズが引き籠りになり、牛乳瓶に尿をためるシーンは、インパクトがありました。
 ジュード・ロウ演じるエロール・フリンはじめ、エヴァ・ガードナーなど、多くのハリウッドのスターたちが登場します。
 軽井沢に向かう車中(仕事です、念のため)でDVDを一本。
 デヴィット・リンチ監督『エレファントマン』(1980年、米英)。
 19世紀のロンドン。ジョン・メリック(ジョン・ハート)は、生来の奇形のため「エレファントマン」と名付けられ、見世物にされている。外科医のトリーブス(アンソニー・ホプキンス)が彼をたまたま発見し、興行師バイツのもとから治療のために病院に連れてくる。
 ジョンは発音こそ不明瞭だが、聖書を暗記するなど高い知性の持ち主で、心優しい人物だった。病院長(ジョン。ギールグッド)は当初、彼を病院に置くことに反対したが、やがては評議会を説得して、彼を保護する。高名な女優ケンドール夫人(アン・バンクロフト)や王室まで、ジョンを訪問するようになる。だが、実は自分もジョンを見世物にしているのではないかと、トリーブスは悩むのだった。
 ある日、ジョンはバイツによって病院から連れ去られる。サーカスの座員たちに救われ、ジョンは自力でロンドンまで戻って来た。ケンドール夫人の招待で、ジョンは初めて劇場を訪ねる。だが、すでに彼の死期は迫っていた。
 実話に基づくそうです。
 『レイジュイング・ブル』同様に、白黒が効果的。
 ホプキンスも巧いが、ギールグッドの威厳のあること!
 ジョンは詩篇23を朗誦します。「たとえ死の谷を歩もうとも私は恐れない」。9.11の直後にブッシュ大統領も引用しました。
 ジョンを救う小人の台詞 「俺たちには運が必要だ」
 雷蔵の『薄桜記』や『手討』、それに『ひとり狼』は時代劇の傑作だと思います。
 さて、私は今日は高松に来ています。高松に向かう車中でマーティン・スコセッシ監督『レイジング・ブル』[1980年、アメリカ)を鑑賞。
 第二次世界大戦中から戦後にかけて活躍したボクサー、ジェイク・ラモッタ(ロバート・デニーロ)の物語。
 ラモッタはブロンクス出身のイタリア系で、「怒れる牡牛」(レイジング・ブル)と呼ばれた。ジェイクは弟のジョーイ(ジョー・ペシ)らに支えられて、イタリア系マフイアの圧力をかわしながら、勝利の道を邁進する。彼は美しいビッキー(キャシー・モリアーティ)に一目惚れし結婚するが、彼女への嫉妬でしばしば理性を失う。
 ミドル級チャンピオンの挑戦者になるには、どうしてもマフィアに妥協しなければならなかった。ジェイクは八百長試合で負ける。その甲斐あってチャンピオンを打倒し、ついにチャンピオン・ベルトを獲得する。
 だが、ジェイクは自分をコントロールできず、妻や弟と決別することに。孤独なチャンピオンは宿敵シュガーに敗れる。
 引退したジェイクはクラブを経営するが、そこで未成年の売春を斡旋したとして、逮捕されてしまう。一度は戻って来た妻も再び去っていった。さらに落ちぶれたジェイクは、小さなクラブのトークショーで孤独に働き続けるのだった。
 白黒の映像が1940年代、50年代の雰囲気を醸し出しています。
 何といっても、デニーロの力演が凄い。引き締まったボクサーの体と自堕落な中年男の体を、見事に演じ分けています。
 「リングより舞台のほうがいい。でも俺にはオリビエのような演技力がない」と、「レイジング・ブル」は言います。
 頂点に立った者が自分をコントロールすることは、至難の業ですね。
 ビッキーを演じたモリアーティも、男を惑わす薄痴美的な魅力を漂わせていました。
 午後、京都シネマに。
 話題のルイ・シホヨス監督『ザ・コーヴ』(2009年)。
 リック・オリバーは、かつてテレビドラマ「わんぱくフリッパー」で有名だった。今では、反イルカ捕獲の活動家である。彼とその仲間たちが、和歌山県太地町に乗り込み、イルカ屠殺の現場である入江(これがコーヴ)に隠しカメラや録音機を仕掛け、殺戮の現状を世に問うたドキュメンタリーである。イルカの肉は食用にも供せられているが、それが鯨肉と虚偽記載されている上、高濃度の水銀まで含んでいるという。国際捕鯨委員会(IWC)でのやりとりも織り交ぜられている。
 イルカやIWCについて、学ぶところも少なくありませんでした。
 また、入江がイルカの血の海になる様子は、確かにショッキングです。
 しかし、日本側の反論を十分とりいれていませんし、イルカ漁とその食肉を「文化」とする議論を批判しながら、日本文化をステレオタイプ化しており、自己矛盾をきたしています。
 鶏や牛でも、大量の屠殺シーンを見せられれば、ショックではありましょう。
 悪意を働かせれば、昔「フリッパー」で名をあげた人物が、イルカをダシに使って、もう一度売名行為をしている、といえるかもしれません。
 それにしても、この種の議論には、英語による明確な反論能力が必要です。
 撮影拒否や上映拒否では対抗できません。

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