Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

外国映画 2010年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

 自宅でビデオ。
 ビリー・ワイルダー監督『深夜の告白』(アメリカ、1944年)。原題は"Double Indemnity"つまり倍額保証。
 真夜中の保険会社で、負傷した男が録音テープに告白を始めた。ネフ(フレッド・マクマレー)は辣腕の保険のセールスマンだ。ある時、彼は夫に不満ももつ美しいフィリス(バーバラ・スタンウィック)に出会う。二人は夫に障害保険をかけて、鉄道事故にみせかけ殺害した。そうすれば、保険金が倍額になるのだ。
 だが、ネフの同僚でベテランの保険調査員のキーズ(エドワード・G・ロビンソン)が事件の真相に気づき始めた。口封じのために、ネフはフィリスをも殺害するが、その時に彼女に撃たれて負傷したのだった。
 ネフとキーズは男の友情で結ばれている。寵臣のマクマレーと小柄なロビンソンが対照的。
 キーズが言う。「共謀して人を殺せば、2倍安心できると思ったら大間違いだ。10倍危険になる。共犯は特急列車と同じで途中で降りられない。終点は墓場だ」。
 職人ワイルダーらしく、テンポのいいフィルム・ノワールでした。

 東京から戻って、駅前シネマに急行。
 『明日へのチケット』(2005年、イタリア、イギリス)。
 インスブルックからローマに向かう列車を舞台に、三人の監督が一話づつ担当したオムニバス作品。
 最初のチケット。エルマンノ・オルミ監督。イタリア人の老大学教授(カルロ・デッレ・ピアーネ)は、出張先のインスブルックから孫との約束のためにローマに急ぐが、空港が閉鎖されたため、やむなく鉄路で。列車の手配をしてくれた仕事先の秘書との恋愛を夢想する。
 第二のチケット。アッバス・キアロスタミ監督。フィリッポ青年(フィリポ・トロジャーノ)は兵役奉仕のため、わがままな将軍の未亡人の旅のお供をしいる。だが、同郷の少女と出会って昔を思い出し、ついには未亡人を一人残して姿を消すのだった。
 第三のチケット。ケン・ローチ監督。スコットランドからサッカー観戦に向かう三人の若者。そのうちの一人(マーティン・コムストン)が乗車券をなくす。実は、同乗のアルバニア難民の少年に盗まれていたのだ。だが、難民一家の窮状を知って、若者たちは乗車券を譲ることにする。
 アルバニアの難民一家は第一話にも登場します。彼らは出稼ぎの父の待つローマに向かっています。彼らのチケットこそ、明日へのチケットでしょう。
 それぞれ味わいのある仕上がりになっていますし、メッセージの押し付けがないのもいい。
 人生は旅だと再認識します。
 ショパンのピアノ曲が印象的。

 東京に向かう新幹線でDVDを一本。
 ジェームズ・ホエール監督『フランケンシュタイン』(1931年、アメリカ)。
 メアリー・シェリー原作のホラー映画の古典。
 舞台劇の趣きを称えています。
 若いフランケンシュタイン博士(コリン・クライブ)が様々な死体を組み合わせて、人造人間(ボリス・カーロフ)を作る。だが、凶悪犯罪者の頭脳を用いたことから、怪物は次々に人々を襲う。
 よく知られた物語ですが、イメージと異なるのは、フランケンシュタイン博士が若く、美しい婚約相手がいて、怪物が退治されたあとは、二人は結婚してハッピーエンドになることです。
 怪物がかわいい少女と戯れながら、この子どもを殺してしまうシーンは、『ミツバチのささやき』に出てきます。
 怪物は風車小屋に逃げ込み、そこで焼き殺されますが(このシーンは結構恐い)、風車小屋というのはヒッチコックはじめヨーロッパを舞台にした映画では重要な設定のようです。

 出張から戻って、その足で駅前シネマに。
 ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』(スペイン、1973年)。
 スペイン内戦直後のカスティーリア地方。小さな町に移動映画がやって来る『フランケンシュタイン』だ。小学生のイザベルとアナ(アナ・トレント)も公民館に駆けつけた。姉はイタズラ好きで、妹は内省的で夢見がちだ。父(フェルデナンド・テリュア)は裕福な蜂蜜業者だ。
 フランケンシュタインは精霊で野原の外れの廃屋に隠れている、と姉は妹に告げる。それ以来、アナはしばしば廃屋を訪ねる。ある真夜中に廃屋を訪ねたアナは、そこで逃亡中の兵士に出会う。映画の中のフランケンシュタインと少女のように、二人は仲良くなる。
 だが、兵士は警察に殺されてしまう。ショックのあまり、アナは家出して夢の中でフランケンシュタインに出会うのだった。
 アナの純朴な瞳と内戦後の大人たちの倦怠が対照的。
 人間社会がミツバチの世界と重なり合う。

 富士吉田への出張の途次にDVDを一本。
 スパイク・リー監督・脚本・主演『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年、アメリカ)。
 連日猛暑のブルックリンの黒人街。ムーキー(リー)は無責任な若者で、イタリア系のサル(ダニ・アイエロ)の経営するピザ屋で出前の仕事をしている。ここに様々な黒人客がやって来る。サルの長男は黒人への人種差別剥き出しだ。だが、サルは「連中は俺のピザで育った。俺はそれに誇りを持っている」と語る。
 長く暑かった一日の終わり、いよいよ店じまいという時に、3人の黒人客が闖入して文句を並べたため、サルと大喧嘩になる。警察が出動し、黒人の一人が殺された。これを機に暴動が起こり、サルに店は放火されてしまうのだった。しかも、店を最初に襲ったのはムーキーだった。
 皆から「市長」と呼ばれている黒人の老人が「いつでも正しいことをしろ」と若者に説教する。これが題名の由来。
 黒人と白人の対立以外にも、韓国人やプエルトリコも登場します。
 多様なアメリカ社会の差別と偏見の衝突を、ダイナミックに描いた作品です。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事