Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2010年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

4月26日 邦画36

 自宅でビデオ。川島雄三監督の処女作『還ってきた男』(1944年、松竹)。原作は織田作之助で、大阪が舞台。
 戦地から還ってきた軍医(佐野周二)は、1週間先に見合いの予定だ。見合いは一生に一度、会えば必ず結婚すると決めている。そんな彼がある女性(三浦光子)と偶然何度も出会い、彼女のほうは軍医に淡い恋心を抱く。軍医が気をかけているのは、戦死した友人の妹で、彼女は国民学校の先生をしている。その学校に訪ねていった軍医は、運動会で健脚を披露する。そこで出会った先輩教師(田中絹代)こそが、軍医の見合いの相手だった。二人はすっかり意気投合するのだった。
 戦時下とは思えない長閑な作品。1時間強の小品です。大阪や奈良の景色が美しい。
 登場人物の一人が「人間は体を責めて責めて働かなければ嘘だ」というが、これが同じ織田原作『わが町』で主人公が繰り返す科白でもある。
 また、軍医の父は高校の教師で、これを演じるのが笠智衆。笠と佐野の親子役は名作『父ありき』と同じです。
 久々に京都文化博物館に。どうしても邦画が観たかった!
 堀川弘通監督『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(東宝、1960年)。原作は松本清張、脚本は橋本忍。
 石野(小林桂樹)は準大手企業の課長で42歳、妻(中北千枝子)と二人の子供と平凡ながら幸せに暮らしている。しかし、石野には愛人がいた。会社のOL千恵子(原知佐子)だ。
 ある夜、彼女のアパートから帰る途次に、石野は自宅の隣人・杉山(織田政雄)とすれ違う。数日後、杉山が殺人事件の容疑者として逮捕された。杉山は石野とすれ違ったとアリバイを主張する。だが、刑事(西村晃)の事情聴取に対して、不倫の発覚を恐れる石野は否認した。杉山は有罪になる。
 今度は、愛人との関係を知った不良大学生(江原達治)に、石野が脅迫される。学生はヤクザ(小池朝雄)から博打の借金をしており、そのために石野に金をせびったのだ。石野が金を渡しに下宿に到着すると、学生はヤクザとの諍いで殺されていた。今度は石野が無実の被疑者にされてしまう。
 結局、犯人のヤクザが逮捕され、石野は釈放された。石野が証言を翻したことから杉山も無罪に。
 だが、石野は仕事も家庭も愛人も、すべて失ってしまったのだ。
 さすが、清張=堀川=橋本の組み合わせだけあって、実に面白く出来上がっています。
 因果応報、サラリーマンの悲哀。
 石野の妻を演じた中北が、いかにも平凡な家庭の主婦らしく、うまい。織田も哀れをそそる無実の容疑者を、巧みに演じています。他にも、平田昭彦や中村伸郎、小玉(児玉)清、菅井きんら。
 石野の同僚(小栗一也)が彼に衝撃的なことを言います。「われわれもそろそろ更年期だ。気をつけんとな」。石野はまだ42歳ですよ!ショックでした。
 因みに、石野の月給は7万円強(手取りは5万強)、ボーナスが年40万とのことでした。彼は株をやって愛人を囲っていたのです。脅迫された金額は3万円。だいたい10倍ぐらいすれば、今の金額になるでしょうね。
 さらに一言。作中、石野が映画館で観ている二本立ては、ジェラール・フィリップの『夜ごとの美女』とアラン・ドロンの『お嬢さん、お手柔らかに』でした。

4月15日 邦画35

 パリでの会議を終え、ルクセンブルクへ。夜、当地のホテルで持参したDVDを鑑賞。
 成瀬巳喜男監督・松山善三脚本『乱れる』(東宝、1964年)。
 森田酒店は清水の商店街にある。結婚半年で夫に戦死された嫁の礼子(高峰秀子)が、戦後に店を大きくしてきた。姑(三益愛子)も、それには感謝している。しかし、近くにスーパーマーケットができて、店の経営は苦しくなっていた。
 礼子の義弟・幸司(加山雄三)は大学を卒業後に就職した会社を辞め、女遊びやギャンブルに興じている。家族の中では、店をスーパーにして、幸司を社長にという話が持ち上がる。しかし、そうなると礼子が邪魔になってしまう。実は、幸司は昔から礼子を愛していたのだ。口論の末、彼は義姉に胸の内を明かす。礼子は店を出て新庄の実家に帰る決心をする。
 しかし、汽車の中で幸司が待っていた。二人は途中で温泉宿に逗留することに。礼子も幸司を愛している。しかし、結ばれるわけにはいかない。礼子の拒絶に幸司は宿を出ていく。翌朝、酒に酔って転落した幸司の遺体が発見されるのだった。
 高峰に「こうじさん」と呼ばれると、こちらがどきっとします。
 加山は実生活でも高峰のことを「お姉ちゃん」と呼んでいたそうです。
 温かい家族愛の物語が、一転して悲恋と悲劇に。まさに「乱れる」です。長くスランプにあった成瀬の、晩年の傑作と言われる所以ですね。
 『流れる』でも、加山と司葉子が温泉宿に逗留しながら、結ばれずに終わるのでした。
 また、どこか鄙びた温泉に行きたくなります。
 他に、草笛光子と白川由美が厭味な小姑役、浜美枝が幸司の遊び相手役。
 冒頭に登場するスーパーの店員役の藤木悠は、同志社の大先輩(たしか英文?)。数年前に亡くなりました。
 パリのホテルで日本から持参したDVD.
 三隅研二監督『子連れ狼 子貸し腕貸しつかまつる』(東宝、1972年)。原作・脚本は小池一雄。
 勝プロによる若山富三郎主演シリーズの第一作。
 公儀介錯人・拝一刀(若山)は、柳生烈堂(伊藤雄之助)の陰謀により、妻を殺され職を奪われた。拝は柳生備前守(渡辺文雄)と柳生蔵人(露口茂)を一刀のもとに倒し、一子・大五郎を連れて浪々の旅に出る。「子貸し腕貸しつかまつる」−ー刺客の子連れ狼である。
 ある時、拝に刺客の依頼が舞い込む。小山田藩江戸家老(内藤武敏)によるものだ。藩の国家老(内田朝雄)が幼君を暗殺して御家の乗っ取りを画策していた。国家老一味は郷森という湯治場に潜んで、参勤交代の幼君を狙う段取りだった。湯治場では国家老の手先のならず者たちが旅人や村人を人質にしていた。拝はそこに乗り込み、国家老一味とならず者たちを一掃するのだった。
 若山の殺陣は大したものです。
 劇画のように、血飛沫の中、腕や首が飛ぶ。
 伊藤はじめ個性派が脇を固めています。他に、加藤嘉など。
 しかし、パリまで来て「子連れ狼」とは、我ながらすごい選択です。
 その後、自宅でビデオ。
 川島雄三監督『オオ!!市民諸君』(松竹、1948年)。
 成金の会社社長は骨董集めが趣味。ある時、沼津焼だと思って社員の駿六(堺駿二)に購入させたのが、なんとナマズ島。だが、ここをレジャーランドにして一儲けを計画する。
 駿六や社長令嬢たちがナマズ島を探訪してみると、無人島のはずが、金八(清水金一)やアンコ嬢ら5人の漂流者が市民として住み着いていた。彼らは立ち退きを拒否、市民代表として金八が東京に向かい、社長と直談判することに。所有権対居住権の戦いである。しかし、金八は都会の「文化」にすぐに洗脳されてしまう。
 社長一行は金八を連れてナマズ島に上陸し、市民らに改めて立ち退きを迫るが、そこに地震でナマズ島が沈没するとの予報が流れる。一同はパニックに陥る。だが、これは誤報だった。こうして、東京組と島民たちは和解するのだった。
 主役の清水は「シミケン」の愛称で知られた、浅草のコメディアンだったそうです。
 まったくくだらない作品ですが、一応は文明批判の体裁をとっています。和製ターザンもどきでもあります。
 こんな作品でも、音楽は木下忠司(木下恵介監督の弟)、そして、川島の監督第一作です。
 そういえば、巨匠・木下監督の第一作『花咲く港』も何ということはないコメディでした(主演は上原謙)。

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事