Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2010年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
 京都に戻って祇園会館で、木村大作監督『劒岳――点の記』(2009年)。原作は新田次郎。
 明治39年、陸軍陸地測量部(現在の国土地院)は、測量士の柴崎(浅野忠信)に越中劒岳の測量を命じる。前人未到の地である。柴崎は先輩(役所広司)の助言をえて、地元のベテラン長次郎(香川照之)を案内人に、入念な下見を行なう。実は、民間の日本山岳会の小島(仲村トオル)らも劒岳踏破を目指しており、新聞が競争と書き立てる中で、陸軍の上層部は柴崎に一番乗りを厳命していた。
 翌40年、柴崎らは若いノブ(松田龍平)らを仲間に加え、ついに劒岳の山頂に達した。しかし、実は遠い昔に修験者が踏破していたことが明らかになる。陸軍は冷淡になるが、柴崎らは「何をしたかではなく、何のためにしたかが大切だ」と確信するのだった。実際、彼らの努力で日本地図は完成するのだった。
 他に、行者に夏八木勲、柴崎の妻に宮崎あおいら。
 同じ新田原作の『八甲田山』を思い出すところもありますが、陸地測量部と日本山岳会との競争がそれほどシリアスではありません。チーム内の対立や摩擦も、やや皮相的。山岳映画でありながら、山場のない作品になっています。
 ただし、これだけの撮影をおこなったことには感服します。
 香川も渋い。
 因みに、柴崎らが劒岳の山頂に到達したのは7月13日、私の誕生日です。
 最近、邦画欠乏症ですので、帰宅後DVDを。
 野村芳太郎監督・脚本『拝啓総理大臣様』(松竹、1964年)。『拝啓』シリーズの3作目にして最終作。撮影は川又昂。
 東京ムーラン(長門裕之)とルージュ(横山道代)は夫婦漫才で、「拝啓総理大臣様」という時局ネタがテレビでヒットしている。そこに大阪から、ムーランの昔の相棒で売れない漫才師の角丸(渥美清)がやって来る。角丸はムーランに仕事の世話を頼むが、ムーランは浮気騒動でそれどころではない。
 やがて、角丸は偶然出会った日本人と黒人との混血娘・あや子(坪井文子)と、土座まわりの漫才を始める。そこに、ムーランから、東京でのテレビの仕事に誘われ、角丸はあや子をおいて東京に戻る。だが、二人の漫才は大失敗。ムーランは角丸を捨ててルージュとのコンビに戻る。角丸もあや子と再出発するのだった。
 他に、山本圭、宮城まり子や加藤嘉ら。
 さすがに、渥美!関西弁を巧みに操り、泥臭い漫才芸を披露する。テレビと寄席、東京と大阪の対比が鮮やか。
 私が生まれた年の作品ですが、まだ混血児が白眼視される時代であったようです。自分を「黒んぼ」と蔑む日本人に、あや子は「黄色んぼ」とやり返します。
 当時の首相は池田勇人です。「拝啓、総理大臣様。この人たちがあなたを選んだのです」と、ラストのナレーションが語ります。それから40年近くたって「拝啓総理大臣様」は現実になりました。小泉首相がメルマガを始めたのです。
 

3月11日 邦画26

 今夜は自宅で卒業する学生諸君とDVD。
 加藤泰監督・脚本『瞼の母』(東映、1962年)。原作はもちろん、長谷川伸。
 番場の忠太郎(中村錦之助)は母を捜して旅を続ける渡世人で、弟分の半次郎(松方弘樹)を助けて飯岡一家と戦ったため、追われる身になってしまう。
 ようやく江戸で母のおはま(木暮実千代)と再会するが、良家に嫁ぐ娘(大川恵子)の世間体もあり、母は忠太郎を冷たく拒絶する。瞼に浮かぶ母に追い返された忠太郎を、飯岡一家が狙っていた。おはまたちは忠太郎を捜すが、忠太郎は母や妹のために、そのまま姿を消すのだった。
 他に、半次郎の母に夏川静江(戦前の大女優)ら。浪花千栄子や沢村貞子らも好演。
 カラオケの「瞼の母」は私の持ち歌ですし、物語はなんとなく知ってはいたのですが、今回ようやく全体的なストーリーがわかりました。
因みに、忠太郎の出身地・番場は江州、群馬県です。
 作中、50歳の女性が「お婆さん」と呼ばれているのには、時代を感じます。
 この伝だと、私もそろそろ「お爺さん」か。

 今日はソウルから那覇へ。市内の映画館で荒戸源次郎監督『人間失格』(角川映画、2010年)。太宰治生誕100年記念作品です。
 青森の富豪の息子・大庭葉蔵(生田斗真)は、画家志望の繊細な美青年だ。そんな彼が偶然、堀木(伊勢谷友介)という男に出逢う。こちらも画家志望だが、大庭にたかって飲み歩く。やがて、大庭は酒に溺れていく。だが、父が東京の邸宅を売り払い田舎に引き籠ったため、彼は酒代に事欠くようになる。
 そんな折、大庭はカフェの年増の女給(寺島しのぶ)と出会い、鎌倉の海岸で心中を図るが、彼だけが生き残る。次いで、子持ちの雑誌編集者と同棲するが、これも続かない。ついに煙草屋の看板娘・良子(石原さとみ)と結婚するが、彼女は別の男と関係をもってしまう。大庭は妻と離婚し、酒をやめるために、薬局の未亡人(室井滋)にもらったモルヒネ中毒になってしまった。
 入院治療の末、大庭は青森に連れ戻される。悪友・堀木とも決別である。青森では鉄(三田佳子)という老女が、大庭を実の息子のように世話するのだった。
 他に、大庭家の元執事・平目に石橋蓮司、中原中也に森田剛など。
 大庭少年は「生まれて、すみません」と言う。
 しかし、彼が何に自暴自棄になり、なぜ死を渇望しているのかは、定かではない。
 耽美的な作品にそんなことを問うのは、野暮なのでしょうか。
 旧作『赤目』といい、この監督は新人の美青年を発掘して主役に起用するのに長けている。
 それに比して、三田佳子はさすがに老けました。実子も何度か麻薬使用で逮捕されているので、このキャスティングは皮肉ですね。
 寺島、いいですね。『赤目』に続いて、本作では本当に心中してしまいます。
 大楠道代演じるバーのマダムも、謎めいていていい。
 作中の中原によると、戦争の色は茶色。糞と同じ色だそうだ。

3月6日 邦画24

 ソウルは仁川空港近くのホテルで、DVDを一本。
 川島雄三監督『あした来る人』(日活、1955年)。原作は井上靖。助監督が今村昌平、脚本は菊島隆三、撮影は高村倉太郎、音楽は黛敏郎。これでおもしろくないわけがないという布陣。
 関西の実業家・梶大助(山村聡)は、関西と東京を往復している。東京で嫁いだ娘の八千代(月丘夢路)は、登山に夢中の夫・克平(三橋達也)と不仲になっている。八千代は偶然知り合った魚類学者の曽根(三国廉太郎)に惹かれていく。曽根はメジカの研究に夢中だ。
 克平はヒマラヤ登山を目指している。ある日、これも偶然出会った杏子(新玉三千代)という洋裁家と惹かれあい、不倫の関係になる。だが、彼女のパトロンは義父の大助だった(克平はそれを知らない)。
 やがて、克平と八千代は離婚することになるが、克平と杏子、八千代と曽根はいずれも結ばれることなく終わる。克平はヒマラヤに旅立ち、曽根は九州に引き籠るのだった。
 純粋だが、どこか未熟な若い四人が、成熟して「あした来る人」になるだろう、と「昨日の人」大助は願うのだった。
 実際、若い四人は何らかの形で大助に依存している。
 山村はもちろん好演だが、関西弁のイントネーションが少し変。
 他に、小沢昭一や金子信雄、小沢栄ら。
 川島作品にしては落ち着いた雰囲気の、文芸作品に仕上がっています。
 因みに、月丘は井上梅次監督夫人です。井上監督は最近亡くなりました。


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事