Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2010年

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 六本木ヒルズの東宝シネマズで杉田成道監督『最後の忠臣蔵』(2010年、ワーナー・ブラザーズ他)。
 赤穂47士の生き残り・寺坂吉右衛門(佐藤浩市)は、大石内蔵助(片岡仁左衛門)から生き残って浪士の遺族を助けるよう命じられ、16年の歳月が過ぎた。
 京の町中で、寺坂は偶然、瀬尾孫左衛門(役所広司)を見かける。瀬尾は大石家の用人でありながら、討ち入り前夜に逐電した人物だ。実は、瀬尾は大石の隠し子・可音(桜庭ななみ)を養育していたのだ。
 豪商・茶屋四郎次郎の長男が可音を見染めて求婚するが、彼女は育ての親の瀬尾に淡い恋心を抱いていた。
 他に、安田成美や伊武雅刀ら。
 人形浄瑠璃が実に巧みに用いらています。
 美術は西岡善信。
 瀬尾の16年の苦労が明確ではないことや、敵役がいないことなど、物足りない点もありますが、全体として出色の時代劇です。役所の演技は実に見事。
 実に人間的な人々による非人間的な(忠義や義理、体面など)ドラマです。
 瀬尾は誰と心中するつもりなのか?もちろん、大石でしょう。
 瀬尾が寺坂に斬りつけるのは、やや無理がありますが、そうしなければ斬り合いのない時代劇になってしまいますからね。
 瀬尾の死後、寺坂はどうすればいいのでしょうか?
 この日の昼に京都の顔見世歌舞伎で仁左衛門さんの楽屋をお訪ねしたばかりだったので、とりわけ印象的でした。

 東京に向かう新幹線でDVD。
 東陽一監督『サード』(1978年)。脚本は寺山修司。
 関東朝日少年院。「サード」と呼ばれる少年(永島敏行)は、高校野球で三塁を守っていた。母(島倉千代子)と二人きりの単調な家庭、学校、町に退屈して、彼は女子高生たち(森下愛子)と売春を組織し、金を貯めようとする。しかし、ヤクザの客(根岸徹)とのトラブルで、この客を殺してしまう。
 少年院で、「サード」はエネルギーをもてあましながらいらつき、人生の意味を自問する。他にも、短歌をよく読む少年や、紙飛行機の作成に夢中になる少年など、少年院の青春群像が描かれている。
 他に、内藤武敏など。
 オナニーに関する少年の短歌。「ちり紙は 悲しからずや 若き日の 夢を包んで 捨てられるのみ」
 これも寺山の作でしょうか?
 グラウンドを走り続ける「サード」の姿に、人生は持久走かというメッセージが重なる。
 永島も森下も若いこと。

 みなさん、色々とコメントありがとうございます。
 「江戸のもの」さんは、このブログをわざわざ最初から読み通してくださったのですか?すごい!

 アテネのホテルで持参したDVDを一本。
 成瀬巳喜男監督『女の中にいる他人』(東宝、1966年)。原作はエドワード・アタイヤの『細い線』。
 出版社に勤務する田代(小林桂樹)は、親友・杉本(三橋達也)の妻と関係をもった上、殺害してしまう。本人いわく、重大な「細い線」を超えてしまったのだ。
 暖かい家庭で過ごしながら良心の呵責に苦しむ田代は、ついに妻の雅子(新玉三千代)にすべてを告白する。妻は秘密を共有してくれるが、子供たちのためにこれを忘れてしまうよう求める。田代はさらに悩み、杉本にも告白する。杉本も忘れろと言う。
 だが、田代は自首を決意する。人生の「正面から堂々と出ていく」ためだ。しかし、妻の雅子は夫を「裏口から逃す」ために、夫のウィスキーに毒をもるのだった。
 今度は雅子が良心の呵責に耐えながら、子供たちのために生きなければならなかった。
 犯罪そのものより、心理劇の性格が強い。
 成瀬らしい暖かい日常が随所に挿入され、その分、田代の苦悩がきわだっている。
 他に、草笛光子、加東大介、黒沢年男、そして長岡輝子。長岡は去る10月に102歳で大往生しました。

 三条ムーヴィックスで、鈴木卓爾監督『ゲゲゲの女房』(2010年)。
 昭和30年代。布枝(吹石一恵)は島根の酒屋の娘で、婚期が遅れている。ようやく見合いで、東京に住む同郷で10歳年上の水木茂(宮藤官九郎)と結婚することに。茂は戦争で左上でなくし、漫画を描いて生計を立てている。
 嫁いでみると、茂はたいへんな貧乏生活で、布枝は質屋に往復する苦労続きだ。茂の妖怪漫画も一向に売れない。貸し本業界自体が不況だ。
 そんな中で、布枝は妊娠し一児を出産する。それでも茂は「妖怪が売れないなら、妖怪と心中する。世間は見えるものしか見ないんだ」と、自分の作風を変えない。だがついに、茂のもとに大手出版社から週刊誌への寄稿依頼が届くのだった。
 水木しげるの物語らしく、目に見えない妖怪が作中に多数登場する。
 貧しさの中で明るさを失わない夫婦愛の物語で、吹石、それに官藤が実にいい味を出している。
 ストーリーは平板だが、昭和30年代前半を記憶する人には、懐かしくてたまらないだろう。
 質屋と水木家を往復する、ネジ巻式の柱時計――祖父の部屋にも同じようなものがありました。確かに、懐かしいですね。時間の流れまでがゆっくりと感じます。
 「悪魔くん」も水木原作だったとは、知りませんでした。

 京都シネマで、松井久子製作・監督・脚本『レオニー』(2010年)。
 天才彫刻家イサム・ノグチの母の物語。
 レオニー(エミリー・モーティマー)は進歩的で独立心に富む女性だ。そんな彼女が日本人の詩人野口米次郎(中村獅童)の編集を手伝うことに。やがて、二人は愛し合う。
 だが、日露戦争の勃発で、米次郎はレオニーを残して帰国する。その時、レオニーは妊娠していた。無事に男の子を出産した彼女は、子供を連れて日本に渡る。しかし、米次郎はレオニーを妾扱いするのだった。やがて、レオニーは父親のわからない子供を妊娠した。
 日本が第一次世界大戦に参戦したことから、レオニーは息子のイサムを一人でアメリカに帰す。イサムハ苦労して成長し、母と妹とアメリカで再開を果たす。レオニーは息子の芸術家としての才能を確信し、イサムに芸術への道を強く勧めるのだった。
 他に竹下景子や原田美枝子、中村雅俊、柏原崇ら。
 獅童の演技は過剰と平板の間を往復するが、モーテマーは大したもの。
 自立を願いながら夫と息子に人生を捧げた女性の物語です。

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