Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2010年

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11月3日 邦画100

 自宅でDVD。
 高橋伴明監督『丘を越えて』(2008年)。原作は猪瀬直樹の『こころの王国』で、猪瀬も顔を出している。
 東京の下町で育った葉子(池脇千鶴)は女学校を卒業して、出版社の文芸春秋に就職する。社長の菊池寛(西田敏行)は著名な作家であり、たいへんな人情家でもある。葉子は菊地を尊敬するが、菊地は葉子に恋してしまう。だが、編集部に勤務する朝鮮人の馬海松(西島秀俊)にも、葉子は惹かれていくのだった。
 ストーリーは単純だが、昭和初期の情緒に溢れた作品です。
 葉子の母を演じる余貴美子が、いい味を出しています。
 西田の菊地もそっくり。
 菊地が夏目漱石に微妙な対抗心と嫉妬を感じていることも、描かれています。
 また、菊地はイギリスの植民地支配に抵抗するアイルランドの文学を応援しており、それ故、日本の植民地支配に苦しむ朝鮮の若者に目をかけた、とされています。
 藤山一郎歌う『丘を越えて』は懐かしく、朗らかな歌謡曲です。

10月31日 邦画99

 今夜は自宅でビデオ。
 篠田正浩監督『写楽』(1995年)。
 歌舞伎の稲荷町(下っ端の役者のこと)が舞台で足を怪我して、芝居をやめなくてはならなくなった。しかし、トンボと呼ばれるこの若者(真田広之)には、画才があった。
 他方、松平定信(阪東八十助)の改革で風紀が締め付けられ上で、人気画家の喜多川歌麿(佐野史郎)に裏切られて、版元の蔦屋重三郎(フランキー堺)は追い詰められていた。蔦屋はトンボの画才に目をつけ、彼を写楽と名づけて毒のある顔絵を売り出す。
 しかし、ようやく写楽の人気が出始めた頃、蔦屋は病に倒れ、写楽は歌麿に煽られて、吉原の花魁(葉月里緒菜)と足抜けしようとし、失敗してしまう。こうして、謎の写楽は歴史から姿を消すのだった。
 フランキー堺は写楽の研究者で、彼の企画総指揮による作品です。
 作中、歌舞伎が何度も登場します。市川団十郎を中村富十郎が演じています。さすが、人間国宝の貫禄です。
 他に、岩下志麻ら。加藤治子が廓の女将を演じていて、凄みを出しています。
 真田の動きも見事です。
 江戸の粋と政治的重圧のコントラストが、巧みに描かれています。
 作中、写楽は「しゃらくさい」に由来するとされています。
 「世の中は地獄の上の花見かな」と、写楽は言います。これは小林一茶の俳句のようですね。

10月26日 邦画98

 自宅でDVD。
 マキノ雅弘監督『日本侠客伝』(1964年、東映)。脚本は笠原和夫他。
 明治時代の深川。運送業の木場政の老親分(伊井友三郎)は病にふせっており、そこに新興の沖山兄弟(安部徹と天津敏)が縄張りを荒らそうとする。
 木場政の親分が亡くなり、小頭の長吉(高倉健)が除隊して戻ってくる。長吉らは忍耐を重ねるが、沖山たちの妨害はエスカレートし、木場政の子分(長門裕之)が殺され、もう一人(田村高広)も重傷を負う。木場政の客分(中村錦之助)が妻(三田佳子)と娘を残して殴りこみに行くが、沖山一家に惨殺される。ついに、長吉は沖山兄弟に戦いを挑むのだった。
 他に、津川雅彦、松方弘樹、富司純子、南田洋子ら。
 人気シリーズの第一作で、深川の情緒が伝わってきます。
 老親分を演じた伊井が、とにかく渋い。
 「男の喧嘩は一生に一度あるかないかだ」――親分のこの言葉を、長吉は最後に実行するのだった。

10月24日 邦画97

 今夜は自宅でビデオ。
 澤井信一郎監督『わが愛の譜 滝廉太郎物語』(1993年、東映)。
 東京音楽学校で学ぶ滝廉太郎(風間トオル)はピアニストを志す。親友の鈴木(天宮良)や才媛の中野ユキ(鷲尾いさ子)たちに支えられ励まされえるが、滝は生来の病弱で、父(加藤剛)の郷里・大分県竹田に戻ることになった。そこでは芙美(藤谷美紀)という女中が、廉太郎に恋心を抱きながら、甲斐甲斐しく介抱してくれた。
 やがて、廉太郎は復学する。だが、鈴木は家庭の事情で退学を余儀なくされ、芙美は東北に妾奉公に出されてしまう。そして、ユキはドイツ留学に。一年遅れて、彼もライプツィッヒへ留学することに。廉太郎とユキはドイツ音楽の水準に圧倒されるが、彼は挫けそうになる彼女を支える。
 しかし、過酷な勉学のため、廉太郎は結核を再発させ帰国することに。再び大分に戻った彼は、ユキに未完成のピアノ曲を残して、23歳10ヶ月で他界する。
 他に、檀ふみや藤村志保ら。
 映画としては格段の魅力はありませんが、「四季」や「荒城の月」が美しく演奏され、ベートーベンやショパンを堪能できます。
 「自己憐憫と苦悩はちがう」と檀ふみ演じる幸田延(幸田露伴の妹で、音楽での第一回の国費留学生)が言う。
 外国の軍楽隊に刺激されて、軍部が音楽の留学を奨励しはじめたという話が出てきます。音楽も国策だったのです。
 風間が繊細な滝廉太郎を一生懸命演じています。
 天宮良って、今どうしているのでしょうか?

 富山の映画館で佐藤純彌監督『桜田門外ノ変』(2010年)を観賞。
 1860年。尊皇攘夷を唱える徳川斉昭(北大路欣也)の水戸藩では、関(大沢たかお)らが脱藩して、専横を強める大老・井伊直弼(伊武雅刀)を桜田門外で暗殺した。
 しかし、約束と異なり、薩摩藩は京都で挙兵しない。幕府だけではなく、水戸藩も暗殺者たちを捕らえようとする。仲間が一人二人と死に、あるいは捕らわれる。最後の一人となった関も、ついには捕まり死罪となるのだった。
 われわれのあまりよく知らない事件後の動きを丹念に追っています。原作は吉村昭で、彼らしい着想です。
 しかし、映画としては、冒頭でクライマックスたる桜田門外の変が起こってしまいますから、あとは冗長です。しかも、時間が前後して混乱します。
 『男たちのYAMATO』でもそうですが、佐藤監督は滅び行く男たちを描こうとしています。しかし、開国を唱えた井伊はまちがっていたのでしょうか。専横という手法の問題と開国という方向性の問題は別です。「桜田烈士」などと呼ばれたところで、彼らの暗殺が場当たり的なものであったことは明らかです。
 しかし、この事件に薩摩がここまで深く関与しているとは知りませんでした。


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