Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2010年

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 京都シネマで荻上直子監督・脚本『toilet』(2010年、日本、カナダ)。『かもめ食堂』の監督さんです。
 ママが亡くなり、三人の子供たちが残された。
 長男モーリー(デイヴィド・レンドル)は自閉症、次男のレイ(アレックス・ハウス)はフィギュア・オタク、妹のリサ(タチアナ・マズラニー)は勝気で毒舌。猫の名前はセンセーだ。それにママが日本から呼び寄せたバーチャン(もたいまさこ)がいる。バーチャンは英語をまったく話さず、毎朝トイレが長く、出てくると深いため息をつく。
 だが、このバーチャンのおかげで、レイは母の形見のミシンで裁縫をはじめ、やがて得意だったピアノを弾き始める。リサもエアー・ギターに目覚める。そして、レイは家族の絆の尊さに気づくのだった。そのレイは、バーチャンのためにウォシュレット付の便器を購入するのだが。
 トイレは文化であり、文化はそれぞれ固有のユニークさを持っている。
 そして、トイレもバーチャンの沈黙も、不浄なものを吸収し浄化してくれる。そのことは、作中の男子学生の詩に示唆され、ラストシーンで表現されている。
 もたい演じるバーチャンの唯一の科白は、コンサートの時に緊張した孫を応援するもので、「モーリー、クール!」の二語だけ。
 ウォシュレットといいアニメやフィギュアといい、クール・ジャパンがテーマでもあります。
 また、家族の絆はDNAとは関係ないことも教えてくれます。
 「我輩は猫である」のように、猫のセンセーからこの家族を見ると、どう見えるのだろう。
 因みに、本作はTOTOが協賛しています。
 主人公たちはアメリカ人ですが、舞台はカナダのトロントです。落ち着いた感じがします。

 なおさんは、みなみ会館でしたか。
 私は久しぶりに京都文化博物館に行きました。今月は戦国乱世の特集だそうです。
 伊丹万作監督『気まぐれ冠者』(千恵プロ、1935年)。
 気まぐれ冠者(片岡千恵蔵)と髭の勘十(田村邦男)という浪人が、ある大名家に仕官する。この国は豊かだが軟弱で、貧しいが強い隣国に狙われている。そこで、二人が隣国に密偵として送り込まれるが、捕らわれてしまう。
 だが、二人は姫君(市川春代)を篭絡し、鶏が金の卵を産むという話を広げる。彼らは夜盗とともに金の卵を密かに配り、あるいは密かに盗む。おかげで、隣国は鶏だらけで大騒動になり、戦どころではなくなってしまうのだった。
 まず、小豆色に雨の降るフィルム、その上トーキーなのに、ほとんど会話が聞こえません。
 そのため、20人ほどの観客の半数近くは熟睡しておられました。
 それでも残存する貴重な伊丹監督作品(たった4本!)の一つだそうです。
 そう言えば、何となく『赤西蠣太』の雰囲気と似ていました。

8月31日 邦画79

 ワシントンのホテルでDVD。
 内田吐夢監督『大菩薩峠』第二部(東映、1958年)。
 両眼を失明した机龍之介(片岡千恵蔵)は、追っ手を逃れて東海道を下る途中に甲州の谷間で倒れ、お徳(木暮実千代)に救われる。兵馬(中村錦之助)は机を追うが、なかなか出合えない。
 素行の悪い畑本の神田(山形勲)は甲府金番を命じられ、鬱憤を募らせる。そんな折、神田は机の恐るべき剣の腕を知り、若輩の上司(東千代之介)暗殺のために、彼を利用しようとするのだった。一時は心の平穏をえた机も、再び血に飢えた殺人鬼になろうとしていた。
 他に、長谷川裕見子や里見浩太郎、月形龍之介ら。
 またまた、登場人物が多く、人間関係が複雑です。
 しかし、片岡演じる机は、ますます孤独な凄惨さを増していきます。
 長谷川裕見子さんは数か月前に亡くなりましたね。昨年は夫の船越英二さんも亡くなっています。お二人のご冥福をお祈りします。
 次に、沖田修一監督『南極料理人』(2009年)。
 南極の気象観測隊の8人の物語。
 氷点下54度の南極。ペンギンはおろかバイ菌もいない。そんな中で、男たちの数少ない楽しみは、食事だ。
 海老フライ、ローストビーフ、フランス料理のフルコースと、海上保安庁から派遣された調理師の西村(堺雅人)が腕をふるう。
 隊長(きたろう)はラーメンが品切れと知って愕然としてしまう。若い隊員(高良健吾)は、長距離電話で彼女にふられてしまう。きむずかしい氷雪学者(生瀬勝久)は南極でしか研究できないが、そのため夫婦の中に亀裂が生じている。医者(豊原功補)は、帰国してトライアスロンに出場することを楽しみにしている。
 ようやく待ちに待った帰国。平凡な日本の日常に戻って、西村はふと、自分は本当に南極に行ったのだろうか、と自問するのだった。
 料理だけで、これだけ話題豊富な作品に仕上がるとは。
 しかし、極限の状況での原初的な欲求というのは、奥の深いテーマです。
 午前中に九条のシネヌーヴォへ。
 豊田四郎監督『恍惚の人』(東宝、1973年)。原作は有吉佐和子、脚本は松山善三。
 立花老人(森繁久弥)は妻を亡くしてから痴呆症を患う。長男(田村高広)も長女(乙羽信子)もわからない。わかるのは、世話をしてくれる嫁の昭子(高峰秀子)だけだ。
 やがて、老人の痴呆は進み、「もしもし」とつぶやきながら、亡妻の遺骨をかじり、ついには排泄物に塗れた生活になる。肉親も見放す中で、嫁だけが甲斐甲斐しく世話を焼き、老人の最期を看取るのだった。
 白黒の映像が効果的。糞塗れのシーンがあるから、白黒にしたのだそうですが。
 森繁はたいへんな力演ですが、まだ還暦の若さが垣間見られます。
 他に、中村伸郎や浦辺粂子ら。
 先駆的なテーマの作品です。

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