Koji Murataの映画メモ

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外国映画 2011年

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 京都シネマに。
 クラウス・ハロ監督『ヤコブへの手紙』(フィンランド、2009年)。
 1970年代のフィンランド。
 終身刑だったレイラ(カーリナ・ハザード)が恩赦で釈放され、恩赦を要請した盲目の老牧師ヤコブ(ヘイッキ・ノウシアイネン)の牧師館に住み込む。ヤコブに届く手紙を音読し、返事を代筆するのが仕事だ。
 ヤコブは多くの手紙を受け取り、悩みの相談に応じて、他人のために祈ってきた。だが、レイラはヤコブに心を開こうとしない。やがて、ヤコブのもとに手紙が届かなくなり、老牧師は自分が必要とされていないのではないかと不安になる。さらに、自分が他人を助けていたのではなく、他人からの手紙で自分が助けらていたのだと気づく。
 レイラは自分の生い立ちを語り、姉に暴力をふるう義兄を殺してしまった経緯を話す。牧師はそれを知っていた。彼にレイラへの恩赦を依頼したのは、その姉からの手紙だったのだ。牧師とレイラが心を通わせた直後に、牧師は倒れるのだった。
 フィンランド映画を観るのは初めてではないかと思います。
 舞台劇になりそうな、落ち着いた奥行きのある作品です。
 ハザードもいいし、牧師役のノウシアイネンがとても渋い。この二人以外の登場人物は、実質的には郵便配達夫だけです。

 同志社大学の寒梅館で、イエジー・スコリモフスキー監督が挨拶し、その後『手を挙げろ』(ポーランド、1967・81年)を上映。
 1967年に製作されたオリジナルは、スターリン批判とみられて上映できなかった。このため、監督はポーランドを去った。その後の事情を追加して、67年を回想する形でオリジナルが編集されている。
 かつて医大生だった男4人(うち一人はスコリモフスキー)と女1人。学生時代にスターリンのポスターを四つ目にしてしまい、譴責された。彼らの同窓会が貨物列車の中で展開する。もしかしたら、この貨物列車は、アウシュビッツ行きかもしれない。社会的地位のある医者たちの放埓と不安が描かれている。
 1981年といえば、レーガンが大統領に就任し、ポーランドでは自主管理労働組合「連帯」が反政府運動を展開していた頃です。
 例によって、難解な作品でした。
 それでも会場は満員でした。さすがはスコリモフスキー。

 梅田の雷蔵祭、私は日程がつかずに行けません。『人肌孔雀』は未見ですが、来月シネヌーヴォの森一生特集で観られればと思っています。
 さて、富山への車中でDVD。
 アレン・ドワン監督“Cattle Queen of Montana"(1954年、アメリカ)。
 シーラ(バーバラ・スタンウィック)は父とともにテキサスから牛を率いて、モンタナの牧草地にやってきた。ところが、夜陰にインディアンに襲撃され、父は殺され、多くの牛を奪われた。しかも、牧草地の仮登記も取り消され、強欲なマッコードに奪われてしまった。実は、マッコードがインディアンと組んでいたのだ。
 シーラは勇敢で善良なインディアンの若者コロラドスに救われる。インディアンの部族の中でも対立が。
 シーラたちは、ファレル(ロナルド・レーガン)というガンマンに何度も救われる。彼はマッコードの下で働いているが、実は陸軍のスパイとして、マッコードの悪事を調査していたのだ。やがて、シーラとファレル、コロラドスたちが立ち上がり、悪党どもをやっつける。めでたしめでたし。
 完全な勧善懲悪もの、文明と野蛮が対比される。
 この頃のレーガンは、俳優としては完全に落ち目でした。

 京都シネマへ。
 ヤスミラ・ジュパニッチ監督・脚本『サラエボ、希望の街角』(ボスニア・ヘルチェゴビナ他、2010年)。
 ルナ(ズリンカ・ツヴィテシッチ)はキャビン・アテンダントで、空港の管制室に勤務するアマル(レオン・ルチェフ)と同棲している。二人の悩みは子供ができないことだ。どうやら、アマルの飲酒癖に原因がありそうだ。その上、飲酒のために彼は半年間休職させられてしまう。
 その頃、アマルは昔の戦友と再会する。戦友は今ではイスラム原理主義者になっている。彼の誘いでキャンプに参加してから、アマルは著しく宗教的になる。ルナとの関係もぎくしゃくしだす。
 ところが皮肉にも、ルナは妊娠した。彼女はアマルとの別れを決意する。「戻ってきてくれ」と男。「あなたこそ戻ってきて」と女。
 実は、男女とも内戦で家族を失った悲しい過去を抱えていた。
 サラエボの街は実に美しい。
 そこにあるモスクとディスコの、大きなギャップ。
 よく出来た映画ですが、あまりおもしろくありませんでした。アマルが何故宗教に魅せられたのかが、しっかり描けていないからだと思います。
 主人公のツヴィテシッチも、サラエボの街のように美しい。

 新幹線でDVDを一本。
 スチュアート・ハイズラー監督“Strom Warning"(アメリカ、1951年)。原題は「嵐の警告」といった意味でしょうか。
 ニューヨークのモデル、マーシャ(ジンジャー・ロジャーズ)は、南部の小さな町に住む妹ルーシー(ドリス・デイ)を訪ねる。ところが、そこでKKKが男性を殺害する現場を目撃してしまう。しかも、犯人の一人は妹の夫ハンク(スティーヴ・コッコラン)だった。
 地方検事のレイニー(ロナルド・レーガン)は事件の目撃者を捜すが、町の者は皆知らぬ存ぜぬである。レイニーはマーシャに証言を求めるが、彼女も妹のために裁判で嘘をつき、事件は迷宮入りになる。しかし、調子に乗ったハンクは、マーシャをレイプしようとする。マーシャが翻意して検事に証言しようとすると、ハンクは彼女を誘拐してKKKの秘密集会に連れていく。
 マーシャがリンチされそうになった時、ルーシーの知らせでレイニーらが駆けつける。ハンクはマーシャを撃とうとして、誤って妻を殺してしまう。彼も保安官に殺された。KKKは解散に追い込まれるのだった。
 今まで観たレーガンの映画の中では、社会性があって面白く感じました。
 アメリカの田舎町の閉鎖性は、確かに恐ろしいものです。
 ドリス・デイのかわいらしいこと。


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