Koji Murataの映画メモ

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邦画 2011年

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7月5日 邦画61

 自宅でビデオ。
 成瀬巳喜男監督『噂の娘』(1935年、PCL)。
 舞台は下町の酒屋。老舗だが、最近は左前である。隠居(汐見洋)は飄々と暮らしており、婿の健吉(御橋公)が精勤している。妻はすでに亡くなっており、長女の邦江(千葉早智子)がしっかりも者だ。次女の紀美子(梅園智子)は実は妾との間にできた子供だが、本人はそれを知らず、気ままに暮らしている。
 邦江は家族のために金持ちの家に嫁に行く覚悟で、見合いをする。ところが、先方は妹の紀美子を気に入ってしまう。勝ち誇る紀美子を、父が叱責する。だが、その父・健吉も酒に混ざり物を入れて販売していたことが発覚し、警察に連行される。「どうしたんです?」と問う床屋に、「なあに、看板が替わるだけさ」と隠居が答える。
 わずか1時間弱ながら、精緻な仕上がり。
 当時の風俗がよくわかります。
 隠居役の汐見が実に粋で渋い。
 他に床屋の主人と客が、三島雅夫と滝沢修と、実に豪華。

 三条ムーヴィックスへ。
 篠原哲雄監督『小川の辺』(2011年)。原作は藤沢周平。
 東北の小藩。佐久間森衛(片岡愛之助)は藩主に取入る侍医(西岡徳馬)を批判し、農政改革を献言したため謹慎を命じられ、妻の田鶴(菊地凛子)と脱藩した。藩の重役たち(笹野高史ら)は田鶴の兄・戌井朔之助(東山紀之)に佐久間の討伐を命じる。
 佐久間は成田の周辺に潜んでいるとか。田鶴も剣の使い手で、夫を守ろうとすることは必至だ。戌井兄妹と兄弟同様に育った奉公人の新蔵(勝地涼)も、田鶴を心配して、戌井に同道する。
 やがて、戌井らは佐久間夫妻を小川の辺の小屋に発見するのだった。
 小川のように静かに時間が流れていく。美しい風景の中で、寡黙な東山が格段に光る。
 しかし、菊地も勝地も驚くほど鬘が似合わない。
 愛之助の科白回しも大袈裟だ。ただし、東山と愛之助の剣の勝負は見事なもの。
 原作が短編だから、ストーリーに起伏がないのは仕方ないでしょう。
 他に藤竜也(今年で70歳!)や松原智恵子ら。重臣たちの一人に,西沢利明も。さすがに老けたが、懐かしい俳優さんです。

 

 三条ムーヴィックスへ。
 シネマ歌舞伎『女殺油地獄』。
 昨年の歌舞伎座さよなら公演の出し物で、主役の河内屋与兵衛には片岡仁左衛門、その義理の父・徳兵衛に中村歌六、実の母お沢に片岡秀太郎。そして、与兵衛に殺される豊島屋の内儀・お吉には片岡孝太郎。
 仁左衛門の当たり役の一つで、彼がうまいのは当然だが、今回改めて歌六が渋いと思い、孝太郎も美しい女形とは言えないまでも、随分と妖艶になってきたと感じました。
 とはいえ、歌舞伎はやはり舞台で観たい。昨年見逃したことが悔やまれます。

 高松のワーナー・マイカル・シネマズへ。
 松本卓也監督・脚本『花子の日記』(2011年)。
 瀬戸内海の小島で、吾郎(永島敏行)は牛の品種改良を重ね、神戸牛をしのぐ種牛を育てあげた。しかし、すでに妻は病死し、牛のために家族を振り返らない父に反発して、一人娘の花子(倉科カナ)は東京の美大に進む。
 他方、韓国でヤクザが吾郎の種牛に目をつけた。事情をしらない金父娘(金守珍とSORA)が種牛の精子を盗むために、四国に送り込まれる。
 たまたま帰省していた花子が金親子を牛小屋で目撃し、逃げる金親子を吾郎と花子が高松まで追いかけることに。しかも、花子と金の娘(キムスメ)は日韓交流サイトで知り合ったメル友だった。
 ご当地・高松を舞台にした作品で、親子の絆やコミュニケーションの重要性をテーマにしている。しかし、所詮はとってつけた薄っぺらなテーマ設定。
 そんなことをシリアスに考えるより、ナンセンス・コメディとして楽しんだほうがいいかも。
 吾郎が飼育する牛たちの名前まで、花子。
 人間の花子が見る夢は、学芸会のようで笑える。
 高松に行かなければ決して観なかったであろう作品です。

6月20日 邦画57

 自宅でビデオ。
 成瀬巳喜男監督・脚色『妻よ薔薇のように』(1935年、PCL)。
 君子(千葉早智子)は丸の内に勤める朗らかなOLで、許婚もいる。母(英百合子)は凛とした歌人だ。だが、問題は父(丸山定夫)である。長野の山奥に金鉱を捜しに出かけて10年、家に戻ってこない。そちらで妾(伊藤智子)と子供までもうけて暮らしているのだ。本宅には仕送りだけである。
 君子は伯父(藤原釜足)とも相談して、父に会いに行く。ところが、父たちは思ったより質素な生活をしており、仕送りも父に内緒で妾とその娘が苦心して作った金だった。
 君子はいったんは父を東京に連れ戻すが、父は母との堅苦しい生活に耐えられず、心温まる長野の家庭に帰っていく。父をとめようとせず、しかし涙ぐむ母を見て、君子は「お母さんの負けだわ」と悟るのだった。
 成瀬の戦前の代表作。さすが、緻密な心理描写です。
 主演の千葉はこののち成瀬監督と結婚するも、3年で離婚した。
 丸山は広島で被爆して亡くなる。
 男は立派すぎる妻には耐えられないものか。
 藤原が下手な義太夫を歌って笑わせます。


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