Koji Murataの映画メモ

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邦画 2011年

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 ムーヴィックス京都へ。
 成島出監督『八日目の蝉』(2011年)。原作は角田光代。
 希和子(永作博美)は妻のある男と不倫し、妊娠の末に中絶した。もう子供は産めない。男の妻が出産したと知り、希和子はその赤ん坊を誘拐してしまう。4年後に希和子は逮捕された。
 恵里菜(井上真央)は、かつて誘拐された少女で、今では大学生になっている。実の両親に馴染めず、今度は自分も妻子ある男性(劇団ひとり)の子供を妊娠している。
 フリージャーナリストの千草(小池栄子)が恵里菜の前に現れ、取材を求める。やがて二人は、かつて希和子と幼い恵里菜との4年間の逃避行の跡をたどることに。恵里菜は徐々に記憶を取り戻していく。
 大阪にあるエンゼル・ホームというカルト的な女性だけの駆け込み寺の代表を、余貴美子が力演している。他に、小豆島の写真館の主に田中泯。渋い役です。
 恵里菜は実の母と育ての母を二度喪失する。それを回復する物語でもある。
 よくできた作品です。
 最後に安っぽい希和子との再会がないのが、実によい。
 小豆島の風物も美しい。私も昨夏初めて訪れました。
 難を言えば、永作の関西弁が今ひとつ。
 また、これは原作の問題でしょうが、「八日目の蝉」という題名が作品全体を象徴するとは思えません。蝉は地上に出てから7日で死ぬが、8日まで生きればどうなるか?仲間をなくして孤独か?それとも、他の蝉が見られなかった美しいものを見ることになるのか?恵里菜と千草との問答です。
 

 今日もプラネット・プラス・ワンで2本。
 まず、溝口健二監督『折鶴お千』(1935年)。原作は泉鏡花。
 サイレントで観賞。
 雨の降りしきる駅のホーム。高名な医師(夏川大二郎)と重病の元女郎(山田五十鈴)が客に交じっているが、お互いに気づかない。医師の回想が始まる。
 宗吉(夏川)は祖母に送られて田舎から上京し、医師を志すが、貧しさゆえに自殺を決意する。それを女郎のお千(山田)に救われる。お千は情夫に利用され犯罪の片棒を担いできたが、宗吉との出会いで更正を誓う。今では、宗吉を医者にすることだけが生き甲斐だ。
 しかし、貧しさゆえに、お千は売春を。客が財布と懐中時計を忘れていったことから、枕泥棒と誤解され逮捕される。こうして、宗吉とは別れ離れになってしまったのだ。
 再び駅のホーム。医師は病気の女がお千と気づき、自分の病院に入院させるが、すでに手遅れで、お千は錯乱して医師が宗吉だとも気づかないのだった。
 鏡花お得意の筋書き。
 山田がたいへん美しく魅力的です。
 別れ際に、お千が折鶴を胸元から出して風に飛ばし、「この折鶴より高く出世してください」と宗吉に言う。立身出世が単純に美徳だった時代の物語です。
 無心の愛、献身で、お千は自らを浄化したかったのでしょう。

 その後、九条のシネ・ヌーヴォへ。
 成瀬巳喜男監督『女の歴史』(東宝、1963年)。
 信子(高峰秀子)は、深川の材木屋の跡取り・清水幸一(宝田明)のもとに嫁にいく。しかし、ほどなくして幸一の父(清水元)は芸者と自殺して、材木屋は倒産する。
 信子は一子・功平を産む。だが、夫に召集令状が。しかも、夫の浮気にも気づく。信子と功平、義母(賀原夏子)は疎開先で終戦を迎えるが、夫は戦死しした。
 戦後、信子は夫の親友・秋本(仲代達矢)と再会し、お互いに惹かれあうが、生き別れになってしまう。
 信子は美容院を経営し、功平(山崎務)を育て上げた。功平は自動車のセールスマンになるが、母の反対を押し切って、クラブの女みどり(星由里子)と結婚する。その直後に、功平は事故死する。
 信子はみどりと会おうともしなかったが、みどりは功平の子供を宿していた。義母と信子、みどりの女三代は、功平の遺児で結ばれるのだった。
 日本版「女の一生」といったところでしょうか。
 賀原の老け役が見事。
 他に加東大介や草笛光子、淡路恵子ら。
 成瀬ににしては珍しく、空襲のシーンをリアルに描いています。

 ムーヴィックス京都へ。
 大森立嗣監督・脚本『まほろ駅前多田便利軒』(2011年)。原作は三浦しをん。
 東京郊外の地方都市まほろが舞台。
 多田(瑛太)は駅前で便利屋をやっている。客からチワワを預けられたが、夜逃げされてしまう。そこに、中学時代の同級生だった行天(松田龍平)まで転がり込んでくる。
 母親から塾のへの迎えを依頼された小学生が覚せい剤の売買に巻き込まれたり、知り合いの娼婦がストーカーに狙われたり。この地方都市には、トラブルが一杯(舞台になっているのは、町田市です)。
 実は、多田は子供を亡くし離婚した過去が。そして、行天には親から虐待を受けた記憶や、レズビアン女性と結婚して人工授精で子供を設けた経験が。
 「きれいな肺を煙草の煙で汚したやろう。それが生きているということだ」
 他者の役に立つこと、他者に頼り愛すること――そうした関係でしか、人は人間にはなれない。親子関係はその典型だ。
 瑛太も松田も、肩から力の抜けた、いい芝居をしていると思いました。
 他に高良健吾や岸部一徳ら。 

4月25日 邦画37

 東京から帰途の新幹線でDVDを一本。
 和田誠監督『麻雀放浪記』(東映=角川春樹事務所、1984年)。原作は阿佐田哲也。
 敗戦直後。中学を中退した坊やこと哲(真田広之)は、昔なじみの上州虎(名古屋章)と再開し、賭場に連れて行かれる。そこで出合ったのが、ドサ健(鹿賀丈史)だ。今度はドサ健に連れられて外国人クラブに赴き、哲はそこのママ(加賀まり子)と関係をもつ。さらに、出目徳(高品格)との出会いが。
 ドサ健は出目徳との麻雀に敗れ、愛人のまゆみ(大竹しのぶ)を女衒の達(加藤健一)に売り飛ばすことに。いよいよ、ドサ健と出目徳、女衒の達、それに哲との最後の大勝負が始まる。
 全編がモノクロ。
 会話も気が利いている。
 「勝ち続ける人はいるのか?」「勝ってもいつか命を落とす」「勝ち続けて元気な人もいるだろう」「その時は人間でなくなる」
 「何で俺にそんなに惚れるんだ?初めての人だったからか?お決まりの科白だ」「違うわ、あなたが私に惚れてるからよ。お決まりの科白でしょう」
 真田が初々しく、高品が渋い。
 麻雀がわかれば、さらに楽しめるのでしょうね。麻雀好きだった、亡くなった父を思い出しました。
 


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