Koji Murataの映画メモ

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邦画 2011年

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 自宅でビデオ。
 山田洋次監督『吹けば飛ぶよな男だが』(松竹、1968年)。脚本は山田と森崎東。
 チンピラのサブ(なべおさみ)らは、大阪駅で長崎から出てきた花子(緑魔子)をナンパし、成人映画の強姦シーンに使おうとする。しかし、花子は必死に拒み、ついに見かねたサブは仲間を裏切って彼女を助ける。
 やがて、二人は愛し合うが、金のために花子は神戸のトルコで働くことに。しかも、彼女は昔の男の子供を妊娠していることがわかった。カトリックのため堕胎もできない。
 自棄になったサブは喧嘩でヤクザを刺して拘置所に。この間、花子は流産して死んでしまう。花子の遺骨を田舎に届けたサブは、外国航路に乗り組むのだった。
 トルコの女将にミヤコ蝶々。これがさすがに巧い。
 他に、佐藤蛾次郎や有島一郎、犬塚弘、長門勇、石井均、それに漫才の上方柳太・柳次も懐かしい。
 リズミカルなナレーションは小沢昭一。
 音楽は山本直純で、いかにも時代を感じさせます。
 1960年代末の神戸の景観も見ものです。
 しかし、主人公の関西弁は、神戸弁ではありませんね。
 
 久しぶりに京都シネマへ。
 ラース・フォン・トリアー監督・脚本『アンチクライスト』(2009年、デンマーク他)。
 彼(ウィレム・デフォー)と彼女(シャルロット・ゲンズブール)はセックスの間に、幼い一人息子を事故で死なせてしまう。これが原罪である。
 妻は精神を病み、セラピストの夫はタブーを冒して近親者のセラピーを試みる。妻が「エデン」と呼ぶ森の山小屋を恐れていることを知り、夫は妻とそこにでかける。かつて妻が息子を連れて心理学の論文執筆のために滞在した場所だ。だが、妻はますます不安定になっていき、夫に襲いかかって、その足に碾き石を打ち込む。
 カラスや狐、鹿など自然(ネイチャー)の動物がしばしば現れ、彼と彼女の心の本質(ネイチャー)を暴き出していく。
 逆エデンの園に向かうアダムとイブ。碾き石を打ち込まれた彼の姿は、イエスそのものです。
 快楽から悲嘆、苦痛、絶望へ。そして、復活の可能性が。
 それにしても、後半は思わず目を背けてしまう展開です。
 Chuckyさん、ご一緒でしたか。奇遇ですね。
 私は今日もシネ・ヌーヴォへ。
 大庭秀雄監督『横堀川』(松竹、1966年)。原作は山崎豊子。吉本興業の創始者・吉本せいをモデルにした話。
 船場の昆布屋・浪花屋の娘・多加(倍賞千恵子)は、呉服屋・河島屋の跡取り・吉三郎(中村扇雀=今の坂田藤十郎)に嫁ぐが、夫は放蕩三昧で店は倒産する。
 多加は夫の好きな寄席で商売しようと決意し、寄席芸人だったガマ口(小沢昭一)らも協力する。ようやく寄席が軌道に乗り出し、多加が懐妊した頃に、吉三郎は妾宅で急死する。多加は大阪一の席主になることを生きがいにし、安来節まで寄席にかけるのだった。
 他に、山口崇や田村高広、それに松竹の芸人たちが多数顔を出している。
 笑福亭松鶴や桂枝雀らは落語を披露している。
 扇雀の巧いこと。浪花千栄子の高利貸しも見事。
 
 シネ・ヌーヴォへ。
 杉江敏男監督『忘れじの人』(1955年、東宝)。原作は織田作之助。
 雪子(岸恵子)は娘から、恋人の父に結婚を反対されたという話を聞かされる。相手は船場の名家である。雪子が昔芸者だったことが理由だという。雪子は自分の過去を娘に語って聞かせる。
 雪子も船場の旧家の娘だった。実は、彼女は芸者(花井蘭子)の産んだ子供だった。雪子は手代の秀吉(山内明)と惹かれあい、東京に駆け落ちしようとしたが、果たせなかった。秀吉は独り上京し、関東大震災で亡くなったという。傾きかけた家を助けるため、雪子は成金の息子(金子信雄)と結婚した。
 やがて、実父が亡くなり、実家は倒産する。雪子が芸者の子だとわかり、嫁ぎ先から離縁されてしまう。雪子は知り合いのお茶屋の女将(浪花千栄子)を頼って、芸者に。ある時、思い出の太左衛門橋で落剥した秀吉と再会するが、彼にはすでに妻子があった。
 母の話を聞いて、娘は因習にとらわれず、恋人と上京する決意をするのだった。
 岸が娘道成寺を踊りますが、本当に美しい。
 浪花の演技は例によって大したものです。
 "Winter is gone.  Spring has come."と、雪子が秀吉に教えた英語が再会の場で語られます。
 橋の上での出会いと別れ。『君の名は』を思わせ、『哀愁』のウォータールー橋のようでもあります。
 関東大震災の話は、東日本大震災に重なります。
 
 テアトル新宿で新藤兼人監督・脚本『一枚の手紙』(近代映画協会、2011年)。
 戦争末期の海軍で、松山(豊川悦司)は戦友の森川(六平直政)に、妻からの一枚の手紙を見せられる。自分が戦死したら、確かに手紙はもらったと妻に伝えてくれ、と森川は松山に頼んだ。上官によるくじ引きで、松山は内地に留まり、森川はフィリピンで戦死した。
 森川の妻・友子(大竹しのぶ)は夫の戦死後、貧しい家を守るために、夫の弟と再婚するが、弟も出征して戦死した。義父(榎本明)は病で亡くなり、義母(倍賞美津子)は自殺する。友子は戦争を呪いながら、一人生きていく。
 松山が無事に復員してみると、妻(川上麻衣子)は父と肉体関係をもち、大阪に逃げていた。絶望した松山はブラジル移住を考えるが、森川の手紙を発見して、友子に会いにいく。
 松山と友子は森川の思い出を語り明かすが、友子に思いを寄せる村の実力者(大杉漣)が松山に喧嘩をしかけるのだった。
 他に、津川雅彦も。
 『裸の島』を連想させるシーンもあり、新藤の映画人生の集大成として評価すべきなのだろう。
 「影を慕いて」が効果的に用いられている。
 しかし、後半はストーリーも大竹の演技もエキセントリックになっていく。
 そもそも、昭和の初めの田舎の女性が、ペン習字のような字を書くことに、リアリティがない。
 森川は妻を「彼女は」と呼んでいるが、百姓が妻を「彼女」と呼ぶはずはない。
 最後に聖書の「一粒の麦」というのも、わざとらしい。
 黒澤も木下恵介も市川崑も、残念ながら、巨匠の最後の作品が傑作だったためしはない。
 ちょっと厳しすぎるかない、ごめんなさい。

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