Koji Murataの映画メモ

映画に関するコメントのみお受けします。

邦画 2011年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
 改装なった京都文化博物館へ。随分と立派なシアターになりました。
 加藤泰監督・脚本『大江戸の侠児』(東映、1960年)。
 鼠小僧次郎吉(大川橋蔵)の物語。放蕩者が大名屋敷に忍び込み、田舎の許婚(香川京子)そっくりのお女中(香川)に出会ったため、里心がわいて郷里に戻る。しかし、許婚は借金のため売り飛ばされようとしており、次郎吉は許婚とその弟を連れて逃げる。しかし、運命のいたずらで、許婚は女衒に捕まり、弟は死んでしまう。
 江戸に戻った次郎吉は、大名屋敷に忍び込んでは大金を盗んで市中にばら撒き、義賊だ、鼠小僧だと呼ばれる。だが、次郎吉は昔の遊び仲間(多々良純)や芸者(青山京子)の助けをかりて、女郎になった許婚をついに見つけ出すのだった。
 他に、上田吉二郎や浪花千栄子らベテラン連中。
 よく知られる義賊の物語の背後にある、人間ドラマを描いています。
 香川と青山の二人の京子が、ともに魅力的。多々良もコミカルないい芝居をしています。
 北関東の農村と大名屋敷のギャップ、貧富の格差が「義賊」「大江戸の侠児」を産みます。
 その後、自宅でビデオ。もう少し文化的な作品です。
 豊田四郎監督『暗夜行路』(東宝、1959年)。もちろん、原作は志賀直哉。
 時任謙作(池部良)は、祖父と母の間に生まれた暗い過去をもつ。祖父の妾だったお栄(淡島千景)に惹かれるが、もちろん叶わず、お栄は大陸に渡っていく。
 傷心の謙介は京都で偶然に美しい直子(山本富士子)と出会い、結婚する。幸せな新婚生活。だが、生まれたばかりの赤ん坊が病気で亡くなり、その上、謙介の留守中に、直子は従弟の要(仲代達矢)に犯されてしまう。
 謙介は理性で妻を許しながら、感情を抑えきれず、一人で大仙に出かけていく。そこで、彼は病に倒れ、京都から駆けつけた直子と夫婦の絆を取り戻すのだった。
 他に、長岡輝子や杉村春子、千秋実、中村伸郎、賀原夏子、北村和夫ら、渋い役者が揃う。
 大仙の道案内人に天津敏。ヤクザ映画でなら、池部と天津はしばしば仇同士です。
 直子の父親役の汐見洋も、風格のある俳優さんです。
 謙介がしばらく滞在する尾道の風景が懐かしい。
 謙介の科白 「文学がわかったり、風流がわかったりするのは、かえって悪趣味だ」
 大正の終わりという設定ですが、謙作は終始一貫して和服です。
 
 私もシネ・ヌーヴォへ。浪花の映画特集です。
 曽根中生監督『鳴呼!花の応援団』(日活、1976年)。
 どおくまんの漫画が原作。
 南河内大学、通称ナンカ大学の応援団の物語。
 1年生の富山と北口は、無理やり応援団に入れられて、過酷なしごきを受ける。3年生の親衛隊長・青田赤道(今井均)は破天荒な人物で、「クゥエ」と奇声を発して暴れまわる。浪花大学応援団との抗争に勝利し、ヤクザとも喧嘩する。
 いよいよ、応援団は駅伝の応援に出陣するが、青田の郷里から、父(安部徹)の妾で赤道の初恋の人・新子(宮下順子)が別れを告げにやって来る。応援団の意地と恋――青田は走り、暴れる。同じ頃、富山も飛田新地の売春婦(水原ゆう紀)への淡い恋に破れるのだった。
 他に、放駒親方(元竜虎)ら。この人も今はどうしているのでしょうか。
 飛田新地には中条きよしの「嘘」や都はるみの「北の宿から」が流れ、道頓堀には映画「ベンジー」の看板が。
 懐かしい70年代の風物です。
 大学時代に応援団に入っていれば、自分の人生はどう変わったかと、ふと思いました。
 自宅でビデオ。
 山本薩夫監督『台風騒動記』(松竹、1956年)。
 台風のために、長閑な海辺の町は大きな被害に遭う。そこで、県会議員(永井智雄)の入れ知恵で、町長(渡辺篤)や町会議員の川井(三島雅夫)らは、小学校が全壊したことにして国から1千万円の補助金を引き出そうとする。ところが、肝心の小学校は壊れていないので、これを無理やり壊してしまう。土建業者も盛んに賄賂を使う。
 その頃、大蔵省から監査官がやって来るとの情報が入る。町長夫人(藤間紫)が見知らぬ青年を監察官と誤解して、町の有力者たちで接待するが、件の青年は小学校の臆病な代用教員(菅原謙二)の旧友・吉成(佐田啓二)だった。
 本物の監査官(細川俊夫)は町の誇大報告を見破り、補助金はもらえそうになくなる。町長らは代用教員や吉成に責任を転嫁しようとするが、地鎮祭のあとのPTA総会で、町長らの陰謀は露見する。
 「天災のあとには人災がやって来る」――風刺の効いたブラック・コメディ。
 今の日本のような物語です。
 代用教員は『中央公論』や『思想』を呼んでいるため、「アカ」だと駐在(多々良純)に疑われている。もちろん、山本監督は「アカ」でしたが。
 他に、三井弘次、左卜全、中村是好、桂木洋子、野添ひとみ、佐野周二ら。
 教員の一人に若い頃の田口計が。科白もありません。のちに悪役で、いい脇役になります。
 とりわけ、三島と三井の個性が光る。俗物臭い、田舎の権力者とはこのようなものかと思わせる。
 三島のキャラクターは『暴力の街』に通じます。
 結局、「騒動記」を一日に二本観たことになります。
 
 
 T.Joy京都へ。
 阪本順治監督『大鹿村騒動記』(2011年、東映)。
 先日亡くなった原田芳雄の遺作で、彼が切望していた企画だとか。
 長野県の大鹿村では、300年にわたって村歌舞伎が続いている。今年の出し物は「景清」だ。
 食堂を経営する初老の善(原田)は村歌舞伎の中心人物で、今年も主役を張る。連日の稽古である。そこに、18年前に駆け落ちした善の妻・貴子(大楠道代)とその愛人の治(岸部一徳)が戻ってくる。貴子は認知症を患い、駆け落ちした記憶すら失っていた。
 やがて、台風が村を襲う。バス運転手の一平(佐藤浩市)が事故に遭い、歌舞伎に出演できなくなった。昔、その役を得意としていたことから、貴子が代役に起用される。歌舞伎を通じて、二人は夫婦愛を回復するのだった。
 「仇も恨みも是まで」という「景清」の科白が現実となる。
 この長閑な村は、しかし、リニア新幹線の工事問題で揺れ、地上波テレビの導入が迫っている。しかも、善の食堂のアルバイト求人に、性同一性障害の若者(冨浦智嗣)がやって来る。伝統と変化のつばぜり合いが、この小さなコミュニティーにも起こっているのだ。
 他に、松たか子、石橋蓮司、でんでん、三国連太郎ら。
 三国は出番こそ少ないが、さすがの貫禄。今年88歳、まさに日本映画界の長老です。
 原田さん、またいい役者さんが一人いなくなってしましました。ご冥福をお祈りします。

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
最大10万円分旅行クーポンが当たる!
≪10月31日まで≫今すぐ応募!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事