Koji Murataの映画メモ

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邦画 2012年

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 京都シネマへ。
 ヤン・ヨン監督・脚本『かぞくのくに』(2011年)。
 1959年から四半世紀にわたって、9万人もの在日の朝鮮人が、「地上の楽園」北朝鮮へ帰還していった。赤十字も帰還運動に熱心でした。『キューポラのある街』でも、在日の帰還が扱われています。
 1997年の夏、ある在日朝鮮人一家のもとに、25年ぶりに長男のソンホ(井浦新)が帰ってきた。脳の病の治療のため、3か月だけ来日が許されたのだ。父(津嘉山正種)は同胞協会の幹部で、母(宮崎美子)は喫茶店を営んで家計を支えていた。妹のリエ(安藤サクラ)は日本語学校の教師をしている。
 束の間の再会と喜び。だが、平壌から同伴した責任者の監視の目が、いつも光っていた。兄は妹に工作員になることを提案する(そうするよう命じられていた)。妹はこれを峻拒する。兄の治療にはかなりの時間がかかりそうだった。ところが、突然帰国命令が発せられる。「こういうのは、ほんと、よくあるんだ」、「あの国じゃ理由なんて意味がない。思考停止だ」、「お前は自由に自分の人生を生きろ」−―兄は妹にそう言い残して、静かに帰国していく。若いころ愛唱したフォークソング「白いブランコ」を一瞬口ずさみながら。
 静かな音楽は岩代太郎。
 井浦の抑制された演技が、安藤の感情的なそれと、見事にマッチしています。
 重い重い人生の交差が、単純なストーリーに乗せられています。
 在日のゲイも登場して、「マイノリティ中のマイノリティ」と自称します。ジェンダー・マイノリティの人権が注目されるようになった頃ですから、このあたりも含めて、90年代の風俗も巧みに描かれています。
 今年公開された作品の中で、私にとってベストの一つです。
 井浦も三島由紀夫よりソンホのほうが、断然いい!
 
 
 
 松竹関西支社の試写会に。
 川村泰祐監督『映画ひみつのアッコちゃん』(2012年)。原作はもちろん、赤塚不二夫。
 小学校5年生の加賀美あつ子(吉田里琴)は、鏡の精(香川照之)から魔法の鏡をもらう。「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン」と呪文を唱えれば、何にでも変身できるのだ。元に戻る時には、「ラミパス、ラミパス、ルルルルル」。
 大人の自分に変身したあつ子(綾瀬はるか)は、以前公園で出会ったイケメン、早瀬尚人(岡田将生)に再会する。尚人は化粧品会社の企画開発室長(待遇)で、さっそくあつ子をバイトに雇う。
 だが、社内では、会社乗っ取りを図る熱海専務(谷原章介)とその背後にいる鬼頭(鹿賀丈史)の陰謀が。そして、いつしか、あつ子と尚人はお互いに惹かれあっていく。
 他に、もたいまさこや大杉漣ら。
 見た目は大人でも中身は小学生の主人公は、資本をシフォン・ケーキとまちがえ、早稲田大学算数学部と名乗る。
 女性の変身願望をテーマに、実は外見よりも中身が大事というシンプルなメッセージの、お洒落でかわいいドラマ。
 私が子供の頃楽しんでいたアニメが、最近また注目されるようになってきて、懐かしいかぎりです。
 見かけより中身といいながら、主人公は美男美女。ちょっと納得が」いきません(笑)。
 二日続けてシネヌーヴォへ。
 『カルメン純情す』(松竹、1952年)。
 浅草のストリッパー、カルメン(高峰秀子)のもとに、親友の朱實(小林トシ子)が赤ん坊を抱えて転がり込んでくる。男に騙されたのだ。二人は一度は赤ん坊を捨てようとするが、果たせない。この時、カルメンはプレイボーイの前衛芸術家・須藤(若原雅夫)に出会い、恋に落ちてしまう。
 だが、須藤は持参金目当てで千鳥(淡島千影)というアプレゲールと結婚しようとしている。千鳥の母・熊子(三好栄子)は元陸軍中将の未亡人で、国会議員に立候補している。カルメンを須藤の恋人と誤解した熊子は、スキャンダルを避けるため、カルメンに須藤と別れるよう求め、騒動が展開する。
 東山千栄子演じる女中が、いつも原爆の話をもちだす。熊子は再軍備派だ。この二人の女性を軸に、独立直後の政治情勢も風刺されている。
 前作とちがって白黒、笑えるようで笑えない不思議なコメディでした。
 
 因みに、二日連続で自由軒の名物カレーを食べに行きました。
 シネヌーヴォの木下恵介生誕100年特集へ。
 『善魔』(松竹、1951年)。
 新聞の社会部長・中沼(森雅之)は新人記者の三国連太郎(三国連太郎)に、高級官僚・北浦(千田是也)の妻・伊都子(淡島千影)の家出事件の取材を命じる。三国は私的な問題への取材に躊躇するが、やがて、伊都子の父(笠智衆)と病弱な妹・三香子(桂木洋子)と軽井沢で出会って三香子に恋をし、また、北浦の収賄の事実を知る。
 中沼は辛辣な政治批判から、会社の上層部に煙たがられていた。また実は、伊都子は彼が昔思いを寄せていた女性だった。だが、中沼には数年付き合ってきた女性(小林トシ子)がいた。中沼は会社も女を捨てて、伊都子と結ばれようとする。
 一方、三国は三香子を一途に思い続けるが、彼女の病状は急速に悪化し亡くなってしまう。尊敬していた中沼が女を捨てて幸せになろうとするのを見て、三国は彼を面罵するのだった。「三国は立派な男です」と語り、中沼は伊都子のもとを去っていく。
 三国のデビュー作で、この役名が芸名になりました。まだ台詞回しが性急な感じで、初々しい。
 善が悪に対抗するためには、魔性の力を帯びなければならない。これが善魔の意味だ。中沼がこれを三国に教えるが、彼が三国の善魔に糾弾されることになる。
 もちろん、自分の恋人を失った三国の嫉妬とも解釈できますが。
 軽井沢がまだまだ途方もない田舎だった頃です。
 神保町シアターへ。
 千葉泰樹監督『東京の恋人』(東宝、1952年)。
 似顔絵かきのユキ(原節子)は、靴みがきの少年たち(小泉博ら)と銀座の路上で働いている。ある日、宝石のイミテーションを作る黒川(三船敏郎)と出会う。その黒川は病身の娼婦(杉葉子)を救うが、彼女はユキたちの友人だった。
 他方、成金の赤澤(森繁久弥)は愛人(藤間紫)に宝石をねだられて、イミテーションを買い与えるが、それが本物と混同されて大騒動になる。
 この二つの出来事がコミカルに結びついていく。
 他に、清川虹子や柳谷寛、岡村文子ら。
 藤間の愛人役は板についている。後者の展開は純粋に楽しめる。
 だが、杉の娼婦や小泉の靴みがきの少年には無理がある。前者の展開は、喜劇としては中途半端。
 隅田川の花火や銀座の戦争の傷跡、勝鬨橋など、東京の当時の様子を堪能できるのは、うれしい。
 三船が堂々と「荒城の月」を歌います。

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