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塾長マジック!

それまでまったく遊びほうけていた小学生が、ある時から猛然と学習に夢中になることを、誰言うともなく「塾長マジック」と呼ぶようになったらしい。たぶん保護者の誰かがそれらしきことを言ったのだろう。確かにそう見えたのかもしれない。
だが、それは大いなる間違いだ。塾長は魔法使いでもなければ手品師でもない。生徒を自在に操れる杖も呪文も持ってはいない。故に「塾長マジック」など存在するべくもないのである。そんな便利な杖や呪文があったらと、ハリーポッターの世界を考えないこともない。それほど小学生と付き合うことはたいへんだが、これほどおもしろく愉快なことも、世の中には少ないと考えている。
浅学菲才ではあるが、長い年月、生徒と学び蓄積してきた知識が、言葉や行動となって生徒の秘められた能力を、強烈に刺激していることは考えられる。
それは決して「マジック」などではない。
たとえば「勉強は誰のためにするの?」と聞けば、1年生でも「自分のため!」と自信満々で答える。中には「お母さんのため!」と答えて笑いを誘うこともある。
だが「じゃ。人間はどうして勉強するのだろう?」と聞くと、答えはバラバラになってくる。「いい中学に入れるから!」「いい会社に入れるから!」などはまだ可愛い。「将来金持ちになるため!」とか「将来えらくなるため!」と答えられると愕然とする。「幸せになるためです!」などと答えられると、この子は絶対幸せにしてやりたいと思う。
「じゃ。いい中学に行かなくてもいいや、と決めたら勉強しなくてもいいのかなぁ?」「幸せになんてならなくてもいいと決めたら、勉強しなくてもいいのかなぁ?」と聞くと誰も答えられない。大人でも答えにくい問題である。
それを塾長は知識を総動員して、大脳学的に歴史学的に人類学的に哲学的に科学的に、詳しく説明していくと、生徒は不思議な世界にでもいるように、真剣に自分のことを考え始める。
そんな時、子どもの脳とは「なんとしなやかなことか?」「なんとみずみずしいことか?」と強烈な嫉妬すら感じる。
塾長は決して「勉強しなさい!」とは言わない。言ったこともない。むしろ、「君ならできる!」「君の脳みそは大天才なのだ!」「君自身と君を信じる者のために努力せよ!」「夢はあきらめない限り必ずかなう!」と大袈裟ではあるが、褒めて励ましている。
子どもであれ大人であれ褒められて、気分の悪い人間はいないだろう。そのうち、生徒は自らの力で何かをしなければならないと、気がつき自覚して実践を始める。もちろん、ここまで3ヶ月ぐらいはかかるが、2〜3週間で目覚める子も多い。
あとは学習習慣の自己管理、生活習慣の自己管理の方法を教え実践させるだけである。もし、「塾長マジック」と言えるようなものがあるとすれば、「自分とは何者なのかと言う種をほんの少しパラパラとまいている?」に過ぎないと思う。
その種は早ければ4年生、普通であれば5年生で芽を出してくる。子どもたちは鬼に金棒を持った、立派なチビ哲学者に生徒自ら変貌していくのである。by塾長


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