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風信雲書自天翔臨

「塾長!相談があるんですけど!」
「おう・・・?いいよ!」
中三の男子で成績は良い。本人の希望は東大に入ることが目標だ。小三の頃から見てきている生徒だから気心は知れている。塾に入会した当初から教室でつかみ合いの喧嘩をするような、元気の良い生徒だったから手のかかることおびただしい時期もあった。
「何か困ったことか?」
「はい・・・!あの・・・僕の将来はどうなるのか心配で・・・・・!」
「う〜ん!そうか!」
また弱気の虫が動き出したと直感した。事前に担当講師からは「親の期待にストレスを感じているようです!」との報告があったばかりなので、受験を3ヵ月後に控えいよいよ苦しくなってきたな?
と直感した。
「お前の将来か・・・?お前は誰のために、何のために勉強に努力しているんだ?」
「はい!自分のためです!」
「馬鹿者!それは小学生の答えだろ・・・!塾長の弟子の答えとしては非常に不満足だ!」
「はい!」
だいぶ落ち込んでいる様子で神妙な態度で聞いている。
「いいか良く聞け!塾長の最後の教えだ!お前の勉強は父親のためでも、母親のためでも学校の先生のためでも、塾長のためでもないのだ。ましてやもはやお前自身のための勉強でもない!この世にはお前を必要とする人間が100人いや1000人、1万人、10万人、100万人それ以上が、お前が世に出てくるのを待っているんだぞ!その人たちのためにお前の勉強はあるのだ!この高い理想が感じられないようなお前の勉強だから、悩み、迷い、苦しむんだ!お前の勉強には喜びというものがないのか?」
「はい・・・!」
「塾長は先日、どうしても空海さんに会いたくて京都高雄山の神護寺に行ってきた。だが、塾長は足が弱くてね。400段の石段を登れず、神護寺さんに電話をしてどうしても空海さんお会いしたい、とお願いしたら緊急用の道路を開いてくれて、秘仏の空海さんとお会いできた。空海さんはこの高雄山から有名な風信帖を高野山の最澄さんに書いたところで、どうしても行かなければならないと以前から考えていた。真筆の風信帖は国立博物館に秘蔵されているんだが、その冒頭の風信雲書自天翔臨と言う一句が好きで、その意味を実感したかった。だが、わずか400段の石段が登れないんだ。その時思ったんだよ。もっと早く来ていれば、もっと体調が良かったらとね。後悔したね自分の情けなさに!はいつくばっても昇れないんだ!わかるか?」
「はい!」
「後悔先に立たずだ!あの時こうしておけば、あの時こう考えておけば、すべては後悔だ!この歳になって塾長にも後悔することは多いのだよ・・・!お前には後悔の前にまずチャンスが来ているんだ。それをつかめ!大きなチャンスだぞ!わかるな?」
「はい!わかります!」
「たった数日しか空海さんに会うチャンスのない時に、塾長のようにたった400段の石段が、登れないようなぶざまな後悔を、お前にはさせたくない!巡ってきたチャンスを喜べ、夢中で勉強できることを喜べ、勇気がわいてくるぞ!結果は考えるな!小四の時の塾長との約束を思い出せ、あの時のお前は無敵だったはずだ!それを塾長は今でも信じている!いいな!」
「はい!」
数日して偏差値の結果が出た。70を超えていた。努力は報われる!by塾長

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