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チキンの冒険・第3章 十四、危険が迫る 何時の間にか、季節は夏になっていました。毎日毎日暑い日が続きます。ピンクは相変わらず元気が無かったのですが、子供達も他の親鶏達も、元気に暮らしていました。 ジョンは、何時もピンクの事を気にしていました。気にしていましたが、その事をピンクに毎日同じ様に繰り返し言ったとしても、ピンクの気持ちが晴れることがないと分かりましたので、そっとしておくことにしていたのです。 ピンクは、そんなジョンに寂しさを感じていました。感じていたのですが、それを口に出して言う事はありませんでした。『いつかは私の気持ちを分かって欲しい』と思いながら、寂しく静かに暮らしていました。 ナイフの家族とは、相変わらず別々の生活となっていました。ナイフと、その子供達のボビイとメアリーは遊びに来ていたのですが、ローラだけは、あの時以来一度も顔を出す事は無かったのです。そんな事もピンクを寂しくさせていた原因でした。 『どうしてローラはそんなに何時までも意地を張っているの。』と思いましたが、ピンクからも声を掛ける事は無かったのです。今でもピンクは、ローラにたいして、自分が行った行為は間違ってはいなかったと信じているのです。 子供達の成長はとても早いものでした。元気にすくすくと育って行きました。 サニーとチッチは、大人と見分けがつかない体にまで成長していました。 ボビイとメアリーは、相変わらずの悪戯好きです。特にボビイは、腕白坊主に育っていました。ボビイの悪戯には、ピンクもリリーも手をやいていました。 アンはとても可愛かった。可愛くてお喋り好きに育っていました。その姿は亡くなったチッチの再来を思わせる程です。ピンクは、そんなアンを特別に可愛がっていました。そこには、心に中に、亡くなったチッチとダブらせているものが有っていたのかも知れません。 そんな鶏達の生活が、何事も無く続いたのです。 鶏達は少しの不安や寂しさがあったものの、それなりの幸せを感じていました。 「暑いなあ今日も。」 真夏の日差しはとても強かった。 「出掛けなければいけないけれど、この暑さでは行きたくないなあ。」 「でも行かないと子供達の食べ物が無いぞ。」 この頃には、保存食作りも行っていましたので、天候の悪い日などは、保存食で暮らす事もできていたのですが、その保存食も底をついていました。 「そうか無くなってしまったのか。又、魚でも捕って来ないといけないなあ。」 雄鶏達はそんな会話をしていました。 それを聞いていたリリーが、「お願いね。一杯捕ってきて下さいね。」と、甘えるように言いましたが、ピンクは、相変わらず何も言いませんでした。ジョンを黙って見ていただけでした。 ピンクは、ジョンに何かを言って欲しかったのかも知れません。ピンクも、自分が何時までも黙っていても、何も変わらないという事は分かっていたのです。既にガンは一緒に暮らしている。今更これを変える事はできない。ガンに『出て行くように』と言う事はできなくなっていると分かっていたのです。皆がガンと暮らすことを認めている以上、自分だけが、何時までも反対している事もできなくなっていたのです。 『自分が我慢しなければいけない』そう考えを変えていました。 『嫌だけれど、そうするしかない。そうしないと、皆が私に気を使い、皆に迷惑をかけてしまう』 『皆で明るく暮らすことが、私が意地を張っていることによって壊れてはいけないのだ』そう考えるようになっていました。今でも、決してガンを許しているわけでは無いのですが・・。 そんな考えが有ったのですが、自分から皆の中に入っていく事ができなかったので、そのきっかけがほしかったのです。それをジョンに求めていました。ジョンが何かを言ってくれれば、それがきっかけになるのかと・・・。でも、ジョンはピンクに何も言いませんでした。黙って見ているだけでした。 ジョンはピンクに気を使っていたのです。ジョンはピンクの為に、余り何も言わないほうが良いと考えていたから、言わないようにしていたのです。優しく見守っていたのです。 お互いが、優しさから行っていた行為でしたが、それは優しさゆえに、少しだけすれ違いが発生してしまっていました。 雄鶏達は外を見ていました。外の様子を覗っていたのです。 「何時まで待っても涼しくなりそうにないなあ。」 「そうだよ。今日は特別に暑い日になった。」 その日は特に暑い日でした。蒸し蒸しした風が吹く、暑苦しくて嫌な日でした。 「出掛けるしかないか。」 「そうするしかないよ。でも今日は何か気乗りがしないなあ。」ジャックがそう言うと、ジョンもジャックの顔を見ていました。 「何だジョン。どうした。」 「そうか、お前も気乗りがしないのか。実は俺もその気がしないのだよ。どうしてかなあ。」 「そうか。お前もか。ふうん、どうしてかなあ。」 「うん、どうしてかなあ。嫌な感じがするなあ。」 ジョンはそんなふうに感じていました。何か胸騒ぎがするのです。 「でも行くしかないよ。行こう。」ガンが行こうと言ったので、雄鶏達は出掛ける事にしました。ビッグも黙って従いました。 「それでは行ってくるから。」ジョンはピンクにそう言うと、外に出て行きました。 ピンクは「うん。」と言葉短く頷いただけでした。 雄鶏達の不安は的中するのですが、今は何が起こるのか、勿論分かっていませんでした。 何時もの様に魚が豊富に捕れる川に来ていました。そして鶏達はそれぞれが魚捕りの体勢を取りました。 しかし、その日は川の様子が何時もと違っていました。魚が殆ど居ませんでした。待っていても魚が見つかりません。何時もならば、一時間もすれば誰でも数匹の魚が捕れるのですが、その日は誰も捕れませんでした。 「どうしたのかなあ。さっぱり捕れないぞ。」 「不思議だなあ、魚が居ないぞ。」 「何時もならばいくらでも居るのに、今日はどうしたのかなあ。」 「変だなあ。」 鶏達は知りませんでしたが、鶏達がここに来る前に、ここでは大変な事が起きていたのです。 そこ居た魚達は、驚いて何処かに行ってしまっていたのです。岩や草木の下に隠れてしまっていたのです。その理由は、野犬(オオカミ)の群れが、暴れるように川の水の中で遊んでいたのですから、魚達はそれに恐れて、何処かに隠れてしまったのです。野犬は、十頭近くの群れでした。その群れは、幾つかの家族の集まりのようでしたが、その行動はとても獰猛な獣と化していたのです。そんな事とは鶏達が知る余地もありませんでした。 「ジョン、これではいくら頑張っても捕れないよ。他の所に行ってみようよ。」 「そうだなあ。こんなに魚が居ないのでは、これ以上やっていても捕れないだろうなあ。」 「そうだよ。」 「でも何故居なくなってしまったのかなあ。」 「それは分からないけれど、とにかく他へ移ろう。」そう言いながら、更に遠くへ移動していった。 かなり遠く迄やって来ました。今までに来た事が無いくらいの遠い処です。 「ここでやって見ようか。」 「そうだな。ここなら捕れそうだな。よし、ここに決めよう。」 そう言いながら鶏達は川の中に入って行きました。でもそこにも魚は居ませんでした。 「どうしたことだろう、ジャック。こんなに魚が居ないなんて不思議に思わないか。」 「うん、思う。どうしたことだろう。」 「分からないなあ、何だろう。今までにこんな事は無かったからなあ。」 ジョン達は、それが何故そうなっているのか分かりませんでした。実はその場所も、野犬の群れが川を荒らし回った処だったのです。 「今日はもう捕れないよ。他の物を取って帰ろうか。」 「そうしようか。魚は諦めるとするか。」 その時です。ナイフが川の異変に気付きました。 そこの河原は石がごろごろと転がっている処でしたが、所々にある砂の表面に、無数の足跡が残されていたのです。その数は、とても多くの群れと直ぐに分かる、数多くの足跡でした。しかもその足跡は今までに見た事がない物でした。 「これは、何の足跡なのか。」 「何だろう。狐やウサギでも無いし、鳥でもない。熊のように大きくも無いよ。」 「何だろう。熊より小さくて狐より大きな者か。」 「そのようだな。しかもこれは相当に大きな群れだぞ。」 ジョン達は警戒をし始めました。今までに見た事も無い動物が、近くに居るのは間違い有りません。 『何だ、何が居るのだ。』誰もがそう思って警戒していました。 「ジョン、少し辺りを見回ってみよう。」ジャックがジョンに、この足跡が何の足跡か調べようと言ったのです。 「それはいいが、気を付けないとな。」 ジョンは慎重になっていました。 「分かっているよ。皆、離れないようにしよう。それと、できる限り余分な声を出すな。聞かれないようにしようよ。」 「そうだ。静かに行こう。」 ジョン達は、足跡の向かっている方に、声を出さないで静かに歩いて行きました。 その足跡の主が何であったのかは直ぐに分かりました。その動物はそれほど遠く迄移動していなかったのです。 「シッ、動くな。隠れろ。」 ジョンは後ろに付いてきていた皆に『静かにしろ』と合図した。そして、その動物を指差した。 そこには野犬の群れが、群れ同士で戯れていました。ジョン達は野犬を見るのが初めてでしたが、その動物が、ジョン達にとって、とても危険な動物だということは直ぐに分かりました。 ジョンも他の鶏達も恐ろしくなってきた。 「あんなに多くの群れが居たのか。それもこんなに近くに。」 「見つかったら危ないぞ。」 「急いで帰ろうぜ。子供達を守らないと。」 「そうだ、俺達の住処が見つかったら唯では済まなくなってしまう。怪我をする位では済まないぞ。」 「当たり前だろう。戦える相手では無いだろう。」 鶏にとって、野犬はとても戦える相手ではありません。熊と戦うよりも難しい相手です。野犬の方が熊よりもはるかに素早い動きをするのです。もしも鉢合わせをするような事があったら逃げる事もできないでしょう。 怖くなってきました。 見ているだけで体が寒気を感じました。 夏なのに異常な寒さを感じました。 体がブルブルと震えました。 それはどの鶏も同じでした。この様な危険を感じたのは、熊と遭遇したとき以来です。否、それ以上に大きかった。あの時は子供も居なかったのですが、今は子供もいる、家族がいる、だから怖さをあの時以上に感じるのです。 家族を守るという責任感が、一層怖さを感じさせるのです。『家族、子供達を危険なめに遭わせたくない。』 「ジョン、帰ろう。」 「ああ、帰ろう。」 「急いで帰ろう。」 「大変だ。」 皆は同じ思いでしたから、急いで帰って行きました。 つづく
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チキンの冒険
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前ページよりつづく その翌日からガンと一緒の生活が始まりました。 ガンは、ピンクにも他の鶏達にも謝りました。一生懸命に必死に謝りました。皆の反応は冷ややかでした。誰も許すとは言いませんでした。言いませんでしたが、ガンはその日からここで暮らすことになったのです。「済まない、済まない。」と言いながら穴の隅で申し訳なさそうに座っていました。 勿論ピンクはガンの顔を見ようともしません。ピンクは目を合わせるのが怖かったのです。 ガンも、ピンクの気持ちを察して話し掛けようとはしませんでした。 他の鶏たちも同じでしたが、ジョンとジャックだけは少しだけガンと話をしていました。 ピンクは、そんなジョンを情けなく思っていました。悲しくて寂しく思っていました。 そんな暗い雰囲気でしたが、鶏達の生活は何事も無かったように続いていました。 この頃になるとガンも他の雄鶏と一緒に食べ物探しを行っていました。ガンには、話し掛ける者も少なかったが、ガンは自分のしたことを考えるとそれは仕方がないことと思っていました。ガンは、皆の許しが貰えるまで一生懸命に働こうと考えていたのです。 ジョンの指示にはとても素直に従っていました。そんなガンを、ジョンもジャックもナイフも、出来る限り普通に扱おうとしていたようです。 子供達は、ガンが行ってきた悪い事を正確には知らされていないので、知らない間になついていました。ガンも子供達との会話がとても楽しそうにしていました。今のガンにとっては、子供達と遊んでいる時が、一番心の休まる時だったのかもしれません。 何時の間にかガンの体は、健康を取り戻していました。足は少し引きずっているものの、普通に歩くのには支障の無い程度にまで回復していました。ここに来てからの豊富で栄養のある食事を取り、回復はとても早かったのです。 ピンクは、この頃元気が有りませんでした。ジョン達はガンと仲良くやっているように思える。子供達もガンになついて遊んでいる。そんな生活は、上辺だけはとても幸せそうな仲間達に見えるのですが、心の中は冷たい風が吹いていました。特にピンクの気持ちはとても冷ややかになっていました。誰もピンクの気持ちを分かっていないように思えたのです。それはジョンも例外ではありませんでした。ジョンは、『ピンクの辛い気持ちを分かっているよ』と、ピンクに向かって口では時々言うのですが、それも空しく聞こえるのでした。 幸せとは何処にあるのだろうか。欲しい物は何でも揃って、子供達にも恵まれて、何の不満も無いはずなのですが、心の中は益々満たされないものになっていくのです。むしろ、幸せが遠くなっていくように思えるのです。何故なの、何故なの・・考えても考えても分かりませんでした。考えれば考えるほど寂しくなっていくのでいた。 つづく
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チキンの冒険・第3章 十三、ピンクの気持ち ピンクもリリーも、雄鶏達の不信な行動に疑問を持っていましたが、あえてそれを追求しないようにしていました。それは、雄鶏達から、何故そうしているのかを言ってほしかったからです。ところが、待っていても何の説明もありませんでした。 ピンクは、ジョンとは何でも話し合ってきていたから、このことで、話がないのを不満に思いました。そして待ちきれずに聞き出すことにしたのです。 「ジョン、私と貴方は何でも隠し事をしないようにしてきたわよね。私は何でも話してきたつもりよ。ジョン、貴方はどうなの。」 ジョンに向かい、静かではあったが強い口調で聞き始めた。 ジョンは胸がドキッとするものを感じた。ばれていたのか、それとも未だ気付いていないのか。あるいは何を言っているのか、直ぐには判断できませんでした。 ジョンは、暫くピンクの顔を見ていました。 ピンクの視線は、強くジョンを見返していました。睨み合いのように感じるほどです。 ジョンは観念しました。話そうと決心したのです。 「ピンク、驚かないで聞いてくれるか。」 「やっと話す気になったのね。良いわよ、驚かないわよ、今までにさんざん驚いてきたからもう慣れたわよ。そんなに驚く事も無いでしょう。」 ピンクは落ち着いていましたが、今からジョンの話す事には予想もつかない事だったのでビックリしてしまいました。驚かないと言っていましたがそれは直ぐに覆されました。とても驚きました。そして怒りに変わってきました。 「ピンク、実は・・ガンが、この近くまで戻って来ているのだ。ガンは体を痛めていて食べ物を自分で取る事ができなくて、それでジャック達が運んでいたのだよ。」 ピンクは、ガンが近くにいたということにも驚きましたが、それ以上に驚いたのが、ジャック達が食べ物を運んでいるという言葉でした。『どうしてなの』という表情をしていました。『どうしてジャックがガンに食べ物を運ぶの。ガンは私にとっては許せない相手よ。それなのにジャックが食べ物を運ぶなんて、一体何を考えているのよ。ジョンはそれを知っていてどうして黙って見ているのよ。』そんな気持ちでした。怒りと悲しみが湧いてきました。 しかし、直ぐには言葉に出ませんでした。それ位にガンが近くにいたということが、ショックな出来事でした。 そんなピンクの表情を見て、ジョンは心配になってしまいました。やはり言わない方が良かったのかと後悔し始めていました。 リリーがジャックに問いただした。 「ジャック、貴方はガン達が何をしたのか分かっているの。そんなガンに貴方は。」 「分かっているよ。」 「分かっていて、そのガンに食べ物を運んでいるの。」 「ガンは謝りたいと言っているのだ。謝ろうと思って、傷ついた体なのにここまで戻って来たのだよ。」 「謝る。謝って済むこと。ガン達のしたことはそんなに簡単に許せることなの。」 「許せない事だと思うけれど。」ジャックもリリーの怒ったような追及に、返答に困ってしまいました。 ピンクが突然話始めた。 「貴方達は、貴方達は一体何を考えているのよ。あの時に私達がどんな思いをしたのか。どれほど辛い思いをしたのか分かっているの。チッチがどうして亡くなってしまったのか分かっているの。どれほど傷ついたのか分かっているの。貴方達は・・一体何を考えているのよ。」そう言うと怒りに震えていました。そして涙を流していました。 ジョンは、やはり言わなければよかったと反省していました、ですがそれはもう遅かった。 ジョンは、ピンクの気持ちは良く分かっていました。最初にガンに会った時はジョンも同じ気持ちだったのです。怒りをガンにぶつけました。ぶつけたが、ガンの変わり果てた姿と、余りにも弱々しい対応に怒りが消えていったのです。 雄鶏と雌鶏の怒りの大きさに違いがあると言ってしまえばそれまでですが、雄鶏は怒りを押さえてでも、この先をどう対応していこうかと考えて、今の食事を運ぶという行動に繋がっていたのです。心から許していたのではありません。 しかし、雌鶏達は、特にピンクは許せないものと許せるものとはハッキリと違うと考えていた。当然、ガンのしたことは許せないことです。子供を死に追いやった。そんなガンを許せるはずがなかったのです。憎むべき相手でした。そんなガンに、何も怒りを感じていなくて、食事まで運ぶという行動が理解できなかった。 「ジョン、私は貴方を見損なったわ。貴方がそんな人だったなんて。私は悲しいわ、失望したわ。」ピンクは静かでしたが、深い悲しみに包まれていました。 「貴方はその程度の感覚だったのね。私は今まで貴方に騙されていたのね。辛いわ。貴方がそんな程度に考えていたなんて・・。」 ジョンは、ピンクのこのような反応を見て、どう対応したら良いか分からなくなっていました。ピンクが怒ってくれれば、それに対して話もできるのですが、このように悲しまれてしまうと掛ける言葉が見つかりませんでした。 「ピンク。」そう言うのがやっとのことでした。 「近寄らないで。」ピンクはジョンに、傍に来るなと言ったのです。 ジョンは驚いてしまいました。今までに『傍に来ないで』と言われた事はありませんでした。『傍に居て欲しい』と言われて何時も一緒に居たのですから、近寄らないでと言われたのには驚きました。そして、どうしたら良いのか分からなくなってしまいました。 ピンクは泣いていました。小さく震えて泣いていました。その悲しみはとても深く感じられました。 皆、黙ってしまいました。何を言ったら良いのか、言葉が見つかりませんでした。 しばらく重い沈黙が続きました。 「なあピンク、ジョンはお前の悲しみや怒りは良く分かっているのだよ。ジョンの話をもう少し聞かないか。」ジャックがピンクにそう話し掛けましたが、ピンクは返事をしませんでした。 「ジョン、お前の正直な気持ちを話したらどうか。」ジャックが、ジョンに話すようにと促した。 「ああ。」ジョンはそう言うと、 「ピンク、話しても良いか。」と、聞きましたが、尚もピンクは返事をしません。ジョンの顔を見ようともしませんでした。 「あのな、ピンク。」ジョンは話し始めた。 「俺だってガンを許せないよ。一度も許したとは思っていないよ。それは思えるはずが無い事だよ。ガンが直接手を下した訳ではないけれど、あの争いの後に可愛いチッチが亡くなってしまったのだよ。そんなガンを許せない気持ちは、お前と同じだよ。」と、そこまで話したら、突然怒ったようにピンクが言った。 「そうよ、ガンは私の子供を殺したのよ。それなのに貴方は、貴方は。」怒りを込み上げて言うと、泣き声が更に大きくなった。 「お前の気持ちは良く分かるよ。良く分かるけど、あいつは謝ろうと考えて戻って来たのだよ、だから。」 「だから何よ、だから何よ、許してやれと言うの貴方は。」再びジョンが話し終わらないうちにピンクが言った。 「許す事はできないさ。それは俺も同じだよ。でもなあピンク、謝ろうとして戻って来たのだから、会うだけは会ってみたらどうか。」 「嫌よ。会いたくないわよ。貴方は分かっていないわよ。」 ピンクはジョンに怒っていました。今まで、あの忌まわしい出来事を忘れようと努力してきて、やっと今の落ち着いた生活に戻ってきたのに、ガンと一緒に生活する事になったら、毎日あの辛い出来事を思い出さなくてはならない。そんなことをジョンは分かっていない。それを分からないジョンに対して怒っていました。 「ガンも良く考えて、そして反省したと思う。だからこうして戻ってきた。戻ってくれば皆が如何するのか。皆に叩かれて殺されてしまうかもしれない。そんなことがあったとしても、それでも謝ろうとして戻ってきたのだと思う。だから、ガンの気持ちも考えてやろうよ。」 ピンクは、益々悲しさと怒りを感じてしまいました。 『貴方は私の気持ちよりもガンの気持ちの方が大切なの。』そう言いたかった。 でも、そうは言いませんでした。言う気持ちも無くなってしまいました。 「あいつは仲間割れの争いの傷で、冬の間あまり食事を取れなかったようで、それで随分痩せていた。あいつはあいつなりに苦労したのだよ。」 『当たり前でしょう、そんな事は。』と言いたかったがそれも言いませんでした。 「だからなピンク、あいつをここに入れてやろう。な、ピンク。」 ピンクは、悲しくて寂しくて言葉が出ませんでした。 「・・・・・。」 「・・・・。」 「・・・・・・。」 皆、黙ってしまいました。何も言えなくなってしまったのです。暗い重い沈黙の時間が過ぎていきました。 「そうしたかったらそうしたら・・。」ピンクが、小さなか弱い声で寂しそうにポツリと言いました。 「ピンク、ごめんな。お前の気持ちは良く分かっているから。」 「もうどうでも良いのよ。貴方がそうしたいならそうしたらいいじゃないの。」 「そんなふうに言わないでくれよ、ピンク。俺だってそうしたくてそうするのではないよ。あいつが近くまで来てしまったから、このまま外に置いて置くと言う事もできないと思ってな。」 「貴方はお人好しよ。どうにもならないお人好しのバカ。」 「ごめん。」 又、皆の沈黙が続いた。 随分時間が経ったような気がしました。 「私は怖いの。とても怖いわ。」ピンクはガンが怖かった。ガンは子供を亡くしてしまった鶏達の仲間。悪魔のような鶏と感じていた。 「私は決してガンを許さないわ。話しをすることも嫌。一緒に暮らす事になっても傍には近寄らせないでほしいわ。」 「分かったよピンク。ガンを近寄らせないようにするよ。」 「ジョン、夜は私の傍から離れないで傍に居て。昼でも、決してガンと私だけにしないで・・お願い。」 ピンクは本当にガンが怖かったのです。ガンが傍に来るなどということは考えられないことでした。 「うん、そうするよ。だから安心してくれピンク。」 ジョンは安心するようにと言いましたが、ピンクはそんなジョンが、信用できなくなっていました。安心できなくなっていました。ジョンの気の良さが、ピンクを不安にさせていたのです。 次ページにつづく
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チキンの冒険・第3章 十二、許せるのか、許せないのか ジャックは返答に困ってしまった。 明らかにその態度には動揺が見られます。 ピンクに言われてしまった事で更に動揺が大きくなりました。リリーに指摘されたならば適当にあしらって答える事もできたのですが、ピンクではそれが出来なかった。 「あ・・うん・・ああ・・その・・外で食べようと思って・・そう、そうだよ。」 「外で食べる。貴方、たった今食べたばかりじゃないの。」 「ああ・・そうだった。」しどろもどろの返事でした。 「何を言っているの、ジャック。」リリーも聞いてきた。 「私も、最近の貴方が変だと思っていたけど、何時も何処に行っているの。」 「え、いや、何処にも・・ん、うん。」 「何処にもって、貴方、食べ物を持って何処かに行っているでしょう。」 「ああ、あの・・外で。」 「嘘を言っては駄目よ。貴方は食べてはいないわ。」 「ああ・・あ、そう。」 「何を言っているのよ、はっきりと言いなさいよ。貴方らしくないわよ。」 「ああ、そうか。」 リリーは明らかに動揺しているジャックを見て、何かを隠しているとは思いましたがそれ以上には追求しませんでした。 「良く分からないけれど、人に言えないような事は駄目よジャック。」と、ピンクが言いました。 「ああ分かった、ピンク。」 そう言うと食べ物を持って出て行きました。 ジョンはそんなジャックを黙って見ていました、そして、ジャックの後を付けて行きました。 そこには既にナイフが来ていました。 ジャックはそこまで来ると、食べ物をもう一羽の鶏に渡した。 ジョンは、その鶏が誰なのかは直ぐには分かりませんでした。 暫くジャックとナイフとその鶏の様子を見ていました。その鶏は、ジャックが渡した食べ物を美味そうに食べていました。 『ジャックとナイフはあの鶏に食べ物を運んでいたのか。それにしてもあれは・・。』 ジョンはジャック達の処に行く事にしました。 驚きました。とても驚きました。やせ衰えて汚いガンだったのですから。 「ガン、お前、何でここに居るのだ。」 「ああ、ジョンか、俺はお前達に謝ろうと思って戻ってきた。」 「謝る。謝るだと。お前になんか謝って欲しくもないよ。」 「そうか、やはり。」 「当たり前だろう。お前、俺達に何をしたのか覚えているのか。」 「あの時は本当に済まない事をしたと思っているよ。」 「済まない事をした。そんなことで済む事か。お前は、お前達は、俺の子供を殺したのだぞ。チッチが亡くなってしまったのだぞ。」思い出したら怒りが込み上げてきました。 「済まない、済まない。」ガンは済まないと繰り返していました。 「済まないとしか言えないのか。」言葉が荒々しくなってきました。 ジャックとナイフは黙って見ていましたが、ジョンに言いました。 「ジョン、お前の気持ちは分かるが、もう少し落ち着いて話が出来ないか。」 「落着け。これが落ち着いて話せる事か。」 「お前の気持ちは分かっているが、ガンの話も聞かないか。それになジョン、お前の子供を死なせてしまったのはガンではないだろう。」 「それはそうだが、ガン達がいなかったら、こうはならなかった。」 「でも、ガンではないよ。ガンがチッチを亡くさせたのではないよ。」 「それでも。」 ジョンはガンを、怒りの気持ちで睨み付けていました。 しかし、この時のガンはやせ衰えて弱々しく、ジョンを直視する力もない様子でした。 ジョンはそんなガンを睨んでいましたが、やがてそのみすぼらしい姿をみていると哀れにも感じて、睨み付けるのは止めました。グッタリとしているその姿を見ていると、自分だけが怒っているのが、ばかばかしくなってきたのです。 ジャックは落ち着いたジョンを確認すると、ゆっくりとした話し振りで言いました。 「なあジョン、ガンはピンクにも謝りたいと言っているけれど、どう思う。ピンクが許してくれるだろうか。」 「許さないだろう。それは俺も同じ気持ちだよ。」 「そうか。どうしても許してくれないか。」 「それはそうだよ。子供を死なせてしまったのは、ガンでは無いことは分かっているが、それが切っ掛けだったことは間違いないよ。」 「そうだよなあ。」 「当たり前だろう。ピンクは、今は気にしないで暮らせるようになったけれど、そうなるまでには大変だったのだよ。女にとって、母親にとってそれがどれほど苦しいことか・・。」 「・・・・。」 「それはとても悲しくて忘れられない事だよ。ガンが近くで暮らしていたら、何時もそのことを思いださなければならなくなってしまう。それは辛いことだ。そんなに辛い思いはさせたくないよ。」 聞いていたガンがオイオイと泣き出した。 「済まない、済まない、ピンクにそんな思いをさせてしまって済まない。」 「お前はそうやって済まないと言っていればいいが。」 「ピンクに会いたい。会って謝りたい。会わせてくれないかジョン。」泣きながら会いたいとジョンにすがった。 ジョンは『それは出来ないことだ』と考えた。 「無理だよガン。会わせられない。」 「無理か。」 「無理だな。」 ピンクには会わせられないということで意見が纏まり、ガンは、暫くはそこで暮らすことになった。 食べ物はナイフとジャックが、今まで通りに運ぶことにしました。 ジョンは、知っていても知らない振りをしておくという事にしました。 そんな雄鶏達の企みは直ぐにばれてしまうのですが、雄鶏達の考えは単純で、そんなことが続くものと考えていました。 つづく
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チキンの冒険・第3章 十一、ガンが戻って来た ジャックとナイフは外で遊んでいました。 ジャックとナイフは久しぶりにのんびりとしていたのです。今の幸せをお互いに話し合い、確認をし合っていました。 「ローラは元気か。」 「元気だよ。相変わらず強いよあいつは。」 「そうだろう。お前はローラには頭が上がらなくなっているのだろう。」 「いやあ、そうでもないけどあいつは結構頑固な処があるからなあ。付き合っている時はこんなに強い奴だとは思っていなかったよ。」 「アハハハ、お前はローラに騙されたのか。」 「そういうことじゃないよ。騙されてはいないよ。あいつは子供ができてから強くなったということだよ。」ナイフがむきになって言い返した。 「そう怒るなよナイフ。それにしてもお前はローラに惚れているなあ。」 「そうでもないけど、本当にあいつは良い奴だよ。」 「分かった、分かったよ。お前を見ていると幸せそのものだなあ。」 「そうかなあ。そう見えるのか。」 「見える、見える。」 「アハハハハ。」 「アハハハハ。」 「処でジャック、ピンクはその後どうだ。」ナイフが、ピンクがその後ローラのことをどう思っているのかと聞いてきた。 「ピンクは、今はそれほど怒ってはいないよ。ローラが戻ってくるというなら何も言わないで迎えると思うよ。」 「そうか。もう怒ってはいないか・・。」 「戻って来るか。」 「そうだなあ。そうすれば良いと思うがどうかなあ。素直には戻ると言わないだろうなあ。」 「頑固か。」 「そう。」頭を掻いた。 「そうか。仕方が無いなあ。もう少し待つか。」 「そうだなあ。」ナイフは一緒に暮らした方が良いと思っていたのですが、ローラには言い出せなかったのです。 暫く黙っていましたが、ナイフが話し始めた。 「このことさえなければ俺達は幸せだよなあ。最初にジョン達と出てきたときの苦労のことを考えると本当にそう思うよ。」ナイフは遠くを見つめながら言った。 「お前達は苦労していたのだなあ。俺達はお前達がそんなに苦労しているとは思わなかったよ。きっと良い暮らしをしていると思ったから、俺達は追いかけて出て来たのだよ。」 ジャックがそう言うと、 「それは聞いたよ。」 「お前達と一緒に出て行った仲間の多くが死んでいたなんて考えてもいなかった。」 「あの一年は辛かったよ。」 「それは良くわかるよ。だから俺達は子供達にはそんな思いをさせたく無い。」 「そうだ。それはそうだよ。」 「がんばろうな。」お互いに励ましあっていました。 「ああ、頑張ろう。ローラの為に頑張ろう。」 「ローラの為。何を言っているお前は。本当にお前はローラ呆けしているぞ。」 「そうか。アハハハ。」 「アハハハ。幸せな奴だお前は。」 「アハハハハ。」 そんな会話は、たわいがなくてとても楽しいものでした。 男同士の、のんびりとしたこんなひと時がとても楽しいのです。気が休まる時間なのです。 そんな時です。 一羽の鶏が遠くから近づいて来ました。その鶏は痩せて薄汚れていました。足取りもフラフラとしていて、とても危なっかしいものでした。 ジャックとナイフはそれに直ぐ気が付きました。 「おいジャック、あれを見ろ。」 「うん、なんだあれは。」 そう言うとその鶏がもっと見える方に近づいて行きました。 「あれはガンではないのか。」 「そうだ、ガンだよ。」 「あいつ、生きていたのか。それにしても痩せたなあ。」 「汚いなあ。」 暫くガンを観察していました。 ガンは明らかにこちらの方に戻って来ているのです。こちらに向かってフラフラと歩いて来ています。 「あいつはこちらに来るぞ。」 「戻ってくるつもりか。」 「それはまずいぞ。又、喧嘩になるぞ。」 「そうだな、どうしようか。」 「とにかくあいつを止めよう。」 そう言うと、こちらからガンの処に駆け寄って行きました。 ガンはそれに気付きました、そして、ジャックとナイフに会えて喜んでいました。 「ガン、どうしたのか、ずいぶん痩せたなあ。」 「ああ、この通りだ、どうにか生きているけれど。」 「それにしても痩せたなあ。それに汚いぞ。その汚れ方はどうしたのだ。」 「ああ、体を洗っていないからなあ。」 「足はどうした。」足を引きずっていましたので、その事を聞きました。 「傷めてしまったよ。それ以来、思うように動けなかったけれど、どうにかこうして歩けるようになったよ。」 「どうして。」 「ああ・・ロック達と喧嘩をしてしまったよ。そのときに・・。」 「そうかあ。仲間割れをしたのか。」 「ああ、俺は間違っていたよ。あいつらは悪い奴らだ。」 「そうだなあ、そんなことは、分かっているよ。」 「それでロック達は・・。」 「どこかに行ったけれど、分からないなあ・・。」 「そうかあ・・、その足で、冬の間はどうして暮らしていたのか。」 「動けないし、食べ物はないし、どうにもならなかった。穴の中に有るものなら何でも食べた。草の根も、虫も、土でも食べたよ。」 「土、土を食べたのか。」 「食べた。」 「そうか。土まで食べたのか。」 「辛かった。死んでしまうのかと思っていたけれど、不思議な事に今まで息伸びることが出来たよ。」 「食べる物も無くて、良く今まで生きていられたなあ。」ジャック達はガンの薄汚い姿を眺めながら感心していました。 「外が暖かくなっているのが分かっていたが、未だ体が痛くて動けなくて、やっと動けるようになったので来たよ。」 「来たと言って、お前まさか俺達と一緒に暮らすつもりか。」 ナイフは、ガンの気持ちが分からなくて聞きました。 「そうだよ。俺は穴の中でずっと考えていた。もし春まで生きていられたら、皆の処に戻ろうと考えた。そして謝ろうと、謝ってもう一度一緒に暮らしたい、そう思った。」 ジャックとナイフは顔を見合わせていた。信じられないと思った。 仲間がジョンとピンクが、そんなに簡単にガンを許すとは思えなかった。絶対に許さないだろうと考えた。 「お前、戻って許しを請うと言っても、そんなに簡単な事では無いぞ。ジョンとピンクの気持ちが分かっているのか。あの後にチッチが亡くなってしまったのだぞ。」 「なに、チッチが。」 「そうだよ、ピンクがどれほど悲しんだのか・・わかるのか、お前。」 「そうかあ・・そうだったのか、それならば尚更謝るよ。謝らなければいけないだろう。」 「誤るといっても、そんなに簡単には・・なあ・・。」 「それはちょっとなあ・・。」 ジャックもナイフも困ってしまいました。 このままガンを連れて帰ることはとても出来ませんでした。 「なあガン、俺達はお前が戻ってくる事はかまわないけれど、ジョンとピンクのことを考えるとそれはやはりまずいことだよ。」 「いけないことか。」 「お前、考えても見よ。お前のした事がどれほどの事かを。」 「そうか。」ガンも、ハアーと大きな溜息をついていました。と、フラフラとしながら座り込んでしまった。 「お前、もしかしたら食べていないのか。お腹が空いているのか。」 「今日は朝から何も食べていない。腹が減って。」 「腹が減っているのか。」 「分かった少しここで待て。ナイフ、お前の処に何か食べ物が残っていないか。有ったら持ってきてくれないか。」 「分かった、持ってくるよ。ジョン達の処から持ってくるわけにはいかないからなあ。」 「そうだよ。どうしたと聞かれたらまずいよ。」 「分かった。直ぐに行って来るよ。」そう言うとナイフは戻って行った。 ジャックはガンを暫く見ていたが、 「なあガン、お前、戻るといってもなあ・・今、お前がピンクの前に現れたら、ピンクはどうなってしまうのかなあ・・ここは暫く・・俺とナイフが皆の様子を聞いてみるから、それまで待ってくれないか。それからで良いだろう。それまではここで見つからないように暫く暮らしていてくれ。」 「ここでか。」 「そう、ここで。」 「そうか分かった。そうした方が良いのならそうするよ。皆に会えるようになるまで、ここで待つよ。頼むよジャック。皆には俺の気持ちを良く伝えてほしいよ。」ガンはジャックにお願いをした。 ジャックはお願いされたものの、如何したら良いのかを考えると困ってしまいました。 それは簡単には言い出せなかったことでした。 暫くするとナイフが戻ってきた。 「ローラに気付かれなかったか。」 「大丈夫だよ。」 「そうか、それは良かった。」 ナイフがガンに食べ物を渡すと、ガンはそれを一気に口の中に放り込んだ。夢中で食べました。相当にお腹が空いていたようです。 ジャックとナイフは、それをあきれ返るように見ていました。 「お前、本当に食べていなかったのだなあ。」 「美味い、美味い、こんなに美味い物を食べたのは久しぶりだよ。ありがとう、ありがとう。」 ジャックもナイフも、そんなガンを見ていると、哀れに感じてきました。 「ガン、俺達が食べ物を運んでやるよ。暫くここで休んで、もう少し体を直せ。」 「すまない、すまないなあジャック、ナイフ。」 「良いってことよ。」 「それよりも、俺達が良いと言うまでここに居てくれよ。」 突然現れまいかと心配になり、念を押しました。 「分かったよ、お前達に心配かけないようにここで待っているよ。」 「頼むよ、ガン。」 ジャックとナイフはそれぞれの処に戻って行きました。戻って行きましたが、家族や仲間達には、ガンに会ったことは言いませんでした。
そしてその後は、食べ物を少しずつ分からないようにして運んでいました。でも、雌鶏達の感は鋭かった。 ジャック達のそんな不自然な行動は、母親達には直ぐに分かってしまいました。 「ジャック、貴方それを何処に持って行くの。」ピンクがジャックに問い掛けました。 つづく |



