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利潤追求が企業の存在意義の1つである以上、会社の経営者が総額いくらになるか分からない費用負担の要請を「受け入れられない」と言うのは、企業の論理としては間違っていない。 しかし、その会社が地域の人々に未曾有の公害病をもたらし、その後も適切な措置を取らず被害を拡大させた企業であるならば、話は別だ。 目の前に被害に苦しみ、救済を求める人々がいるからには、企業の論理よりも原因企業としての責任を果たすことを優先すべきだろう。 与党のプロジェクトチームがまとめた水俣病未認定患者の救済案について、チッソの後藤舜吉会長が受け入れ拒否の意向を表明したことに対する、私たちの率直な思いである。 与党が示した新救済案では「解決への展望が持てない」というのが、チッソ側の拒否理由だという。 その根拠として、後藤会長は(1)1400人を超える未認定患者がチッソ相手に損害賠償訴訟を継続中で(補償)問題が再燃しないという保証がない(2)救済対象者数が不明で新たな負担額が見通せず、現状の収益力では対応が困難(3)新たな費用負担の根拠を株主や従業員、金融機関に説明できない‐などを挙げた。 一方で「(補償が)これでおしまいとは言っていない」と述べ、チッソを事業会社と補償会社(資産・債務管理会社)に分ける分社化構想には「ぜひ実現したい」と意欲をみせた。 分社化が実現すれば、一時金を含めて負担が重荷となっている水俣病関連費用の支払い能力の問題も解消する、というわけだろう。 企業の経営責任者の言い分としては当然かもしれない。だが、そこでは原因企業としての責任論が、企業の論理の後ろに追いやられていないか。私たちが危惧(きぐ)するのはその点だ。 水俣病患者救済は、1973年の1次訴訟の患者勝訴を受けて結ばれた補償協定が原点だ。その協定によって、行政認定された患者がチッソの補償を受けるという現在も続く救済制度が確立した。 その協定の前文で、チッソは「患者の発見に努め、救済に全力を挙げる」と約束している。しかし、救済を待つ未認定患者は95年の「政治決着」後も増え続けている。 この現状に対する原因企業の救済責任も当然続く。チッソには最後までその責任を果たしてもらわねば困る。 同時に、救済責任はチッソにだけあるわけではない。関西訴訟の最高裁判決で法的責任を指弾された国と熊本県も当然負うべきである。 水俣病問題の解決策を政治に委ね、行政が救済責任を自覚せず、現行認定基準に固執して柔軟で公平な補償制度を探る努力を放棄していたのでは、水俣病問題の解決はいよいよ遠のく。
2007/11/25 西日本新聞
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公害病とは
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公害病 公害病(こうがいびょう)とは、 人間の産業活動により排出される有害物質により引き起こされる病気である。大気汚染が原因のぜんそくや水質汚濁が原因の有機水銀中毒、カドミウム中毒などがあげられる。 これら人体に有害な物質が、水(地下水や河川水)、空気中の浮遊物、ガス、食物などを通じ、引き起こされた。近年は、揮発性有機化合物等の吸引によるアトピーやアレルギーも公害病とされている。 四大公害病 日本では、特に高度経済成長期、つまり1950年代後半から1970年代に、公害により住民へ大きな被害が発生した。このうち被害の大きいものを「四大公害病」という。 水俣病 熊本県水俣湾で発生したメチル水銀による水質汚染を原因とする 第二水俣病(新潟水俣病) 新潟県阿賀野川流域で発生したメチル水銀による水質汚染を原因とする 四日市ぜんそく 三重県四日市市で発生した主に硫黄酸化物による大気汚染を原因とする イタイイタイ病 富山県神通川流域で発生したカドミウムによる水質汚染を原因とする |
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