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年を取れば動きが鈍くなるのが当然だと思い込んでいる高齢者が多いが、試験的プログラムにより、このような誤解は簡単に解消できることが示された。 今回の研究では、運動をしない65歳以上の高齢者46人を対象に、週1回1時間、計4回のグループセッションを実施。このセッションでは、健康指導員が「再帰属訓練(attribution retraining)」と呼ばれる技術を用いて、年を取れば運動をしなくなるのが普通だという考えを改め、高齢になっても運動を続けることが可能であると考えるよう指導を行った。毎回のセッションの後は、筋力、耐久性、柔軟性のトレーニングなど1時間の運動講座を実施した。 研究期間中、参加者の1週間ごとの歩行歩数(電子歩数計により測定)は2万4,749歩から3万707歩に増大(24%増)。また、精神的健康についてのQOL(生活の質)が改善され、日常の動作の困難や痛みが少なくなり、活力が高まったほか、睡眠も改善されたという。 研究を行った米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のCatherine Sarkisian博士によると、この再帰属訓練は、教育面では極めて大きな成功を収めているが、運動面の介入についてはこれまで試されていなかったという。この研究は、米医学誌「Journal of the American Geriatrics Society」11月号に掲載された。
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介護と高齢化
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医療福祉の底上げが急務 交通事故や転倒などで頭を強打して脳に外傷を受けた場合、精神面に深刻な後遺症が残ることがある。数分前のことを忘れてしまう記憶障害、注意力の欠如、思考力や意欲の低下、感情や欲求のコントロール低下、人格の変化など高次脳機能障害と呼ばれる症状だ。患者と家族は日常生活、社会生活で大変な困難に直面する。 患者は最低でも三十万人との推計もあるが、ほとんどがきちんとした診断を受けておらず、障害者であることを認識しないまま症状に戸惑い苦しんでいる。障害者年金、福祉サービスを受けていないケースも多いと考えられる。 そのような患者、家族を掘り起こして支援し、医療福祉の整備を求めてきたのが県内の家族会「脳外傷友の会・ナナ」(初代会長・東川悦子氏、現会長・大塚由美子氏)だ。全国三番目の家族会として、一九九七年に患者・家族(正会員)五十四人でスタート。きょう二十五日に十周年大会を開く。現在の正会員は三百十五人だ。 九七年当時は医療福祉関係者でさえ脳外傷による高次脳機能障害について十分な知識がなかった。「谷間の障害」と呼ばれ、行政の支援もなかった。同会は神奈川リハビリテーション病院のスタッフらの支援を得て勉強会や交流会を開催、社会啓発活動などに取り組んだ。二〇〇〇年には愛知、北海道の家族会とともに全国組織「日本脳外傷友の会」(会長には東川氏が就任)を結成、粘り強く国への働き掛けを続けた。 その結果、国は「高次脳機能障害支援モデル事業」(〇一〜〇五年)を実施。障害者自立支援法(〇六年)では都道府県事業として「高次脳機能障害支援普及事業」を位置付けた。支援拠点機関の設置、コーディネーターによる専門的相談、地域支援ネットワークの構築、人材養成などが同事業のメニューだ。家族会の取り組みは特筆すべきものだろう。 とはいえ現状は患者、家族が安心できる状況には程遠い。 国は現在に至っても全国の患者数をつかんでいない。ようやく本年度、福岡県を対象に初の大規模調査を行っている段階だ。また医師の診断、リハビリ、在宅支援、就労支援、地域作業所や各種施設の利用など、医療から福祉に至るどの段階を見ても体制は不十分だ。たとえば脳外傷者向けの地域作業所は全国で十数カ所にすぎない。国、自治体、関係機関の一層の取り組みが求められる。 そして患者、家族の最大の懸念が医療福祉全体の行方である。医療費削減のための入院期間、リハビリ期間の短縮は、高次脳機能障害の治療を直撃している。福祉サービスでの定率負担導入など福祉の後退も起きている。高次脳機能障害の現状は、国民的な議論と連帯によって医療福祉の底上げが必要なことを強く示している。
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西洋料理などで使うハーブのローズマリーに多く含まれるカルノシン酸に、脳の神経細胞が細胞死するのを防ぐ効果があることを岩手大など日米合同研究チームが突き止め、22日発表する。アルツハイマー病やパーキンソン病の予防や治療をする新薬につながる成果だという。 米国では、医薬品への応用に向けたプロジェクトが始まった。成分を使ったサプリメントも製品化される予定だ。 岩手大の佐藤拓己准教授(神経工学)らは、マウスの右脳の動脈をクリップで2時間閉じて人工的に脳の神経細胞が死ぬ状況を作った。カルノシン酸を事前に注射したマウスとしないマウス各9匹で、24時間後に脳の変化を比べた。 注射しなかったマウスは右脳の52%が壊死(えし)していたが、注射したマウスでは壊死部分が34%にとどまり、カルノシン酸に強い脳細胞保護効果があることを実証した。 カルノシン酸が細胞死を抑える遺伝子を活性化することも解明し、認知症など脳神経細胞の細胞死に関連する病気の予防や治療に応用できる可能性を示した。 佐藤准教授は「認知力が衰え始める前に発症を予防できる可能性がある。神経回路を再生する力も高く、治療効果も期待できる」と話している。
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一時しのぎのようなやり方はかえって信頼を損ねることになりかねない。 自民、公明両党は来年4月からの高齢者の医療費負担増を凍結する方針だ。 負担増は昨年の通常国会で成立した医療制度改革関連法に盛り込まれた。凍結はもちろん今夏の参院選での惨敗が原因であることは言うまでもない。 高齢者の反乱という声もある。確かに本紙の読者投稿欄「こだま」にも高齢者の怒りが目立つ。参院選前に「保険料に悲鳴苦しい負担増」の見出しで福岡市に住む74歳の男性の投書があった。 「6月になると例年、区役所から国民健康保険料の通知が送付される。受け取ると、金額の大増額に驚かされる。一昨年は前年よりも年間6万円、昨年は7万2000円の増額だった」とし、「税金や介護保険料の増額と併せ、年金収入だけの老人には厳しい負担増だ」と訴えた。 負担増は高齢者だけではない。より若い現役世代も同じである。 ただ、高齢者には、最近の医療や介護、年金制度改革の度に新たな負担が降り掛かってきているとの思いが強かろう。 医療機関窓口での1割(高額所得者2割)負担の導入や介護保険料引き上げ、老年者控除廃止など課税強化策、経済成長に合わせて年金支給額を抑制する仕組みなど、社会保障制度の維持を名目にした「応分の負担」を求められてきた。 そして、昨年成立した医療制度改革関連法で、70歳以上で現役並みの高額所得者は、医療機関窓口で支払う自己負担が2割から3割に引き上げられた。 同法によって、来年4月には、現役並みには満たない70‐74歳の一般所得者は窓口負担が2割となる。同時に75歳以上が加入する独立した「後期高齢者医療制度」が創設される。 後期高齢者医療制度は、現役世代からの支援と公費で計9割、高齢者の保険料で残る1割を賄う仕組みである。 自公両党は、70‐74歳の窓口負担増と、75歳以上からの新たな保険料徴収を凍結しようとしている。 負担増の波が途切れることで高齢者も一息つけるかもしれない。しかし、それは単なる先送りにすぎない。 国と医療機関、企業と従業員ら関係者で少しずつ痛みを分かち合う。「三方一両損」的な発想で医療費抑制に取り組み、結果として先進諸国の中でも少ない医療費で長寿大国になることができた。 そんな発想からいけば、医療費の急膨張を防ぐために、高齢者にも資力に応じた負担をしてもらうのは当然だろう。 昨年の医療制度改革関連法の国会論戦では、まず医療費抑制ありきの政策が医療現場に無理を強い、質の低下につながっているなどの指摘があった。 いまのやり方が限界にきているのではないかとの疑問である。過去の成功体験で未知なる超高齢社会は乗り切れるのか。これを機に再度論議してはどうか。
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六十五歳以上の高齢者に対する家族らの虐待が後を絶たない。死に至るケースもある。幼児虐待と同様に深刻な人権侵害であるという理解を国民が共有し、社会全体で防止に向けた取り組みに努めるべきである。 県のまとめによると、二〇〇六年四月から半年間で家族ら養護者による高齢者虐待は県内で四百五十一件が認知された。内訳(重複もある)は身体的虐待が三百五十件、暴言や拒絶的な対応などの心理的虐待が二百二十六件、高齢者から経済上の利益を得る経済的虐待が百七十四件、著しい減食や長時間の放置など養護を著しく怠るネグレクトが百六十七件、性的虐待は五件だった。 高齢者虐待防止法で虐待の発見者に市町村への通報が義務付けられてから半年間のデータだが、それでも「氷山の一角」にすぎないだろう。市町村別の認定件数に大きなばらつきがあり、取り組みの差が垣間見えるからである。件数にばかり目を向けると、ミスリードを招きかねない。 例えば、横須賀市は四十件だったのに対し、川崎市はほぼ半分の二十一件。高齢者人口で比べると、横須賀市は川崎市より四倍以上も発生件数が多い計算になる。 横須賀市は虐待防止法ができる二年前、「高齢者虐待防止センター」を設置し、虐待の早期発見を目的に相談窓口を一本化。専任の保健師のほか、医師やホームヘルパーなどが連携して対応に当たるほか、研修会で関係者の習熟度を高めている。積極的な取り組みが高齢者虐待の掘り起こしにつながり、件数が多くなっている。 一方、九市町村は虐待の事例が一件もなく、真鶴、清川など六町村は連絡すらなかった。人口が少ないとはいえ、一件もないとは考えにくい。県の担当者は「虐待の判断に迷うケースもある」と、基準が明確になっていないことを認めている。 通報制度の義務化がまだ周知されていないことも一因とみられる。行政当局は、横須賀市のような住民が相談しやすい態勢づくりに努めるべきである。 虐待は決して許されることではないが、その主な原因に養護者の介護疲れがある。心身が疲労しても代わってくれる人がいないために孤立し、虐待を繰り返す。県の調査でも養護者が虐待する要因(複数回答)は「介護疲れ」が34%。「性格や人格」(65%)に次いで多く、さらに「知識や情報の不足」が29%で続いている。 問題なのは、無意識的に虐待を繰り返している養護者が59%もいたという点だ。罪の意識がなければ、虐待をやめようとは思わないだろう。行政や市民団体が連携して高齢者虐待の問題点を広く啓発するとともに、一時的に高齢者を施設に預けるなど養護者の負担を軽減する施策を強化してほしい。
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