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グルジア情勢:サアカシュビリ大統領の就任

1、 1月20日、トビリシでサアカシュビリ大統領の就任式が行なわれた。
1月5日の選挙で不正があったとして、決選投票を求めていた野党勢力は同日、数万人を動員した集会を開催したが、OSCEが選挙はおおむね民主主義の基準に合致していたとしていること、ロシアも就任式にラブロフ外相を派遣し、プーチン大統領もサアカシュビリに祝電を打ったこと、近隣諸国もそれなりの人を就任式に派遣したことなどで、野党が求める決選投票が実現する見込みはなくなったと判断される。

2、 サアカシュビリの就任演説を読んだが、野党との対話を重視し、国政を運営していく
としている。
サアカシュビリは「バラ革命」後、96%もの得票で大統領に選ばれたが、今回は53%余しか得票できず、首都トビリシでは、野党のガチェチラゼに負けた。強引な政治の運営がサアカシュビリ批判につながったとされているが、今後、謙虚さが示されるだろう。
対ロシアについても、関係の改善を呼びかけた。

3、 大統領選と同時に、実施されたNATO加盟への賛否を問う国民投票では、NATO加盟
賛成が約80%を占めた。グルジアの西側志向は国民の多くの支持を得ていることが改めて明らかになっ た。
議会選の前倒しの是非については、約70%の国民が前倒しに賛成し、議会選が5月に行なわれることになった。野党指導者のなかには、議会選挙が大統領選挙のやり直しと同じ効果をもつ、これに注力すべしとの声もある。今後のグルジア政治は、この議会選挙を軸に展開していくと判断される。

4、もし野党が5月の選挙で議会の多数派になれば、大統領をチェックすることができるだろう。チェック・アンド・バランスが存在することは、良い面では、話し合いによる民主的な政治に、悪い面では、政策決定が遅れる政治の麻痺につながる。
グルジアで、良い面がより多く出てくるのか、悪い面がより多く出てくるのかは今後の問題で、政治に当る人の成熟度、政治運営能力に依存する。政府が国営テレビの運営委員会に野党系の人の参加を認め、報道振りの中立公正を確保する措置をとったが、これは良い方向への一歩である。

6、就任演説の中でサアカシュビリはアブハジアと南オセチアのグルジアへの統合を成し遂げたいと述べた。ロシアはコソボ独立を西側が認める場合、住民の意思に従い、アブハジアと南オセチアも分離独立、ロシアへの統合を認められるべしとしている。コソボが独立宣言し、セルビアとロシアの反対にかかわらず、西側がコソボを国家承認するのはほぼ確実な情勢である。5月頃にはこの問題がロシア・セルビアと米欧・コソボ間で対決案件になる蓋然性は高い。
 ロシアがどこまでアブハジアと南オセチア問題をコソボ問題に絡めるかはまだ見通し困難である。なおグルジア紙の報道では、ロシアは学者レベルでグルジアをスイスのような中立国とすることを提案したとされている。
(文責:茂田宏)


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