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イスラエルのミサイル防衛

1、1月8日付ロンドン・タイムズ紙は「イスラエル、“鉄のドーム”ミサイル防衛の実験は成功したと発表」との記事を掲載している。その概要、次の通り。
「イスラエルはガザや南レバノンの戦闘員が発射するロケットを迎撃する“鉄のドーム”対ミサイル防衛システムが成功裡に実験されたと発表した。このシステムはゲームのやり方を根本的に変えるとされている。軍事専門家はこのシステムは飛来するミサイルをレーダーで探知、到達場所を判別し人口のある地域へのミサイルを撃墜、人口の少ない地域へのミサイルは無視することを可能にする。
“鉄のドーム”は4kmから70kmの射程のミサイルを止められ、ガザからの迫撃砲弾からレバノンのヒズボラが使うイラン製のファジール・ロケットにも対応し得る。
“鉄のドーム”を作りだすのを助けたにラファエル先進防衛システム社のホロビツ氏は「テロリストは彼らの最も普通の道具、イスラエルへのロケット攻撃が止められ得ることを知るだろう。彼らは別の方法、望むらくは平和的な交渉につながる道を見つけなければならなくなる」と述べた。ベギン・サダト戦略研究所所長エフライム・インバールはイスラエルの敵はその戦略を考え直さざるを得なくなる」と述べた。
“鉄のドーム”はイスラエル南部にここ2カ月内に、北部には2010年半ばに配備される。これは“ダビッドのパチンコ”とアロウ・システムとともに、3層からなるミサイル防衛の一部になる。前2者は米との協力によるものであるが、これは純粋にイスラエルが開発した。3層のシステムでレバノン、シリア、ガザ、イランからの脅威からイスラエルの都市を守ることを目的にしている。
問題は100%の迎撃率ではないこと、費用がかかることで、イスラエルはこの技術を輸出することでコストをカバーしようとしている。米、英その他が関心を示している。」

2、この“鉄のドーム”システムの有効性は今の段階では判断しがたいが、こういう防衛システムができれば、理論的には昨年のガザ攻撃のように発射源を叩くということで猛烈な爆撃をする必要がなくなるし、ヒズボラなどの有効な攻撃手段が無害化されることになる。よいことであろう。
核問題でのイランとイスラエルの対決が武力抗争になった際には、ヒズボラなどがイラン側に立って対イスラエル攻撃をするであろうが、それへの有効な対処策になる。

3、この技術は、朝鮮半島有事の際に、適用可能な面があるかもしれない。1990年代初めに北朝鮮の核問題が大きな問題になった際に、北への軍事力行使の可能性も検討された。しかし在韓米軍の関係者の話では、北が韓国に近いところに配備した大砲その他からの砲弾は止められない、発射後に位置測定をして大砲を破壊することはできるが、最初に発射されたものはどうしようもない、これの数が多く、それでソウルは火の海になり、百万近い民間人の死者が出るということであった。要するに通常兵器によって相互確証破壊状況が南北間には出来ているということで、北に対する軍事オプションなしと言うことであった。
この“鉄のドーム”技術はそういう状況を変える可能性を秘めているかもしれない。

4、なお、イスラエルのアロー・システムを私はイスラエル大使時代、石破茂(当時防衛副大臣、現自民党政調会長)さんと一緒に視察したことがある。私と違い、石破さんは詳しくて種々の質問をしていた。この“鉄のドーム”も、日本の技術者が、機会が得られるのであれば、見てくる価値はある。
(文責:茂田 宏)

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Holylandさん
トラックバック、ありがとうございました。勉強になりました。

2010/1/12(火) 午前 11:11 [ 茂田 宏 ] 返信する

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