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ウクライナ大統領選挙

ウクライナ大統領選挙

機ぃ卸遑憩、ウクライナで大統領選挙の決選投票が行われた。
選管発表では開票率96%で、ヤヌコビッチ候補が48,3%の得票を得、ティモシェンコ候補が46%の得票を得た。未開票地区はヤヌコビッチの地盤である東部、南部であるので、ヤヌコビッチの当選が確実になった。
ヤヌコビッチは2004年の大統領選挙でいったん当選者とされた後、選挙不正があったとされ、「オレンジ革命」で再選挙になり、それでユーシェンコ候補に敗れたが、今回雪辱を果たした。「オレンジ革命」は、5年でひっくり返されたと言える。
2004年の選挙では、ロシアはヤヌコビッチを支援した。ティモシェンコはユーシェンコとともに「オレンジ革命」を主導したが、ユーシェンコ大統領との主導権争いの末、ユーシェンコと対立した。その過程で、親ロシア姿勢を鮮明にし、特にプーチンとの間に良好な関係を築いていった。したがってヤヌコビッチとティモシェンコのいずれが当選しても、対ロ関係改善は既定路線であった。そういうことで、ロシアは今回選挙への介入はあまりしなかった。
国際監視団も取りあえずの見解としては公正に行われた選挙であったと評価している。

2、今回の選挙がどういう影響を与えるか。
第1:ロシア・ウクライナ関係は改善に向かう。
ソ連のミサイル生産が主としてウクライナで行われていたように、ロシアの軍事力を支える産業の多くがウクライナにある。また、クリミアのセバストーポリにはロシアの黒海艦隊が駐留している。オレンジ革命後のロシア・ウクライナ関係の緊張はそういう関係に諸問題を投げかけていたが、それが解消されることになるだろう。対ウクライナ関係の改善はロシアにとって地政的・軍事的には多くのメリットがある。ロシア・ウクライナ間の歴史問題(過去のロシアのウクライナ政策は弾劾の対象になっていた)も解消に向かうであろう。
しかし経済面ではロシアには負担になる可能性がある。ウクライナは世界金融危機で2008年、GDPは約20%減少、通貨フリブナは80%下落、対外債務が私的なものを加えるとGDPの100%になる状況にある。鉄鋼など主要輸出品の輸出が大幅に回復する見込みは小さい。IMFが改革の遅れを理由に融資を止めているなかで、ロシアがウクライナ支援をせざるをえなくなることが予想される。これは負担ではあるが、同時にロシアの影響力強化につながるだろう。
第2:キルギスの「チューリップ革命」(2005年)、グルジアの「バラ革命」(2003年)、ウクライナの「オレンジ革命」は、旧ソ連諸国の民主化の動きとされてきたが、オレンジ革命がこういう形で終わったこと、「チューリップ革命」もキルギスの民主化を達成したとは言えないことは旧ソ連圏諸国での民主化の展望に悪い影響を与えるだろう。オレンジ革命はウクライナの政治家の権力闘争のために挫折した。ロシアにおける権威主義の復活もあり、今後は、権威主義的な風潮が強くなると思われる。
ユーシェンコ大統領のもとで、ウクライナは2008年のグルジア・ロシア紛争の際に、グルジアに対空兵器などを供給したが、サアカシュビリのグルジアは孤立感を強めると思われる。
第3:ウクライナのNATO加盟問題はもう問題ではなくなる。ユーシェンコは推進していたが、ウクライナ人の世論の多数はNATO加盟を支持していなかった。
ウクライナ人の多数はEU加盟を欲しているので、欧州との関係を良好なものに保つ努力は今後ともすると思われる。

3、ウクライナは国土面積、人口でフランスと同等な大国である。その動向は欧州の力のバランスに影響を与える。
ソ連邦の崩壊は何よりもウクライナのソ連からの離脱を引き金として起こった。西側としては、ウクライナを独立した主権国家として存続せしめることが重要である。勢力圏発想をするロシアがこれを再度併呑しないように焦点をあわせることが現時点では重要であろう。
(文責:茂田 宏)

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