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ウガンダにおけるテロ事件とその意味
1、 7月11日、ウガンダでワールド・カップの決勝戦オランダ対スペインを観戦していた人に対する爆弾テロがあり、76名が死亡した。
ソマリヤの反政府組織アル・シャバーブが犯行声明を出し、ソマリヤに展開するアフリカ連合の平和維持部隊のウガンダ軍などがソマリヤ人を虐殺した、この爆破はソマリヤ暫定政府を支持するウガンダへの報復であると述べた。
2、 7月13日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙は「攻撃でアルカイダと連結するソマリヤのグループがその活動範囲を広げる」との概要次の記事を掲載している。
ウガンダでの爆破事件への責任を認めたソマリヤのアル・シャバーブは、ソマリヤでの1勢力からアルカイダの世界規模のジハードの呼びかけに応じる組織になったように見える。
この攻撃はこのグループの中でオサマのテロ・ネットワークに連携する外国人の影響力が増大している証左であるとテロ専門家はみている。
アル・シャバーブは2003年ごろに創立されたが、最近、アルカイダに接近している。2008年、アル・シャバーブの指導者はオサマへの忠誠を誓い、2009年はじめ、アルカイダはアル・シャバーブの世界的ジハードへの参加を歓迎し、今年はじめ、アル・シャバーブはその地方的な闘争をアルカイダの世界的ジハードに正式に連結させると発表した。テロ専門家は両者が訓練を共同で行っていると見ている。
アル・シャバーブは数千、他の推定では1万以上の戦闘員を有し、そのうち外国人は数百人になるとされる。2008年には、20人ほどのソマリヤ系米人が、アル・シャバーブ参加のためミネソタを出たし、先月JFK空港でアル・シャバーブ参加のため出国しようとした二人の男が逮捕された。アル・シャバーブの指導者の一人はアラバマ出身である。内部には政府を打倒することを重視する派(民族派)と国際的ジハードを優先する派(国際派)がいるが、この両派は最近地域での活動を重視し、目的を同じくしてきている。
シャバーブはまた、イエーメンのアラビヤ半島のアルカイダ(クリスマスにデトロイト行き飛行機を爆破しようとした)とも連携している。米への脅威になっている。
3、 7月13日付ワシントン・ポスト紙は「攻撃はアルカイダの行動の変化を示す。ウガンダの爆発は地域的支部のより大きな野望を示唆する」との記事を掲載している。
この記事も、アル・シャバーブがアルカイダと連携し、米への脅威になると指摘している。その中で、アフリカ連合のソマリヤ平和維持部隊はウガンダ軍とブルンディ軍からなっているが、アル・シャバーブの報道官がウガンダとブルンディが軍を引かない限り攻撃を続けると述べたこと、アル・シャバーブがサッカーを「悪魔的行為」と非難し、自己の支配領域内でサッカーを禁止し、その放映も禁止していることなどを指摘している。
4、 今回のテロはソマリヤがアルカイダの根拠地の一つになってきていることを示している。テロの策源地と言う点では、ソマリヤ、イエーメンは、アフガンやパキスタンと似た状況になってきている。アフガン戦争で勝利しても、テロの問題は終わらないということである。
5、 なおアル・シャバーブがサッカーを禁止している点についていうと、イスラム原理主義者はスポーツに対し人々を堕落させるものとの見解を有している場合が多い。イスラム教徒の多くは、特にオリンピックでの女子水泳、女子レスリング、女子体操などは半裸を公衆に見せるとんでもない見世物としている。
ワールド・カップ期間中に、モスクに礼拝に来るものが激減することもあり、イスラム聖職者のなかには、サッカーはシオニストがムスリムの若者を堕落させる陰謀であるとの説教をしている人は多い。イスラム過激派は文化擁護にも忙しくしているが、アラブ諸国でのサッカー人気には、なかなか対抗しえない。
(文責:茂田 宏)
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