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アフガン・パキスタン情勢

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米によるアフガン・パキスタン戦略見直しの結果

1、 12月16日、オバマ大統領はアフガン・パキスタン戦略の見直し結果を発表した。
オバマ声明の主要点は次の通り。
(1)(アフガン・パキスタンでの取り組みは)引き続き非常に難しい試みである。しかし私は・・我々は目標を達成する軌道上にあると報告することが出来る。
(2)私は当初から我々の核心的な目的について非常に明確であった。目的はアフガニスタンの安全保障へのあらゆる最後の脅威を敗北させることではない。何故ならば最終的にアフガン人が自国を守らなければならないからである。目的は国造りでもない。何故ならばアフガン人自身が彼らの国を建設しなければならないからである。むしろ我々はアフガニスタンとパキスタンにいるアルカイダを妨害し崩壊させ敗北させ、将来においてアルカイダが米国や同盟国の脅威になる能力を防止することに焦点を合わせている。その核心的な目的に向け、我々は着実な進展を見ている。
(3)アフガニスタンでは我々は引き続きわが戦略の3分野、タリバンの勢いを止めアフガン部隊を訓練すること、効果的な統治と開発を促進する文民の努力、特にパキスタンとの協力を含む地域協力を推進することである。
(4)イラクからの10万の兵力を引き上げた結果、アフガンにいる兵力により多くの支援を行えるようになった。追加兵力により我々は軍事目標の達成に向け相当の成果を上げた。しかし多くの場所で我々のあげた成果はいまなお脆弱であり、逆転されうる。
(5)我々はアフガン治安部隊の訓練に焦点を合わせており、その増強への目標は達成されている。これは我々がアフガン人に責任を引き渡し、来年7月に引き上げを開始するとした結果である。
(6)最近のリスボンNATO首脳会議で来年早期に治安についてアフガン主導への移行を開始し、2014年にそれを終わらせることに合意した。NATOは訓練と助言については長期的なコミットメントを継続する。
(7)アフガンでの基本的なサービスの提供、透明性、説明責任に引き続き焦点があてられるべきである。我々はまたアルカイダとの結びつきを断ち、暴力を放棄し、アフガン憲法を受け入れるようなタリバンとの和解を含むアフガン政治プロセスを完全に支持する。来年、米はアフガンとの新戦略パートナー関係を作り上げ、米がアフガンの長期的な安全保障と開発にコミットすることを明らかにする。
(8)パキスタンはますますテロ・ネットワークが特にパキスタンへの脅威であると認めてきている。我々は部族地域でのパキスタンの攻勢を歓迎し、パキスタンの能力を向上させるために支援をする。しかし進展は十分に速くない。従ってパキスタンの指導者がその国境内のテロリストの安全な隠れ家を処理するように強く主張していく。同時にパキスタンの経済・政治的発展を支援していく。来年、自分はパキスタンを訪問する。
(9)我々は米国民の安全保障と安全を確保するために我々の権限の範囲内のことすべてを引き続き行っていく。

2、 1年前の新戦略発表以来、米世論での厭戦気分や現地状況とも関連し、この見直しにはかなりの注目が集められた時期もあったが、結果としては、あまりニュースにならないようなこれまでの戦略の継続が取りあえず決まったということである。
アフガン戦争はアルカイダ対策であるということが、従来よりもより明確に主張されている。
 今後、来年の7月に開始される米軍撤収の規模やペースが今後議論になるであろう。オバマが声明発表後、バイデンと共に退出し、その後、ゲイツ国防長官とクリントン国務長官が引き続き会見したが、両者ともに、撤収の規模やペースは現地状況によるとの点を強調している。今の段階ではそう言うしか手がない。
しかし、米国民の間で高まってきている厭戦気分(ワシントンポスト紙とABCの共同世論調査では、米国民の約6割がアフガン戦争は戦う価値がないとしている)、欧州諸国での米以上に強い厭戦気分、さらにカルザイのパートナーとしての資質のなさ(特に汚職への対応や選挙不正に基づく国民からの信頼性の欠如)、パキスタンの政治の不安定など、諸問題はこれからも継続する。
アフガン戦争について今回のオバマ声明は米国民の支持を強める効果は期待できず、その見通しがこれで明るくなったわけではない。同時に、敗北につながるアフガン戦争からの早急な撤収への圧力には、取りあえずオバマは抵抗したということであろう。

3、なお12月15日付ニューヨーク・タイムズ紙は、「米情報当局はアフガン戦争について暗い見方を示す」との記事を掲載している。これは10月1日付の国家情報評価がアフガン戦争の見通しについて悲観的な見通しを示したことを報じたものである。国防省は10月1日以来の進展を評価していないと批判しているが、情報に携わる全機関のコンセンサス見解である。機密解除はされていないが、この国家情報評価を読んだ一部議員などが内容を記者に話したのをもとに記事が書かれているが、これはアフガン戦争支持をさらに弱める効果を持つと思われる。
(文責:茂田 宏)


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