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福島原発事故の国際関係への一波紋

1、 福島原発事故は世界的に原発建設を難しくし、地球温暖化対策にも影響を与えることは必定であるが、国家間の関係にも影響を与えている。

2、 3月22日付Memri(中東報道研究機関)の記事、概要次の通り。
サウジ英字紙アラブ・ニュース(3月18日付)は、専門家がイランの核施設の安全性について問題点を指摘したと報じた。
イランのブシェール核施設はサウジ・クエート国境から湾を隔てて250kmのところにあるが、その安全性についてサウジとクエートの専門家は深刻な懸念を表明した。イランも地震がある国である。日本の施設は最高の建築基準で造られているのに対し、イランはそういうレベルにはないと指摘されている。
 湾岸は北西の風が吹くので、ブシェールが爆発した場合、一番影響を受けるのはアブダビとドバイである。サウジの東部もバーレーンもカタールも影響を受ける。
 専門家は、サウジを始めとする湾岸協力会議(GCC)はイランに懸念を表明し、必要なら国連と国際原子力機関に問題提起すべしとしている。
 イランのアハマドネジャド大統領は、「日本の原子炉は40年前のものであるが、我々のは最新の安全基準を満たしている」と述べたが、専門家は疑問を表明している。ブシェールはドイツ企業により1975年に着工されたが、革命で中断、1995年からロシアの企業が引き継いだ。昨年8月、原子炉が完成したが、まだ稼働せず、ロスアトムが4つの冷却ポンプの一つが損傷したと言ったのは3週間前である。ロシアはコスト削減のためにドイツが供給した装置を一部使っているが、30年前の冷却システムを使って工事をしていると言われている。
 サウジを基地とする建設会社幹部は匿名で、「今回我々は巨大地震が原発施設に及ぼす破壊力を知った。これは世界一建築基準が厳しく、それを厳格に守っている国で起きたのである。ブシェールがこれと同じ基準で建てられているか、疑問である。この風下には住みたくない」と述べた。

3、 リトアニアはこれまでも、ロシアがカリニングラードと白ロシアのリトアニア国境近くで建設を計画している原発に対して、環境、安全を理由に強い反対を表明してきた。ロシアも白ロシアも聞く耳を持たなかったが、福島原発事故を受けて、リトアニアはドイツを含むEU加盟国に自国の懸念をより強く提起しうることになった。EU全体がリトアニアを支持すれば、これはロシア・EU間で大きな問題になる。

4、 湾岸でのサウジ・イランの対立はバーレーン情勢への対処でも出てきているが、今一つの懸案が出てきたと言える。ロシアとバルト諸国間関係には多くの問題があるが、ここでもいま一つの懸案が追加されたと言える。
 日本は島国で、大きな原発事故以外に他国に迷惑をかける可能性は小さいが、陸上の国境を持つ隣国や狭い海峡を隔てた国の間では、原発建設の立地は国際問題になり得る。
(文責:茂田 宏)


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