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サイバー攻撃に対する米の対応
1、5月31日付ウオール・ストリート。ジャーナル紙は「サイバー攻撃:戦争行為―ペンタゴンは米がコンピュータ破壊活動に軍事力で対応する舞台を整える」との見出しで概要、次の記事を掲載している。
ペンタゴンは他国よりのコンピュータ破壊活動は戦争行為を構成し得るとの結論に達した。この認定は米が伝統的な軍事力で対応する扉を初めて開くものである。
ペンタゴンの最初の公式サイバー戦略(一部は来月公表される)はハッカーが米の原子炉、地下鉄、パイプラインに敵対国の軍のような脅威を与える変化する世界に対応する初期の試みである。
ペンタゴンはこの計画が米をこういう形で攻撃することの結果についての敵対者への警告となるとしている。軍人は「もし送電網を閉鎖すれば、ミサイルを撃ち込むということである」と述べた。
ペンタゴンのシステムへの最近の攻撃とStuxnetによるイラン核計画への攻撃が米のサイバー攻撃に対するより正式なアプローチを作り上げる米の努力に緊急性を与えている。2008年、少なくとも一つの軍事コンピュータ・システムが侵入された。ペンタゴンの戦略は攻撃者の身元を確実に知れるのか、コンピュータ破壊活動が戦争行為を構成するのは、それがどれほど深刻である場合なのかなど、まだ明確にされていない。
一つの考え方は「同等性」で、伝統的な軍事攻撃が引き起こす死、損害、破壊などと同等なものを引き起こすサイバー攻撃には「武力行使」を考えるということである。ペンタゴン戦略は武力紛争法は伝統的戦場と同様、サイバー空間にも適用されると結論付けている。同盟国とも今後サイバー戦争ドクトリンを共有するとしている。
ペンタゴンはもっとも洗練されたコンピュータ攻撃は国の関与なしには行われないだろうと考えている。ペンタゴンはサイバー攻撃を行いそうな国を特定するのは避けたが、軍・情報関係者はこれまで中国とロシアからの攻撃があったと述べた。
中国人民解放軍はサイバー戦士を持つが、これは米の国家安全保障庁の同等物である。軍関係者はサイバー兵器を作っている国をその使用について責任があるとすることで抑止するのが最善ではないかとしているが、外部専門家の中には、テロリストをかくまった政府の責任を追求したアフガン戦争のような考え方もありうるとしている。
2、サイバー攻撃についての対応をどうするか、米はかなり時間をかけて検討していたが、酷い結果を引き起こす事例には軍事的な対応をする方向で議論が整理されつつあるようである。
日本も検討を進める必要が出てきている。ただし日本の憲法との関係でどういう議論になるのか、よくわからない。国連憲章51条の武力攻撃の一つにサイバー攻撃も含まれるのか、国際法上の問題もある。インターネットはそもそもペンタゴンが発明したが、新しい技術は新しい問題をもたらすものである。
(文責:茂田 宏)
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