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米の政府債務削減と国防費
1、 8月5日付米各紙はパネッタ国防長官が債務削減法案に関連し、既に合意された10年間で約4000億ドル近い国防費削減は出来るが、第2段階で議会の超党派委員会が行うとされている1,5兆ドルの削減で、更に国防費に切り込むことは米国の国家安全保障を損なうとして、強い反対を表明したことを報じている。
特に超党派委員会が感謝祭までに合意に達しない場合、自動的に債務削減額1,5兆ドルの半分を国防関連経費より、その半分を非国防費より賄うとの規定が今回の法案に盛り込まれていることに懸念を表明している。
8月5日付ニューヨーク・タイムズ紙は「パネッタ長官、国防支出にこれ以上の削減をしないように訴える」との記事を、同日付ワシントン・ポスト紙は、「パネッタ、ペンタゴン予算の追加削減に反対して警告。超党派委員会は他の財源をよく見るべしと国防長官は主張」との記事を、同日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙は「パネッタ、国防費削減引き金に警鐘を鳴らす」との記事を掲載している。
2、 パネッタは10年間で既定の削減額に加え、6000億ドルの削減する場合、約1兆ドルの国防費削減になるが、これは米の軍事能力に損害を与えると論じると共に、債務削減のためには、増税や社会保障や医療保険など義務的経費〔予算の3分の2を占める由〕を削減すべしと実際上、議会に求めている。
このパネッタ国防長官の主張が今後の超党派委員でどれほど認められるか、未だ判らない。この削減額を測るベース・ラインについて、諸議論があるが、米国内での議論では、社会保障費削減と増税への反対は結構強く、オバマ政権や議会は厳しい選択を迫られている。
この問題は米軍の世界的な展開能力に直接、影響を与える。中国の軍備増強が続く中、わが国にとっても、看過できない問題で、注視する必要がある。
日本と欧州は社会保障重視をしつつ、防衛費については、米ほどの負担をしてこなかった。しかし日欧が今後ともそういう対応を続けられるのか。米がもっと同盟各国に負担を求めてくるのは避けられないように思われる。
3、 日本としては、中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイル問題や挑発などに鑑み、米がアジアでの
プレゼンスを重視するように議論していく必要がある。その観点からも、アフガンやイラクは早く片付けることが望ましい。
(文責:茂田 宏)
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